地図がない(14日目の2)
10時30分に三十番札所善楽寺を出発した。
JR土佐一宮駅を過ぎ、県道44号線下の瀬大橋を渡る。サンピアン高知が見える頃になると都会という感じがした。高知市内が近いことは分かっていた。標識も市内まであと少しということを知らせていた。
(30番札所善楽寺にて 地蔵様のぬいぐるみ)
どこにいるのか分からない
近いと分かっていたのだけれど、ボクが立っている位置と高知駅、そしてユリさんの家までの関係が分からなかった。へんろみち保存協会発行の地図には高知駅周辺が記載されていなかった。善楽寺~竹林寺~禅師峰寺(ぜんじぶじ)~雪渓寺という遍路道、その周辺しか載っていなかった。
前日、ボクはホッチキスに「どのルートが良いか調べて」とメールをした。ホッチキスからは「禅師峰寺からは○○キロ、竹林寺からは○○キロ、高知駅からは○○キロ、雪渓寺へは○○キロ」という内容で、地図の画像が添付して返信があった。ボクにはどうもピンと来なかった。
ボクは「夕方行くのが良いかなあ」なんてことを考えていて、そうなると「竹林寺を打ち終わってから、高知市内に戻るルートが良いかなあ」という計画を漠然と立てていた。そして竹林寺往復~禅師峰寺~雪渓寺というコースを選択していた。
ユリさんがお酒が強い人だったので、それに高知ということもあって、きっとお酒を勧められるだろうから、夕方行って高知市内に泊まるか、ユリさんちにそのまま、なんてさもしい考えを持っていたのだ。そう言う考えがあったもので、最短距離というよりも、ユリさんちに夕方、という選択をしていた。
地図がない
2つのルートをホッチキスは提示していた。
- 善楽寺~竹林寺~高知駅~竹林寺~禅師峰寺~雪渓寺
- 善楽寺~竹林寺~禅師峰寺~竹林寺~高知駅~雪渓寺
どちらも戻るルートだった。見た感じでは(2)などはかなり長い距離を歩くように感じた。高知市内と禅師峰寺往復を往復するからだ。
そのことでボクたちは(実際はボクが文句ばかりいったのだけれど)もめた。ボクの主張は「どんだけ歩かせるんだよ」というものだった。100メートル、いや1歩でも多く歩きたくはなかった。それに往復ということは、かなり精神的な疲労度を高めるものだった。
そして竹林寺を打ち終わった時点ですでに疲れていたボクは、五台山を下りたところで、また嫌なことをホッチキスに言った。「善楽寺~高知駅の最短ルートを勧めるもんだよ。これだけ違っているんならね、5キロ以上あるだろう」なんて…。そして(2)なんてルートをどうやったら考えつくのかということも言った。
急ぐ道ではないのだけれど
地図を見ていないボクの頭の中では、繰り返しになるのだけれど、(2)のルートが最短距離のルートよりもかなり長いように考えていた。実際には、ボクが思っていたほど長くもなくて、(1)よりは短かったのだけれど。そのことは、今、これを書いているときに調べて分かったことなのだけれど…。その「分かってこと」を黙っていたホッチキスに明日謝っとかなければ…。
結局
- 善楽寺~竹林寺~高知駅~竹林寺~禅師峰寺~雪渓寺31.21Km
- 善楽寺~竹林寺~禅師峰寺~高知駅~雪渓寺30.78Km
- 善楽寺~高知駅~竹林寺~禅師峰寺~雪渓寺24.82Km
正確ではないが、地図ソフトの上ではこういう結果になったし、ボクは(1)のルートで高知駅へ行ったのだ。
11時40分、土佐電鉄文珠通電停近くのスズキミートにてカレーを買う。カレーの匂いに誘われて、ついつい買ってしまった。そして近くの公園で食べた。久しぶりのカレーだった。
そして高知に着いたのだけれど、これからどうなるのだろうか、と考えていた。だいたい住所だけは分かっているのだけれど、行ったこともなければ、電話番号も知らないのだから。そして地図もないし、そのために買おうとも思っていなかった。
(スズキミートのカレー…美味しかった)