Joyfullのドリンクバーでたっぷり砂糖を入れたコーヒーを飲みたかったのだ(23日目の1)

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電線に留まっていた雨粒が地面に落ちる。野宿している遍路たちの気配を嫌がっているのか犬の鳴き声は一晩中続いていた。山に囲まれたその場所は湿気をたっぷりと湛えていたし、それが不気味な気配として現出していた。寝不足のまま5時50分起床。まだあたりは暗かった。
近くのトイレにいって洗顔。自販機でホットココアを買う。テントに戻ってそれを飲んだ後に撤収。7時10分に出発。晴れ間も見えているけれど、曇天、寝不足の感覚は少しだけ鈍感になる。膝は相変わらず痛い。包帯で縛り付けるようにした。朝は特に痛んだ。

国道321号線 下ノ加江あたりの風景

(国道321号線 下ノ加江あたりにて)

8時28分、スリーエフ下ノ加江店着。食糧調達。と言っても、昨日買ったおにぎりセットが残っていたので、それを店の前のベンチで食べようと歩いていると犬のうんちを踏んでしまった。「あ~あ」なんて言った。ベンチの近くにあった水道を使ってそれを洗い流す。店の人が不思議そうにのぞいたのだけれど、何も言わなかった。というか、何も言わずに使ったことへの羞恥心をおぼえた。

それからおにぎりセットを食べた。

8時50分出発。海が見えた。それだけで気持ちが明るくなった。空は相変わらず古いブロック塀のような色をしていたけれど。久百々の浜では、海をじっと眺めている人がいた。それはたぶん彼の日課なのだろうと思った。

10時、蟻崎、ドライブイン二浜(閉店中)にて休憩。アップダウンの続く岬の道が膝を痛めつけていた。10時25分出発。休憩所もトイレも少ない道のり、大岐にはファミレスJoyfullがあると地図に載っていた。そこを目指した。なにか胃にもたれるほどのもの、例えばペッパーハンバーグの大きいヤツとか、カツ丼釜めし定食みたいなものを無性に食べたくなっていた。ドリンクバーでコーヒーもたっぷり飲みたかった。それも甘くして。

Joyfulに行くために大岐海岸を通らないで国道を歩いた。歩いたのだけれど、Joyfullを見つけることは出来なかった。地図では国道沿いにあるはずだった。その場所に立ち止まって少し考えた。昔、塚ちゃんと朝から夜までJoyfullで飲んだことを思い出した。10時間ほど居て飲んだのだけれど、それでも1万円少しだったことなんかを思い出していた。それからBと飲んだことも思い出した。立ち止まったボクは想い出を手繰り寄せていた。

それから、大岐海岸に向かった。海岸の遍路道を通る。最後は小さな川を渡る。渡渉というほどのものでもないのだけれど、梅雨時期は深く広くなるのかもしれない。その時は靴のまま渡れた。

その海岸から国道へはい上がる。

12時30分、以布利の海岸にて俵むすび弁当と赤飯おにぎりの昼食。少し寒い。少し休憩。20代前半の青年が追い越して行った。このときは、挨拶だけだった。あとで再会することになる。ザックにスティックを差していた、それがかなり印象的だった。60リットルほどのザックだった。彼も少し足を痛そうにしていた。

足摺まで20キロを切っていた。みんなこのあたりで疲労のピークを迎えるのだろうと思った。高知は修行の道場なのだ。

国道321号線 土佐清水市大岐にて ガソリンスタンドをバックに柿

(国道321号線 土佐清水市大岐にて)

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