選挙で眠れない(2)

いえ、ボクはなにも、今度の愛知県知事選で石田芳弘氏に投票したほうが良いよ、と言っているのではなくて(石田芳弘陣営から「よろしく」なんてお願いされて、「謝礼も用意していますので」なんて言われたら、大っぴらに言うってこともやぶさかではないのですが)、ボクたちの毎日が投票行動みたいなものだ、と思っているのです。

今こそローカリズム―石田芳弘対談集
例えば、あなたが工場の食堂で、「えっと、今日は何食べようかなあ」なんて迷いながら「カレーも良いけど、やっぱり牛丼かな」なんて考えて、牛丼を食べたとすると、もうあなたは牛丼に一票を投じたことになると思うのですよ。カレーは、もしかすると、廃棄処分になる可能性だってあるわけだし、「やっぱり牛丼かな」なんて人が多くなると、カレーはメニューから消えるってことになるのです。
投票行動というのは「支持政党に基づく投票」「争点評価に基づく投票」「候補者評価に基づく投票」という3つの要因によって決定されるそうです。「工場の食堂」と決めて「カロリー表示されてメニューも豊富」なんて言われているから行って、「たんぱく質の
多い牛丼」を食べるという行動を考えると、なるほど3つの要因かなあ、なんて分かりやすいですよね。
商品を買うということは、投票行動であって、そのメーカーなりに賛成の一票を投じることなので、ボクたちは、ボクたちの未来を毎日選択し、それに投資しているということになると思います。企業に対する投資というのは、なにも株を買うという行動のみではなくて、こうしてその企業の商品を買うということで行なわれているのですが、どうもそのあたりのことが曖昧になっていて、企業側も投資家である株主だけに目が向いていて、投資家である消費者に対しては完全に無視していると思っていますし、そのことがリコール問題や、ま、食品会社の問題になっているのでしょう。
SRIとは、Social Responsibility Investmentの略で、「社会的責任投資」と訳されているようです。これは「企業に投資する際に従来型の財務分析による投資基準に加え、法令遵守、企業倫理、環境保護など企業に期待される社会的責任を果たしているかも投資尺度とする。人権への配慮、雇用面の取組み、顧客満足、社会や地域への貢献なども参考とされる。」(オーガニック・ロハスカフェ/レストランガイド:きのままから引用)という投資のありかたで、企業というのは本来、このような社会的責任を負うべきものだろうと思いますし、その企業に姿勢にたいしてボクたちは評価をし、その結果として商品を買うという行動をするのが、あるべき消費者の姿なのかもしれませんね。
ところがどうもそうではなく、ボクたちはテレビに映し出されるコマーシャルによって、思考停止状態になってしまい、「とりあえず良いんだろう」というような消費行動を取っていると思います。それは「納豆問題」でも証明されてしまったと思うのですが。
政治と企業がグルになって労働者から搾取するということだけではなくて、テレビ局とそのパトロンである企業、要するに企業と企業からも洗脳されてしまっていて、もうまともな投票行動なんて出来ないぐらいにされてしまっているのかもしれませんね。
そして、選挙という政治的つながりまでもが、企業や組合あるいは宗教といったもので断ち切られてしまって、投票行動の3要因なんてことではなくて、右向け右という方式で、思考停止させられているのが現実ではないのでしょうか。
『ただ、それを選んできたのも国民自身である、とも思います。かの郵政民営化などはその典型で、「官から民へ」とは実際は、「官・民から財界へ」の構図でしょう。
本来、官・民・経済界が三つ巴のバランスを取っているはずなのに、民=財界 と勘違いした大衆が、小泉内閣の「民間へ、民間へ」の掛け声に煽られ、格差社会を推し進めてしまった…。』
と、かきざまさんがコメントしてくれたように、結局は民営化ということは、財界一本化だというのが現実で、「民=財界」ということは幻想だったと、幻想ではなくても、勘違いしているんだと、ボクたちはもう気付くべきで、知らないところで何かが蠢いているんだと、少しだけ感じることが大切だと思っています。
リコールを出す企業は○か×か、女性は出産する機械だとする政党が○か×か、なんてことはSRIなんてことを持ち出さないでも、簡単に答えがでるはずで、大量CMを流している企業が○なんてことはないんだと思えるはずです。
もう踊らされるんではなくて、そろそろボクたちがコントロールするという気持ち、てか、政権ぐらい変えてやれるんだぐらいのカンジで、ま、今日はカレーより牛丼ってな具合に、投票するのも、アリだと思うのですよ。そうすることがカレーを美味く、あ、いえ、政治を真面目にさせることだと思うんです。
最後に、ボクはなにも、今度の愛知県知事選で石田芳弘氏に投票したほうが良いよ、と言っているのではなくて(石田芳弘陣営から「よろしく」なんてお願いされて、「謝礼も用意していますので」なんて言われたら、大っぴらに言うってこともやぶさかではないのですが)、ボクたちの毎日が投票行動みたいなものだ、と思っているという話ですから。

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