生木地蔵へ(35日目の2)

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仙遊寺から下りて、JR予讃線伊予富田駅の手前を右折して国分寺に向かった。途中ラーメン福ちゃんの赤い暖簾に誘われて入る。中華そばとおでんの昼食。おかみさんと少し雑談。おでんで焼酎を飲みたい気分になった。その気持ちを振り払い12時05分出発。

12時15分五十九番札所国分寺到着。今治はタオルが名産で、山門近くのお土産屋さんにもそのタオルが並ぶ。ここにも托鉢遍路が自転車でやって来ていた。仙遊寺であった女性遍路に再会。彼女はJR伊予桜井から電車に乗って、六十番札所横峰寺ではなくて六十一番から六十四番を打つので伊予小松駅まで電車で行くとのことだった。その区間を電車を使うと1日、あるいは1日違うということだった。

彼女が先に出発した。ボクは「お気をつけて」と挨拶をして、少しベンチに座ってから出発した。12時40分。県道を通って再度196号線を歩く。今治小松自動車道・今治湯ノ浦IC手前を右折して車道地下横断路を通ったのだけれど、どうも遍路道とは違うようでもう一度横断路の手前まで戻る。違う道を行ったのだけれど、それも遍路道ではないようで、196号線へ引き返した。それから道の駅今治湯ノ浦温泉に行って少し休憩。最初から来ればよかったと少し後悔。

59番札所国分寺にて 座り込む遍路
(59番札所国分寺にて 「托鉢禁止」の札が立っていた)

世田薬師という看板を右折、高速架橋下を通り、なんとか遍路道に出た。そこで女性の方からみかんをいただく。また少し休憩して歩き始めた。だらりとした登り坂なのだけれど、秋の風景が心地よかった。そして西条市だった。

14時50分、世田薬師に到着。正式には世田山医王院栴檀寺、きうり(胡瓜)に身代りになって頂き病を封じ込めるご祈祷、「きうり封じ」で有名なお寺だ。山門からその手入れされた庭が美しかった。駐車場にあるトイレを借りて少し休憩。15時、また夜が来る。しかも山の中だ。気持ちが徐々に焦る。

そこから遍路道は左に折れるのだけれど、県道をそのまま歩いた。それが間違いだった。間違いそうにない道なのだけれど、途中分からなくなった。自分の位置と方向がだ。東予学園を過ぎて、それから線路があったかを思い出さないでいた。そして道安寺や臼井御来迎を通らないで側道を右折してしまった。(あとで分かったことなのだけれど)

その側道で道を訊ねた。地元の人に地図を見ていただき、やっと自分の位置がはっきりしたのだ。そういう場所がある。ぐるぐる回ると方向感覚が麻痺してしまう時がある。同じ道に戻ったり、逆方向へ行っていたり。道迷いはちょっとした勘違いや気の緩みで起きる。

実報寺交差点を抜け実報寺のところを左折。ここも分かりにくい道だった。地図ではなんでもないのだけれど。

大明神川を渡り、吉岡小学校の裏を通り、県道155号線の真っ直ぐな道路を通った。トイレに行きたかったのだけれど、そのあまりにも真っ直ぐな道路のために、隠れる場所がなかった。結局、工場の駐車場の隅でさせてもらった。それからねぐらをながさなければならなかった。

あてがあった。生木(いきき)地蔵の通夜堂に泊まれると「無料宿泊所一覧」に書いていた。「これがなかったらどうにもならんよ」と言ったおじさんのことを思い出した。一覧表をもらった時には「そんなもんかなあ」と少し否定気味に考えていたのだけれど、この日は「どうにもならんよ」とボクも思った。

丹原の交差点を抜ける頃には夜がやって来ていた。今井交差点を抜けて別格十一番生木山正善寺に着いたのは17時30分だった。たどり着いたという安堵感よりも、福岡八幡神社、生木地蔵のあるその辺りの暗さに少し緊張していた。

丹原町にて 山に向かって伸びる道路
(丹原町にて)

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