お遍路さんはいつも空腹なのだ(2日目の1)

朝、犬の(犬を連れて人の?)散歩の人の声で目が覚める。
「しまった」もう明るい、6時30分、急いで撤収、まずはじめに寝袋を丸めてスタッフバックに押し込んで、パッドを丸めて、ザックに収納して、それから歯磨き洗顔…。その間30分、もう隠れ場所がないほど明るくなってしまっていた。

出発。

すると突然、犬を連れて散歩中の女性に声をかけていただく。「おはようございます」

「安楽寺さんですか?」
「はい」
「近道があるのでそっちを行かれたら早いですよ」

このようにして、へんろみち保存協会発行の地図には掲載されていない道を教えてもらう。教えてもらったのだけれど、地図にない道を歩くという不安。そういった不安は、いつも、その後地図にない道を教えてもらう度に生じるようになる。信じられないというのではなくて、地図にないことによって位置が確認できないということの混乱、そういった感じの不安、不安定感のようなものから、歩く速度が早くなったりもした。

結局、上板町役場の交差点に出て次の信号交差点からへんろ道に入った。そのあたりに出る道を教えていただいたように思う。ハッキリしないから「思う」ということなのだ。

安楽寺、十楽寺と打つ。八番札所熊谷寺への途中で30分休憩する。肩が痛い、腰が痛い、足は豆はできていないのだけれど、痛い。頭痛もしていたので、鎮痛剤を服用。朝食もとっていなかったので空腹だった。10時40分出発。快晴、半そでに白衣、ザックを背負った背中は汗で濡れていた。

八番札所熊谷寺の提灯

熊谷寺、法輪寺、切幡寺、空腹。

朝食もだけれど、昼食もとれないでいた。タイミングというか、食堂も少ないし、コンビニもなかったので、そのままになってしまった。歩いていると、そういうことが多い。例えば、へんろ道から1キロも行けば大通りだったり、食堂やコンビニがあったりするのだけれど、その1キロを歩くということが難しい、遠い。遍路はいつも空腹なのだ。

その日は、切幡寺の門前「ふじや」にて遅い朝食兼昼食。月見うどん500円をいただく。ポン菓子(スウィートライスとか言ってたかな)をお接待でいただく。

14時30分、藤井寺まで9キロメートル……。

明日は最初の難関、焼山寺までの山越え「遍路ころがし」が待っている。法輪寺でお坊さん(巡拝ツアーで引率していた)から「今日は藤井寺までがんばって行って、そのへんで野宿して、早朝から焼山寺を目指しなさい」と言われていた。とにかく早朝には藤井寺にいなければならなかった。

「藤井寺直進」の遍路道の看板 お遍路さんはいつも空腹なのだ

藤井寺までまだまだ6キロ。川島潜水橋 GoogleMap

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