逝く夏

オリンピックを見ただけの夏だった。なんとなく忙しかったし、なんとなく時期を逃して、どこにも行けずに終わりそうだ。

電車に乗って、それは特別な理由がない限り普通電車なんだけれど、遠くへ行きたいと思っていたのだけれど、それもできなかった。休日は終日蟄居して酔っていて、なんとなく、ぼんやりと、時間は過ぎていった。

なんとなく、ぼんやりと、そんな時間を過ごすことが多くなった。人と話すのも、人と出会うというのも、面倒だ。「仕事を通じて人間関係を増やしたい」なんて就労意識を持っている人が多いそうだけれど、本当ですか?その人間関係こそ、ボクたちを苦しめる張本人だとしても。

セミの抜け殻を、それはなんとなく郷愁じみた感傷で机の上に置いていたものだったのだが、それを空へ、戻した。少しだけ飛ぼうとモガイタ後に、路地の上に落ちた。やがて通るクルマに轢かれ、グッシャ、とか、クッシャ、とか、そんな乾いた最後の泣き声を、それは悲鳴とか絶叫なんてものではなくて、ちょうどボクのため息のような音を、そう声ではなくて音なんだけれど、そんな音を出して、そうしてまた空へ戻ろうとモガイテいた。やがて粉粉になって、今度は本当に風に飛ばされ、夕立に打たれ、また土に戻る。

「お前と別れる定めだった」

ボクはなんとなく笑ってしまった。

「生きていれば良いことがある」なんて平気で言う人がいるけれど、そんなことは決してない。「死んだほうが良い」ことが多いのも確かだ。苦しんで、それほど頑張って生きる必要もないようにも思う。多くは死ぬ勇気がないだけで、死ぬことができればこれほど楽なことはない、そう思う。

死ぬことがデキルほどの自由。そう思わないか?

哀しむのは残された人たちで、本人は土に戻るだけなのではないのか?

死にゆく人たちを、ボクは止めはしない。

そんなことを考える、疲れすぎて眠れぬ夜だったり・・・。

宿儺かぼちゃ
宿儺かぼちゃを煮た。人生即食。

2件のコメント

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    のなさん、こんばんは。
    確かに暑さが和らいだ、そんな一日でしたね。まだまだ残暑は続きそうですが・・・。
    なんなんでしょうね、人って。自分も他人も傷つけるんだから・・・。そんなことを考えるボクたちってのは、たぶん、やっぱり社会に適応できないのだろうと。独りでこっそりと生きてゆきたいと思っても、それも、やっぱり無理なんだろうし。
    SMAPかあ。やっぱり人間関係からなのだろうと、思っています。

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     暑さが和らぎましたね。そうですね…。職場の人間関係が苦しめる張本人て、本当ですよね。そこは、煩わされたくないです。無理か…。それと、特別ファンではなかったけど、SMAP解散はショックでした。体には、くれぐれも気をつけてくださいませ。

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