宿毛へ(26日目の1)

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4時50分起床、というよりも「ふれあい市」へ野菜を搬入するひとたちの声で目が覚める。洗顔。そしてコーヒーを飲む。寒い朝だった。

6時テント撤収。もう一杯コーヒーを飲む。少し身体が暖まってきたし、頭もすっきりしてきた。6時50分出発。7時10分、スリーエフ大月店着。お腹が空いていた。昨日は満足に食べていなかった。

スリーエフ大月店のベンチでカップヌードルといなり寿司

(スリーエフ大月店のベンチで朝食)

稲荷寿司3個入り、カップヌードル、ドデカソーセージの朝食。スリーエフの人からペットボトルのお茶のお接待を受ける。「お気をつけて」と送り出されるのは気持ちいい。逆に「またお越しくださいませ」なんて言われると、萎えてしまう…。

 

外のベンチに座って食べていると、熊本から来たというお姉さん3人に声を掛けていただく。「私たちは朝のフェリーで来たんですよ」と、熊本竹田経由の佐伯宿毛フェリーのことを話してくれた。懐かしい地名がズラリと並んだ。何よりも車のナンバーが懐かしかった。ボクは必要以上のことは言わなかった。話をややこしくしたくなかったし、ご飯を食べることに集中したかった。

お姉さんたちは買い物、それとトイレを済ませたのだろう、揃うとすぐに出発した。「お気をつけて」。そうボクに向かって手を合わせた。彼女たちもまたお遍路だった。「本当のお遍路さんよねえ」と言った。「いや、案外偽者かもしれないですよ」と答えたかった。

月山神社宿毛ルートはその距離の長さから敬遠されてきたそうなのだけれど、NHKの「街道てくてく旅・四国八十八か所を行く」で四元奈生美さんがこちらのルートを通ったことで人気が出たということを聞いた。ちょうどボクが歩き始めた頃に彼女は結願したのだけれど、まだ彼女の熱みたいなものがいたるところにあって、湿っぽくなりそうな遍路というものの表面を少し乾かしているようにも感じた。あの卓球のスタイルをそのまま遍路旅にも持ち込んだ、というような感じの。

それにこのルートは遍路たちにも評判が良かった。これまで泊まってきた道の駅にしても、軒下で寝ることを快諾してくれたし、声を掛けていただく回数も多かった。よく言われる「高知」のイメージとは違うものを感じた。決して高知が悪いというのではなくて、高知の遍路道が民家沿いが少ないように感じたし、何よりも室戸、足摺、延光寺、と遍路ころがしが多いので、遍路たちの心が疲れてしまう、それが土地に対しての、時として憎悪になって表出されるのだろうと思う。修行の場所はそういうものだろと、ボクは思っている。

宿毛橋の欄干

(宿毛橋にて)

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