幸せってなんですか？

2007年2月25日

幸せってなんですか？

豊かさなんて言いますよね。発展途上国を見てきた人の多くがその「豊かさとは」なんて言葉を使いますよね。日本は豊だってね。ボクも使っていました。

そうですね、１時間、発展途上国の話をすれば１０回は「豊さ」という言葉を使っていたでしょう。日本の物質的豊かさと、そして逆の心の豊かさというふたつの豊かさについて「どっちが良いのか」なんてことを分かったふりして話していました。

春来る人の器　幸せってなんですか
春は来ますか？

貧しい国の豊かな人たち

日本というのは格差社会、経済格差が拡大したと言われても、まだまだ豊な国だろうと思います。路上に転がっている餓死死体を見ることもありません。裸足で「マネー、ギブミーマネー」なんて追いかけくる少年もいせん。国民のほぼ全員が義務教育は受けているでしょうしね。

にもかかわらず、発展途上国のほうが「豊か」だと感じられるのは、資本主義ではないシステム、極小単位の社会主義的な生活が営まれているからだろうと思います。

家族や親戚がそれぞれを扶助するシステム。与えることで成り立っている社会に対する精神的豊かさ。利他的な生き方に対する本能的な憧憬のようなものと思います。

そのシステムに他者である自分が組み込まれたときのもたらされる幸福感を「豊かさ」と感じられるのだろうと思います。

豊かな国の貧しい人たち

しかし、異国にあってはボクたちはあくまでもゲストです。本当の家族にはなれません。そしてボクたちには帰る場所があります。彼らにとってもボクたちにとっても、お互い傍観者でしかありません。他人事である豊かさです。

社会主義社会、貧困の平等化なんてのは日本にもあって、それもそんな昔のことでもなくて、隣近所の付き合いがあった長屋の時代には家族単位の共同体が相互扶助という形で生活を分け合っていました。人びとがまだ生活を山や畑、海や川に求めていた時代は、働くということは生命を維持する目的でしかなかったのでしょうし、そしてその装置として家族を作るということも行なわれたのでしょう。

豊かさの正体

「生きる」ことが簡単だった時代。それはそのまま発展途上国の現状だったのでしょう。そこで繰り広げられていた家族という共同体の営みが「豊かさ」の正体なのでしょう。そして、現在の日本の豊かさと比較するのでしょうね。

人間の最小単位の欲求を満たす行為で満足することの出来る生活という「豊かさ」と、際限なき欲求を満たすことのできる生活を追及する生活という「豊かさ」との比較。というのはそもそも出来ないことで、コシヒカリを食べることとウガリを食べることのどちらが幸福かと問われても、それは答えられないというのと同じで、幸せなんてのは利己的なところで随分と個人差が出てくるのだろうと思っています。

とこさんからのコメント

価値観が多様化した現在では、仕事以外の趣味などに自己実現を求める人種がいて、そういう人たち（私もですが）は労働は単に自己実現の為の経済的なアシストを求めるだけの手段でしかありません。
だから、（１）できるだけ短い期間の拘束で（２）できるだけ多くの金銭を稼ぐこと、だけを仕事に求めます。なぜなら、労働は手段であって目的ではないからです。

労働の目的

労働が生きるための、そしてその豊かさを求めるための手段でいいと思います。そのためにトヨタ期間従業員や派遣社員というシステムも必要なのでしょう。そういった需要のほかに、今でも季節的な出稼ぎ労働は必要でしょう。全ての労働者を正規雇用に切り替えろというのは無理があるでしょうね。

そして幸せの形もいろいろあって、なにもマーケッターが造り出した欲望を確実に満たすということだけ、幸せのサクセスモデルに近づくことだけが幸せではないでしょう。

銭形金太郎というテレビ番組を見ていると幸せがお金ではないと思いますしね。それに欲望が毎日造り出されるプラモデルのような街に自分を合わせて生きることもないですからね。好きな人とウガリを食べる毎日が幸せだってこともあるだろうし。