労働災害のメカニズムみたいなもの

「赤チン災害」なんて言われる、小さな/小さくされる怪我や、報告されないものを含めると、どうなんだろう毎日数件はどこかの工場で発生しているのではないかと考えられる労働災害なんだけれど、なくなりそうでなくならないのは、やはりその人的要因である人の心理とか行動とかは複雑で、それを理解するということは不可能だからと、思っているのだけれど。
イデオロギーで拘束しても、例えばトヨタ生産システム(TPS)で作業行動を制限しても、あるいは行動をロボット化したとしても、心理的要因でその動きが乱れるということもあるのだし、その心の動きまでを制御(洗脳)することは不可能にも近いことなので、やはり事故なり災害は起こってしまう。
「仲間」とか「一体感」なんてのは、そのイデオロギーを亢進させる動機付けでしかないようなもので、結局はTPS絶対主義という仲間内の団結(組合の好きな言葉ですよね)の合言葉、ジャルゴンみたいなもんだろうし。
だいたい行動特性は先回りして予測できたとしても、そしてそれを基に安全対策を施したとしても、それが全ての人に当てはまるということはないので、それに心理的なものってのは複雑なのだから、各職場にカウンセラーを置くということをしたとしても、やはり災害は起こってしまうものだろうと思うのだけれど。
また起こったらしい。
(1)タクトアップ
(2)残業の増加
(3)土曜出勤
いずれも生産台数が増えているからだろうけれど、こういう条件が重なる今の時期は、従業員にも疲労が蓄積されている。
(4)稼働率の低下
(5)ラインストップが頻繁に起こる
(6)微妙なタクトアップ(あるいはその感覚)
なんてことも重なると、作業遅れに敏感になるので、どうしても慌て作業が多くなるのだろう。
そして慌てることによって、それも疲れているので、信じられない事故が起こってしまう。本人も「まさか」と思うのだろうし、今までは「大丈夫」だったことで、重大災害になってしまう。
結局は、疲れてなくて慌てなければ良いのだけれど。
山での遭難に似ていて、疲労が判断を鈍らせて、慌てることで道を間違える、というメカニズムに似ていて、ま、もう少し余裕があればと思ったり、ライン停止を簡単にすることが出来たり出来ればいいのにと思ったりする。
どうやって停めるのか知らない人もいるしね。まずそこから教えることが大切なのかもしれないと思うのだけれど、それは課長以下現場は誰も口に出さないのだろうなあ…。結局は「作業遅れ」という罪悪感と羞恥心みたいなものが、「慌て作業」になって災害に繋がる場合が多いのだろうと思うのだけれど。
小さな怪我を隠してしまったり、痛みや痺れなんかを隠してしまうことも、結局は、そういう心理的なものがあるのだろうしね。そういう心理状態に追い込むのが「デキル」上司なのかもしれないと、思ったり…。

6件のコメント

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    根室標津さん、こんばんは。
    ま、そうですねえ。
    管理者は、とにかく、その原因と対策を考えなければならないので、なにがなんでも何か答えをだすのでしょうね。
    ま、形骸化されたものだといえばそれまでなんですが…。
    ロボット化しようとするのが標準化ということでしょうね。

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    ウチの課では、不具合を出したら、その原因と対策を書かせられ、掲示板に張りだされる。そうやって不具合を撲滅しようとしてる。でも不具合なんて、たいがいはあわてて作業したり、ちょっと気が緩んだときに出るものだと思うんだけどな。
    掲示板に張りだされるってんで、例えば「原因…指示ビラの記号の並び順と、実際に棚から部品を取り出す順番が違っていたため混乱した」なんてもっともらしいことを書かないといけない。ホントは「原因…別のことをボォーッと考えながら作業してたので」と書くべきなのだけれど。で例えば、「対策…指示ビラの記号を部品取り出し順に改めた」なんて書き、実際に記号の並びがかわる。全てムダ。くだらない。人間がやってることなんだから、少しぐらい不具合が出て当たり前だってんだ。俺たちはロボットじゃない。

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    >Fさんへ
    そうですね、上司にもよるかもしれないですね。
    ただ、痛みは傷と違ってなんか言いにくいということもあるでしょうね。目に見えないから客観的に判断できないし…。
    CLとかGL同伴でしか診療室に行けないというシステムじゃなくて、ホットタイムとかお昼休み、終業後にも気軽に行けるシステムに変えるということも必要だと思います。
    >まんまんしゃんさんへ
    おひさしぶりです。
    今年で5件、死亡1件というのは、どんな職場なのでしょうか。というか、それはそれで問題ですよね。
    どの作業も一歩間違えれば、というようなことは言えるのですが、お互い気をつけたいものですね。
    その番組は金曜日の夜にあったものですかねえ。ちょうど二直だったので見ることが出来ませんでしたが、たしか派遣社員の特集だったと記憶しています。
    宣伝していましたから。
    アパートを借りて、というような内容だったような。
    ありがとうございます。
    まんまんしゃんさんも、あまり無理なされないで、頑張って下さい。
    >さといもさんへ
    ええ、人的なものと物的なものがあるのでしょうね。それはKY活動でも同じでしょうし…。
    人的な場合は、それだけではなくて、目に見えない精神状態は案外無視されるもので、例えば上司からのひとことや、組の雰囲気なんてことにも多少は影響すると思います。
    体調不良ということで片付けられないこと。例えば、危険を承知でやらなければならないという雰囲気や、そう追い込まれる空気とか。
    それは各人の感性という問題にも関わることなので、かなり複雑になるのでしょうが。
    個人差もあるのだけれど、全体が煽り作業になっているってことです。ま、ゆっくりだから災害が起こらないということでもないのですが…。

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    何かで見ましたが災害は
    ・人に原因があるもの
    ・機械や設備に原因があるもの
    ・地震など避けようがない事態が原因のもの
    に分けられるみたいです。
    人に原因がある場合は
    作業手順に問題がある、不慣れ、体調不良などが主な原因になるのではないでしょうか。
    機械や設備に原因がある場合は
    日常の管理が一番の問題でしょうか。
    地震などは不可抗力なのでそれによる災害をなくすのは不可能かもしれませんが
    緊急の場合における対応を日頃から考えておけば災害を少なく、軽くする事は十分可能です。

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    お久しぶりです。ここん所子供の、進路の事で、色々あったものですからご無沙汰でした。ところで労災の事なんですが、私の、派遣先も、今年に入って5件発生して、その内
    死亡事故が、1件です。だから工場全体が、ぴりぴりしてます。先週なんか標準作業見直しと、言うことで、毎日2時間デスク残業でした。時給1500円の、1日3000円5日
    だから、15000円とっても、楽でした。毎日あれば、いいのに、と思いました。亡くなられた方には、気の毒ですけど、、、、明日は、わが身と、思い気を引き締めていきます。皆さんも、災害には、気をつけてください。
    ところで、先週NHKで、放送された。豊田市の、出稼ぎ労働者の、番組あったのですが、あの方達は、派遣の方でしょうかそれとも、期間工の、方なんでしょうか、見られた方教えてください。笠山さんも、見られたでしょうか、ご存知ないですか。
    長くなりますので、この辺で失礼します。
    それと雪景色の、写真綺麗ですよ。いつも楽しみにしてます。これからも、体に気を付けて無理せずお過ごしください。

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    自分がいた工程は鋭利な部品を素手で組み付けていたので、ちょっとした出血は日常茶飯事でした。そのうち、機械油にかぶれる人が続出したこともあってパームフィットの着用が必須になり、「これでやっと手を切らずに済む」と感じたのを覚えています。
    どんな小さな怪我でも、呼出ボタンを押してすぐに報告しないと逆に怒られました。その面では、まともな上司に囲まれていたように思います。

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