鬼ぼっち

クリぼっち、なんてコトバがあったんだけれど、じゃあ節分は、鬼ぼっちだね・・・。

ひとり上手とよばないで
心だけ連れてゆかないで
わたしを置いてゆかないで
ひとりが好きなわけじゃないのよ

(中島みゆき)

鬼は外・・・。

鬼もいない部屋の中にいるのは、ボクとそうしてボクたちの想い出だけで、時間とともにどんどんと圧縮されてゆく。過ぎ去った過去だけが永遠になる。

鬼なることのひとり鬼待つことのひとりしんしんと菜の花畑なのはなのはな

(河野裕子)

福は内・・・。

捨て猫は、とりあえず夜が明けるまで、こうして知らない街で寒さに震えながら眠ろうとする。今はただ眠ることだけの「福」しか考えることは出来ない。というか、眠ることがすべてで、一日のデキゴトなんてのはそのためだけにある。デキゴト、と言っても食べることがそのほとんどなのだけれど。

他人の「福」なんてのは興味ないのだけれど、こうも「福」に見捨てられては、圧縮されたその永遠という時間の紐を解いて、「福」の欠片を探し始める。もうそれは癖になってしまっていて、たまに酒の力をかりて、眠ることも忘れてしまうこともある。

オレは外、オレは外・・・。

なんとなく自分のことも他人のことも、そうして世間とやらも、解かったと思っていたのだけれど、こんなに大人になっても、なんだろう、どうしてなんだろう、自己否定することによって精神の安定を保とうとする。病気だ。きっと脳が寒さにヤラレてしまったのだ。眠り過ぎて神経が壊れてしまったのだ。

オレは外、オレは外・・・。

ダレカタスケテ。

そのダレカがどこにもいなくて、パソコンやスマホの中を探す。けっきょくだれもいなくて、おれはそとおれはそと、なんてつぶやいてまっくらのへやでふとんにくるまってねむろうとする。おれはそと、おれはそと。そうしてめんどうくさいじぶんをまたうらみはじめてはおれはそと、おれはそとととなえはじめている。おれはそとおれはそと・・・。

JR東海道線 普通列車から豊橋市内 入口のドア

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