金剛杖割れる(34日目の2)

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Joyfull今治大西店を11時15分に出発したボクは、そのまま196号線を延光寺に向かった。途中ローソン今治延喜店にて単三アルカリ電池を買う。携帯電話への充電用にだ。そして充電をしながらMに電話をした。「今治市内のビジネスホテルを調べてメールして」と話した。すぐに「電池がないから」と言って切った。歩きながらメールを待った。

すぐに「ポートサイド今治、4400円朝食付き、14時チェックイン可」というメールが届いた。他に今治駅前の旅館の候補もあった。返信した「ポートサイドで予約して」と。

今治市内に入って、延命寺、南光坊、泰山寺そして栄福寺まで行けるようにも思っていた。まだ12時前だった。それでもなぜか「ホテルに泊まりたい」と思っていた。ここ数日間の寒さや寝不足がボディーブローのように効いていた。そして洗濯や風呂ということが頭から離れられなくなった。あの久万から風呂に入ってなかった。寒さは身体を拭くことや頭を洗うことを遠ざけていた。それに雨が降りそうだった。雨がねぐらを奪う。

Mから再度「予約した」という連絡が入った。そして住所と電話番号が書いていた。そのことが身体を軽くした。

12時00分、54番札所延命寺到着。納経を終えたところで雨が降り始めた。小降りだったのでレインジャケットを着て出発した。12時30分。少し焦っていた。「南光坊からホテルに行こう」という予定を立てていた。4キロ少し。ちょうど14時のチェックインの時間だ。早く着くことにはなんら問題ないと考えていた。

少し歩くと雨は本降りになった。ボクは急いだ。西瀬戸自動車道(しまなみ海道)の高架下までたどり着いた。豪雨。横殴りの雨が降りかかってくる。道路が一気に川になる。それほどの雨が降り続いた。10分間、集中豪雨だった。

54番札所延命寺大師堂にて 格子戸ごしに見える装飾
(54番札所延命寺にて)

少し弱まったところで出発した。待てない。13時には止んだ雨を待てなかった。なぜだか無性に腹が立ってきた。そして金剛杖を地面に打ちつけなが足早に坂を登った。「なんだ、この雨は」と叫んだ。そして打ち付けた。「大師、助けろ」と叫んだ。

金剛杖が割れた。その先が10センチほど割れたのだ。それほど強く打ち付けていた。「なんの罰だ」と叫んだ。そうすることで雨が止むはずはなかったのだけれど…。

雨の大谷霊園を抜けて姫坂神社、今治北高に出た。その時には青空が出ていた。わずか30分を待てない自分を呪った。

ところどころに雨雲が点在していた。その空からは太陽が地上を照らしていた。走るように歩いたので、そしてレインジャケットを着ていたので汗ばんでいた。県道38号線、商店街のところでジャケットを脱ぐ。南光坊はもうそこだった。

南光坊山門四天王像
55番札所南光坊の山門は一般的な仁王像がある山門ではなくて、四天王が守護する山門で、外側内側に四天王(持国天・増長天・広目天・多聞天)を配置している。

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