大月へんろ小屋(25日目の4)

◁前へ 目次 次へ▷

大月へんろ小屋に張ったシェルターの中
(道の駅大月にて 15デニールのシェルターの壁厚)

17時、道の駅大月に着いた。へんろ小屋にはやはりあの青年が座っていた。
「こんにちは、伊布利で会ったよね」とボクが言った。「ああ、どうも」なんて青年は答えた。
「それに姫ノ井の交差点でも見たよ」
「そうでしたか」
「もうずいぶん先に行っているかと思ってたよ」
「足摺に知り合いがいて、そこでゆっくりしていたものですから」
「ああ、それでかあ。で、今夜はここで?」
「ここ、宿泊禁止って書いているんですよ。だから、公園の上の東屋かトイレで…」
「今夜は冷えそうだからね。ちょっと売店に行って聞いてみるよ。テント張らしてもらいたいし」

と、ボクは売店に行って「上の公園でテント張らしてもらってよろしいでしょうか」と訊いた。そうすると「どうぞどうぞ、あれだったら、その前にでも張ってください。お遍路さんは皆さん、軒下にお休みになられているので」と店の前の軒下をひと晩貸していただくことになった。ありがたい。

青年もそうするつもりらしい。しかし大きな荷物の割には装備は夏仕様で、寝袋ももっていないという。ユニクロのフリースは四国で買ったということで、それとジャケットだけで、晩秋の大月町は寒いだろうと思った。そして「ちょっと先のスーパーに買出しとダンボールを貰いに行ってきます」と言って市街地方面へと歩いて行った。

ボクはその間にご飯を食べた。姫ノ井のデイリーで買ったパンとジャンボソーセージ、カロリーメイトがその夜のメニューだった。明るい月夜だった。それでも売店が閉まると、闇は影となって深海魚のように横たわった。ボクはテントを張った。そして洗顔、洗髪をした。

キャンピングカーで四国を回っているいるというご夫婦から声を掛けていただいた。少し話した。食事のことや入浴のことなんか訊ねられた。頭を洗っていたからだろう。お二人は2階のレストランで食事をするということだった。ボクはテントに戻って横になった。

しばらくして青年が帰ってきた。隣には叶崎であったおじさんがいた。「あれ~、また会いましたね」とおじさんに言った。「ああ、スーパーにいたら、彼(青年)がダンボールを、なんて言っているもんで、寒いからうちに泊まりなさいって言ったんだよ」「そうなんですか。よかったね、寒くなくて」と青年に言った。「ええ、助かります」と答えた。

それから青年はボクの傍に来て「でも、ここから2キロほどあるらしいんですよ。もう歩きたくないんですけれど」、そしてザックを担ぐと「ありがとうございました」と言った。ボクはふたりを見送って「じゃあ、おやすみなさい」と言った。「へんなおじさんだ」とつぶやいた。

それからまたテントにもぐり込んで横になった。いつの間にか眠りに落ちていた。夜中に何度か目が覚めた。自動販売機を利用する人の声や車の音に起こされる。決してなれることなんかなかった。満月だった。

道の駅大月のヘンロ小屋
(道の駅大月のヘンロ小屋 ヘンロ小屋第9号大月)

この日の行程:道の駅 めじかの里土佐清水~道の駅 大月(幡多郡大月町弘見)

この日の札所:なし

この日の宿泊:道の駅でテント泊

この日の出費:915円(納経代、お賽銭別)

・小才角二神商店
ビスケット
パン
(小計 285円)

・姫ノ井のデイリー
パン6個入り 180円

・自動販売機
コーヒー3カップ 300円
スポーツドリンク 150円

◁前へ 目次 次へ▷

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA