パノプティコン

パノプティコンとはウィキペディア(Wikipedia)では「パノプティコン、もしくはパンオプティコン(Panopticon)は、邦訳すれば全展望監視システムのこと。全てを(pan-)見る(-opticon)という意味である。イギリスの哲学者ジェレミ・ベンサムが弟サミュエルに示唆を受け設計した刑務所その他施設の構想であり、その詳細が記された『パノプティコン』が1791年に刊行されている。」とあります。パノプティコン – Wikipedia


出番を待つ神輿

ま、そのパノプティコンの話はさておき、作業している背後でストップウォッチを持ってGLが立っていた、なんてことを経験したことはありませんか?そして反射的に身体が早くしようと動いていたり。ストップウォッチを持っていなくても、ジッと作業する様子を見ていたりすると、どうもやり難いですよね。

ストップウォッチを持っているのには2つの理由があると思います。1つは、そのままあなたの作業時間を秒単位で計るという理由です。標準作業というのは、作業時間や歩数などを細かく決めているようで、もちろん見ることや触れるといったことにも時間が決められていて、その合計時間が一工程の作業時間で、タクトタイムと一致しています。

もしあたなが標準作業時間内で作業できなのであれば、会社としてはあなたを移動させるか作業内容を見直す必要があるわけですから、あなたの作業時間を知る必要がありますよね。逆に時間に余裕がある場合にも作業内容の見直しはあるでしょうね。

もう1つの理由は「急げ」という無言のメッセージです。ストップウォッチを持った上司が背後にいると前述のように早くしなければとか、良いところを見せなければと思うのが普通です。あなたも早く丁寧にと思うことでしょう。「急げ!」とはなかなか口に出して言えないし、言って事故でも起こしたら問題ですから、恐らくCLやGLの口から「急げ」という言葉はでないものと思います。

ですから、急いでもらいたい時や、「なにゆっくりやってるんだよ~」なんて思ったらストップウォッチを持って背後に立ってあなたを追い込むということを、ボクならします。決してトヨタの現場でそういう意図で行なわれているということではありませんが、本当に作業時間を知りたいのなら、こっそり計りますよ、きっと。それも作業開始直前、1時間経過後、ほっとタイム直前の三回に分けて測定して、その平均を出すと思います。計っていると分かった時点で、それは正しいデーターとは言えないでしょうからね。

あなたが見られていたり計られている時には、実際はあなたを見ているのではなくて、作業の創意工夫を考えていたり、あなたの向こうの作業者を見ていたりするのでしょうし、計られている時は上記のようなメッセージをあなたに送っているのだろうと考えています。

2階の詰所の明かりの消えた部屋にあなたを見ている人がいるのかもしれないですね。ま、見ているといっても、サボったりする暇なんてないのですけれど…。そんな余裕が欲しいですね。

13件のコメント

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    びっぱーさん、こんにちは。
    ありがとうございます。
    ストップウォッチの件は、実際そうであっても、働くほうはあまり気持ちの良いものではありませんよね。確かに人それぞれ能力が違うでしょうから。
    「タクトに合わせる」というのが大前提ですから、やはりどう考えても「はじめに作業者あり」ではなくて、「はじめにタクトあり」となどと考えてこの記事を書いたものです。
    ま、おっしゃられる通りだろうとは思いますが、「ストップウォッチで計らなくても見れば分かるだろうに」と思った次第なんです。
    それは決して「気にしない」という精神状態にはならなくて、ほとんどの人は「焦る」という状態になると思うのですよ。
    それよりなにより、やはり嫌な感じがしたもんで。
    写真のことを褒められたのは初めてなので、少しびっくりと言うか、喜んでいます。ありがとうございました。

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    こんばんわ。ちょっと横槍ごめんなさいね。
    ヒョンなことからこのサイトを知って、
    読ませていただいています。
    文章力もさることながら、写真のウデもすばらしいですねぇ。
    自分も写真をやるので見てて楽しいです。
    さて、本題ですが。
    自分の作業を、ライン外の人が計測している際、
    それが本当に「急げ」の無言のプレッシャーだとすれば
    そのライン外はおそらくトヨタマンとしては失格だと思います。
    少なくともトヨタ自動車における業務全般(ライン作業以外でも)
    において、特に忌み嫌われることのひとつに
    「ムリ・ムダ・ムラ」
    があります。
    (詳細はGLにでも聞いてください。知らないはずはありませんし
    トヨタで作業する以上、知っておいて絶対損はありません)
    作業要領書に書かれている標準作業は、基本的にムリ・ムダ・ムラなく
    タクトに間に合うようになっています。
    とはいえ、標準作業も永遠にそれが標準と言うわけでもありません。
    設備の劣化・作業者の得手不得手、その他諸々の要因によって、
    標準作業もその都度改定する必要があります。
    ライン外、もしくは技術員がストップウォッチを持って
    じーっとこっちを眺めているのは、そのためのデータ取りです。
    ですので、見られているからといって、
    わざわざ頑張って早く作業をしたりする必要はありません。
    もし、作業に熟練してタクトよりも早く出来てしまうのであれば
    その時間を品質チェックに当てて、ミスを減らせば一石二鳥。
    一方、わざと遅くしたらしたで、「作業にムダがあるんじゃないか」
    「ムダを作ってる要因は何だ」となります。
    標準作業は、なにも机上だけで考えられたものではなく、
    実際に誰かが作業して「できる」ことが確認されて作られています。
    なので、あいつが出来ておみゃーにゃー出来ん、ってことは
    その原因を追求して、手を打つように職制が動くはずです。
    (その「手のうち方」が、お咎めだったりすることもあるかも知れないですけど)
    そういう問題点を常に探して、カイゼンしていくという精神が
    トヨタには深く根付いています。
    しかもそれは、現地現物でないといけません。
    「なんかあそこの工程の効率が悪そうだけど、あれの原因は多分コレだがや」
    なんていった日にゃ、それこそ雷が落ちます。
    現地に赴き、自らの目で現物を見て対処する。これがトヨタのやりかたです。
    それと、いつぞやのエントリーにもありましたが、こういったことの
    教育を期間従業員の方にもしっかりしたほうがいいと私は思いますねぇ。
    長々と書きましたが、要するに
    「ストップウォッチの人は、気にする必要なし!」
    と、言いたかっただけです。
    失礼しました。。。。

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    というか、きっと従業員には「一番早いタイムが楽だからね」なんて言っているかも(^^; その上で計測しないときっと、ゆっくりする人もいるでしょうから…なんて考えていますよ。

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    そうなんですか。失礼しました。
    でも一番速いタイムを取り入れたほうがトヨタらしいかも(笑)

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    タクト(サイクルタイム・作業時間)は、基本的に三回の平均です。

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    シニアさん、こんばんは。
    ご飯食べて寝てました。いつもこんなパターンです。それで夜更かしして、土曜日はお昼まで寝ている。
    在籍手当は、正確には今度25日の給料に入っているので、まだ手にしていません(^^; 
    「一個の作業を紙一枚でかん・こつの言葉化や安全、取付方法や取付順番、不具合発生例などいろいろ事細かに書いているのはおそらくトヨタだけでしょう。」
    ああ、なるほどそうでしょうね。それと「言葉化」ですね。入社したてのときは、その標準作業書を一日中見ている人もいますものね。
    「一番早いタイムが楽なやりかたをしている」
    う~ん、なるほど。無理な動きがないから早いタイムが出ると言うことなんでしょうか。個人差があって、ボクには出来ないけれど、シニアさんには出来るタイムってのもあるから、そんな時はどうするのって思ってますが、やはり慣れるしかないのかなあ。
    今度の登用試験は10月でしたっけ。ボクには声がかかりません。声をかけられたら断わりますけど。てか、12月で満了して、再度就職活動する予定なんです。
    声がかからないとかからないで、さみしいけれど。う~ん。

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    こんばんは。
    6ヵ月在籍手当ですか。あ、私にもごちそうしてください。(笑)
    そういえば、GLが来て「タイム計らせてくれ。」と言って計っていったことはありますね。私はいつもどうり作業をしただけですが・・。
    一個の作業を紙一枚でかん・こつの言葉化や安全、取付方法や取付順番、不具合発生例などいろいろ事細かに書いているのはおそらくトヨタだけでしょう。他の企業なら「細かすぎる」「めんどくさい」「こんなのやって何になる」など否定的な言葉が聞こえてきそうですね。
    あと、何回か計った後に採用されるタイムは、一番早いのだと思いますよ。「一番早いタイムが楽なやりかたをしている」ということでした。
    同じ日給をもらうのでしたら、安全で不具合が出なくて楽なやりかたを追求していくのがいいですね。いくつか考えたのがあるので創意くふうとして出せばいいのですが、書くのが面倒くさくて・・・。
    ところで、管理人さんは準社員登用試験のお声はかかってないのでしょうか?6ヵ月在籍手当をもらったということは今度の試験の受験資格があると思いますが・・。

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    >番頭さんへ
    ワークフローですか。個々の作業は標準作業書で持つ位置や立つ位置まで決められていますから、それを繋ぐワークフローシートもあるでしょうね。現場というよりもトヨタの場合は、それ専門の課があると思います。新しい工程を立ち上げる場合には、その現場の人たちではなくて、専門の部署の人が来ていますからね。
    ですから、現場では社員と期間工との境目はそれほど感じられません。ボクたちが帰った後に喧々諤々というほどのことは起こらないと。ま、社員も同じことをしていますから。GL(グループリーダー)やEX(エキスパート)級ではあるかもしれませんが。
    ま、おっしゃられるように作業自体を分析して「もうこれ以上改善の余地もない」ほどにしているので、それこそ持つ位置、立つ位置、顔の位置、なんてことも決まっていますから。その作業が時間とともに、「かん、コツ」と言われるものが加わって、その人なりの方法で、言葉や文字に出来ない作業を行なうのでしょうね。それが熟練なのかもしれないと考えています。
    ま、トヨタシステムというのは、たぶんものすごくきめ細かく分析されているのだろうと思っています。
    >愛好家さんへ
    やっぱりね(^^;
    ま、いろいろ考えるより、そのほうが印象は良いだろうね。で、汗をダラダラかきかなが、合間に青いタオルハンカチかなんかで、その汗を拭くと100点かもしれんよ。
    最近は飲酒検問があっちこっちでやっているらしいので、ま、心配はないだろうけれど、飲んだら乗るなです。いや、ま、それだけが心配でね。6ヵ月在籍手当も出たので、愛好家さんにもなにかご馳走したいのだけれど…。(ま、言うのはタダだから)

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    番頭です。
    あっ、昨夜は眠くて書き忘れてしまいましたが、9/11のアーサーさんの件も、このマネジメントに基づいての社員さんの行動だと思います。社員さんは、ワークフローシートの作業を分解したチェックシートを持っていて、工程の中で、「自然(簡単)にできる」ものと、「自然(簡単)に出来ない」項目(人によって違います)のチェックリストで確認し、自然に出来るような仕方をマスターさせるのです。けっして叱らずにと言うか、社員さん達の頭の中には、全体の流れのチェックリストが入っているので、逆に新人さんが一つの項目が自然にできるようになれば「すごい」とか「よくマスターした」とか言って、ほめてねぎらってくれると思います。ほめてねぎらわれると人間は、「快」になり、「よし、次!」と、気分良く次の「自然にできなかった作業」をマスターしていくのです。そして、作業の流れが「自然にできる」になるまで、ワークフローシートの作業を分解したチェックシートで常に確認・確認・確認・・・と。チェックシートがあれば、教え方もブレないしね。叱るということは、人格否定につながりますから。でもトヨタさんは、僕が教えてもらったマネジメントより、もっと進んだ、最先端の人間の行動科学マネジメントを現場で活用されていることでしょうね!

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    ああ・・・あるある!!
    ・・・確かに油断するとワタクシの後ろのほうでも
    ストップヲッチを持った御仁が目線を合わせずに
    チクタクしていたりしますよ。
    まぁ、やっぱり「そいうの」が目に入ると
    意識したくなくても意識してしまいますよね(^6^;
    ワタクシなんぞは燃え燃え(萌え萌えではない)
    してしまって、タクトを上げまくってしまうので
    隣の作業者から「落とせて~」
    と、たしなめられますが。。。
    (お調子者はつらいよ・・・)

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    番頭です。
    管理人さん、先日は、期間従業員さんの作業環境も知らないで、ズバズバと云いたい事を書いてしまい、申し訳ありませんでした。
    皆様、ご勘弁をm(_ _)m。でも、また書かせてもらいます。
    今でこそ、いろいろな会社で採り入れられている「行動科学マネージメント」という、手法だと思います。トヨタさんに関しては、憶測の範疇で詳細は、分かりませんが、期間従業員さんに与えている一工程の作業内容の流れ(動き)を、出来るだけ細かい要素に分解して、分解した作業内容をワークフローシートに記入し、期間さんが帰ったあとで、社員さん達が集まって、喧喧諤諤と、やるんじゃないでしょうかね?もっと、改善する点は無いかってね。人によって、得手不得手が違いますからね。で、また、新しく入社した新人さんにも、正しい作業行動のレパートリーを教えてあげて、その人の不得手な部分は、ワークフローシートに基づいて、さらに細かく分析して教えてあげる・・・。すると短期間のうちに熟練者のような作業ができるようになります。だから、あまり期間従業員さんが「改善提案、創意工夫」する余地は、少ないのかも知れませんね。

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    こんばんは。
    期間工さんはトヨタの期間工なのでしょうね?
    ま、パノプティコンとトヨタの工場の話は別々ということで…。それでも、かなり遠くまで見通せるというのは確かですが。それにおっしゃる通り、ゆっくりしている暇もないですから、時間に操作されているような感じですよね。
    計られる時ってのは、やはり緊張したりしますよね。それで、ま、そんな余裕もなったり。
    ま、またコメントしてやってください。

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    ははは、あんた巧いね。パノプティコンとトヨタの工場を絡めるとはね。しかしだ、オレたちは時間という姿の見えないものから常に動かされているから、監視システムなんてものは必要ないだろうと考えるね。
    ストップウォッチで計られる時オレはいつもより遅く作業するよ。その時間とあんたの言うようにこっそり計られている時間を比べられて評価されていたりね。

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