愛犬の死、ロミの生涯
愛犬の死、あの時のことを思い出した。
なぜロミという名前になったのかは知らない。ボクが物心ついた頃には家にいた。白い小さな雑種だった。家の玄関が彼女の住まいだった。ダンボールのベットに夜を過していた。
ロミは車に轢かれて左の後ろ足が不自由だった。車に慣れてなかったのだろう向っていって轢かれたという話だった。それからは上手く走れなかったのだけれど、やはり車が憎かったのか見ると吠えながら向っていった。それでも何回か子供を産んだ。隣の家にもロミの子供がいた。何年か後、その子供の子供がやがてボクの家にやってきた。近所には他にロミの子供が何匹かいた。
親戚の子供が遊びに来てはロミと遊んでいた。ロミはその子が大好きになったようだった。その子は時々ロミを連れて帰るようになった。それほどロミを愛していたのだろう。いつもロミに話しかけていた。
その子の家は坂の途中にあって、庭というか玄関の前は石垣になっていた。ロミはその玄関の前に繋がれていた。
愛犬の死
ある日繋がれたままロミは石垣から足を滑らしてちょうど首を吊る格好で死んでしまった。後ろ足が自由だったら石垣を登れたのだろうと思った。それが哀れだった。首を絞めれれたので声も出なかったのだろう。気がついたときにはもう死んでいたということだった。
ボクと姉はロミの亡骸を引き取りにいった。その子もとてもショックだったようで、一言も喋ることなくただ泣いていた。誰も責めることはできなかった。姉もボクもそれどころではなく、ただただ泣いていた。これがボクの経験した始めての死別だった。
ボクたちはその後、ロミの亡骸を抱えて少し離れた海岸沿いの雑木林に向った。ロミを埋めるためにである。なぜそこにロミを埋めたのかボクには分からない。きっと姉が父親からその場所を指示されたのだろうと思う。
かなり深い穴を掘った。小学生のボクたちには深く感じたのかもしれない。ロミの身体は温かかった。それはロミ自身の体温なのか、それともボクたちの体温で温まったのかは分からなかったが、ボクたちはもう一度そして何度かロミの名を呼んだ。もしかしたらと思ったのだろう。姉はそんなことを言った。
そしてさよなら
そして穴の中にロミを入れて「ごめんごめん」と何度か言って埋めてしまった。ボクは親戚の子を少し恨んだのだけれど、姉はその子を一生懸命慰めていた。それも悲しかった。姉はボクとは違った観点で悲しみを増していたのかもしれない。
姉が高校生になってもう一度犬を飼うことにした。ロミが死んで3年は過ぎていた。隣に住んでいたロミの子供の子供をもらうことにした。名前はその頃姉が好きだった人の名前の一字を取って「りゅう」と付けた。そうすることがロミに対しての償いになるかのように。
そのことはボクと姉だけの秘密になっていた。ボクたちはロミの死を通して別れの悲しさなんてのを学んだのかもしれない。それは出逢いの大切さでもあるのだけれど。そして思い出やそれを大切にする優しさなんてのも教えられたように思う。
そういう意味ではロミはまだボクたちの心に中に生きているように感じる。




夢の船乗りさん、こんばんは。
懐かしいエントリーにコメントしていただきありがとうございます。久しぶりに読み返すと、なんだか思い出しますね、あの頃のこと。
今は、というか、もう20年以上もペットは飼っていません。アパート暮らしだとね。それに自分のことだけで精一杯で…。
でも、最近は、犬もカッコイイ犬ばかりでね。捨てられてるのを拾ってきてとか、空き地でこっそり牛乳やって育ててた、なんて想い出はないのかもしれませんね。
またコメントしてください。
初めてコメントします『夢の舟乗り』と言います。
よろしくお願い致します。
いつも楽しみに(?)『トヨタ期間従業員に行こう』を見ています。
私の実家でも猫を飼っています。
初めて猫を飼ったのは、20年以上前になります。
その猫は飼い始めてから、11年後に寿命で死んでしまうのですが、猫とはいえ家族同様に思っていましたから、死んでしまったときはとても悲しかったです・・・。
だから、t-kikanさんの気持ちも痛いほど分かります。
t-kikanさんはきっと優しい心をお持ちなのでしょうね。
これからもその優しい心を失わず、生きていって下さい。
写真増えてましたね。
人様の飼っている犬は好きではないです。だって吠えたりするじゃないですか。犬にも目つきってのがあって、悪い犬がいますよね。そんなのは怖くて近寄りたくないです。
実家では結局「りゅう」のあとに「ひめ」を飼って、それからは実家でもボク自身も犬は飼っていません。生き物を飼っていないです。なんだか、やはり、別れを考えてしまうのでしょうね。
t-kikanさんも犬好きそうだな・・・とは思っていましたが、犬にまつわる辛い思い出をお持ちだったんですね。
私の公開フォトを見てから思い出されたのでは??もしそうでしたら申し訳ないです・・・
本当に可愛そうな最期でしたね・・・
私の場合も、いつ、どうやって別れが来るかわかりませんけど、今を精一杯可愛がってやりたいと思っています。