JPNタクシーとコンフォート
JPNタクシーとコンフォート、タクシー車両として生まれた両者の「高さ」について考えてみました。
というのも「小さな家庭用ワゴンみたいなタイプ」1なんて可愛く喩えられたJPNタクシー。あ〜、もう、キュートなのにね、なんていう人もいます。
あの横の「GO」の広告がダサいんだよ。車が悪いんではなく業界とトヨタが悪いんだよ。なんて声もちらほら。利用者だけではなく、運転手からも批判されて、なんだかかわいそうにもなってきます。中には誤解もあったりで…。ということで、JPNタクシーとコンフォートの高さと居心地の良さについて、頑張って作図して概説してみます。
JPNタクシーとコンフォート
JPNタクシーは低い
(実測なので、トヨタ自動車公式値と違います)
図1 JPN タクシーとコンフォートの地上からの高さ比較
上の図のように、地面から敷居までの高さは
- コンフォート 360mm
- JPN TAXI 310mm
50mm、そう5センチもJPNのほうが低いのです。
両者の特徴として、コンフォートは、古民家のように(ボクの生家もそうでしたが)入り口から土間に続く玄関戸の敷居が高くなっています。そのため跨いで入る設計になっています。車といえばこの形ではないのでしょうか。(図2)
図2 コンフォートの後部座席床面
JANタクシーは、敷居と床面の高さがフラットです。なぜならばバリアフリー化するために段差をなくしたのです。(図3)
図3 JPNタクシいー後部座席床面
コンフォートがcomfortableな理由
前項のごとく、敷居の高さはJPNタクシーのほうがコンフォートより低いのです。それも50mmもです。
しかし、コンフォートのほうが低く感じます。いえ、実際に低いのです。低く感じさせる車の構造になっているからです。「小さな家庭用ワゴンみたいなタイプ」が、「ベンツみたいなセダンより居心地がいい」そんなわけがありません。そもそもの話なのです。
そこで、もう一度、図を使い居心地の良さを検証します。
図4 JPNタクシーとコンフォートの後部座席の概略図
コンフォートの特徴は中央をプロペラシャフトを通す盛り上がりがあることです。(図4)
つまり、足元が凹状態になっています。この凹は欠点ではなく、足湯に浸かっている感じ、と言ってもいいかもしれません。あるいは、掘り炬燵、そんな居心地の良さを感じさせる長所になります。
そして「固定されている」安心感にもなります。横揺れした時にストッパーや踏み台の役割をします。
さらに、床面からシート面までは
- コンフォート 330mm
- JPN TAXI 360mm
30mm、3センチもコンフォートのほうが低いのです。それは、低い姿勢で着席できる、深々と座れる、ということです。この低い腰の位置も安心に繋がります。そして足腰の弱った人たちにとっては安定こそ安心なのです。
居心地の良さ
結局、居心地の良いのはコンフォートになる、という展開に…。
いえ、まだ発展途上です。カイゼンこそトヨタ自動車です。後部座席の設計、シートの材質…。
UD化とJPNタクシーの問題は別です
最後に、JPNタクシーに問題があったとしても、タクシー車両のUD化は加速しなければなりません。「JPNがダメなんで、中古のクラコンで」とか「JPNよりセダン車で」なんて声も聞かれますが、車両の長短とタクシーのUD化とは問題が別なんです。
JPNタクシーは、いろいろと要望を詰め込みすぎたのかもしれません。「トヨタ自動車が生産性とコストを優先したからだ」なんてボクもツイートしていますが、コンフォートがあまりにもコンフォート過ぎたので、なかなか越えられない、のかもしれません。
そしてタクシーといえばセダン、という固定観念がさらにJPNを乗りにくい車にしているのではないか…、え、それもない?
どうしたもんですかね?