帰郷・夢寐(12月28日)

糸崎行きの始発電車がホームに入ってくると、そのひとは自分の立っている位置を確かめるようにうつむき、そして少し後ずさりしたんだ。

ボクたちは寒くて眠れぬ岡山駅新幹線口前ベンチの夜を過して朝をむかえていた。朝が来たという感触はなくて、夜はまだ続いていたんだけれど、時刻表だけは生真面目に朝をそこに記していたんだ。
この電車に乗れば、行こうとしている場所へとボクを運んでくれるんだけれど、それはもうどうにもならないことのようで、どう足掻いてもどう泣き叫んでも、あらかじめ決められていた運命で、それに従わなければならない不自由さを、ボクは感じていた。そうしてやはりボクもボクの位置を確かめるようにうつむき、そして少しだけ後ずさりしたんだ。
ボクたちの運命という呪縛を解いてしまって、そうして自由になったとしたら、ボクも彼女も黄色い線から前へと進んでしまうのだろうし、それが本当の幸せだとしても、そう思っている間に電車は停まってしまって、ボクたちが一歩前に進んだ先にあるのは、ボクたちの決められた場所へと運ぶ扉であって、その扉の向こうには新しい何かを、それが実は幻想であるということを知っていても、新しい何かを期待してしまうボクたちがいるということを、ボクたちはもう昨日の時点で知っていたんだ。それは「本当のもの」ではないのだけど…。
ボクは電車に乗って、そしてお昼過ぎには九州に入っていたんだ。下関駅ではアラレが降っていて、寒い九州だったんだけれど、やっと帰ってきたという気持ちよりも、やっぱり「どうなるんだよ、オレ」っていう気持ちの方が強かったんだ。
睡眠不足だったので車内ではほとんど眠っていたし、その間中夢ばかりを見ていたんだ。それはやはり田原のことだったんだけれど…。
(やっと帰り着くことが出来たよ。わずか数日のことだったんだけれど、すごくいろいろなことがあって、過去や未来のことなんかもそれに加わって、何ヶ月ものことのように感じました。また明日からは、期間従業員やトヨタのことなんかについて書いてみたいと思っています。)

4件のコメント

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    サマンサさん、こんばんは。えっと、はじめましてかな。
    いろいろありましたよ。いろいろとありすぎて、なんだかどうにかなりそうだったのです。それにずっと睡眠不足だったもんだから、神経過敏みたいな感じで。
    もうあんな感じの旅はできないかもしれないと思っています。青春18きっぷはまだ二日分あるので、期限までにはどこかに生きたいのですが、野宿も寒いしねえ…。
    ありがとうございました。

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    お疲れサマンサです。いろいろあった帰郷の旅ですね。

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