高知、はりまや橋で(14日目の3)

13時少し前に31番札所竹林寺に着いた。

高須側からの遍路道は植物園のほうを登ってゆく。暖かい日だったので、坂道で汗をかいた。五台山公園には家族連れが多く来ていた。週末はどうも歩きにくい。人も車も多くなる。

13時40分発。五台山小学校側に下りる。14時。竹林寺~禅師峰寺~高知駅~雪渓寺というルートにしようかと迷っていた。それどころか「ユリさんには悪いけれど、またあらためて…」なんて考え始めていた。「どうしようか」と迷い始めた。ホッチキスに電話する。そして、またルートのことでもめた…。

10分ほど川沿いで考える。そして高知市内へ向かった。途中サンクス五台山店で道を尋ねる。高知駅までの大まかなマッピングが頭の中に出来た。だいたいの位置関係も理解出来た。歩いた。そして何度か道を尋ねた。

高知、はりまや橋で

はりまや橋、そこでまた道を尋ねた。親切に教えて頂いたのだけれど、細かい場所を聞いても分からなかった。そして覚えられるものでもない。「○○町○○番地○○」、とにかく町までの道が分かればよかったし、それからは着いたところで聞くほうが正確だと思った。

そして○○町の近くまで来た。16時30分。あと1時間もすれば夜が忍び寄る。ボクは少し焦っていた。近くの商店に入って尋ねた。「○○番地にはどうやっていけばいいでしょうか」と言うと、親切にもゼンリンの住宅地図を持ってきて下さって、そして探してくれた。

地図上にはユリさんの家があった。まだ少し距離があった。「ありがとうございます」とボクが言い終わらない内に「あ、送っていきますよ」と…。ボクより 10歳ほど若いその店の経営者氏は、そういうともう駐車場のほうへ歩いていた。そして店の前に軽トラを横付けした。ボクは「お願いします。ありがとございます」と言って、荷台にザックを置いた。

車に乗って

「別コース、これは遍路とは違うのだから車に乗っても良いよ」と自分で自分に納得させた。車に乗ったことについて、今も特にどうだということも思っていない。

ボクは、かなり弱っていた。その時は、家を探すこと、道を尋ねることだけしか考えていなかった。例えば哀しみさえも、忘れていたのかもしれない。探すということ、が全てだった。

31番札所竹林寺にて 千羽鶴とお地蔵様 「高知、はりまや橋で」
(31番札所竹林寺にて)
竹林寺 (高知市)

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