過労死裁判

「トヨタは利益以外のことで世界に認められる会社になってほしい」
とはトヨタ過労死裁判の原告であり、過労死で亡くなった内野さんの奥さんのコメントです。
判決では国側の主張する「会社に残ったのは雑談のためで、実際の残業時間は44時間程度。死亡は業務が原因ではない」という44時間という時間外労働を「『死亡直前の一カ月間の時間外労働は100時間を超えた」ものとして「職務上の精神的なストレスも大きく、業務と死亡との関連性は強い」として労災の適応を認め、内野さん側が勝利しましたね。
「裁判では、労基署長の時間外労働時間の認定方法の是非、トヨタ自動車における無償労働(隠れた業務、QCサークル活動、創意工夫提案活動など)の業務性の判断などが争点となりました」
というように勤務表上では44時間という時間外労働だったのでしょうが、会社にいた時間は100時間を越えるもので、従業員カードでの入退場の記録は100時間を超えるものになっていたのでしょう。その差分60時間以上はQCサークルや創意工夫、あるいは交通安全、指定残業時間を越えてしまったサービス残業だったのでしょう。
それを受けて、以来トヨタでは残業時間が終わり次第速やかに退場する(1時間以内?)というルールが出来たのでしょうね。
45時間というのは健康障害のリスクのひとつの目安になるようです。それ以上になるとリスクが高くなり、月100時間、2~6ヶ月平均月80時間になるとハイリスクになるそうです。その100時間、あるいは80時間というのが過労死としての認定されるかどうかのボーダーなのかもしれませんね。
トヨタは確かに、なんだか分からないけれど拘束される時間が長いように思います。それは期間工であるボクも感じるところで、例えば一直ですと朝5時のバスに乗って、残業30分だけでも帰りのバスは4時過ぎになり、たった30分の業務上の残業で12時間も拘束されています。それは富士見寮の人たちではプラス1時間ということになり、確実に毎日12時間はトヨタの管理下にある状態ですから。
社員になると、そんなボクたちよりは早く帰るということはまれで、裁判でも争点になった創意工夫提案を考えたり記入したりする時間は残業にはなりませんし、それに対する現場での実証なども含めると、かなりの時間をトヨタの利益のために無償労働させられている状況だと思います。
1件につき最低でも500円支給されるとしても、時給分になるということはなく、おそらく数十分の1にしかならない金額ではないかと思います。そしてQCサークルや、その発表会の準備など、交通安全などを含めると、内野さんほどではないにしても、社員ひとりが月に10時間以上はあるのではないかと思います。
全員が、それは社員、パート、期間従業員、派遣社員なんて関係なく現場は過労気味なのですよ。
先日豊橋市で起きたトヨタ社員の交通事故についても「前方不注意」ということにされたようですが、早朝5時の事故、出勤時間の5時ではなくて、帰宅時間の5時の事故でした。出勤するためにその同じ道路を走ってからすでに14時間が過ぎているのですよ。
ラインのあの不自然な動きと、タクトタイムの異常な速さ、それを8時間ほど行なって14時間の緊張の連続の後の車の運転。事故が起こらないほうが不思議だと思います。歩いていてもライン酔している時がありますから…。
トヨタ社員の寿命は平均よりも低いと聞きます。それはきっと過労と関係しているのかもしれません。それほど会社の利益に貢献しても、トヨタにしてもそしてその労働組合にしてもなにもしてくれない、というのが今回の裁判で内野さんの過労死とともに明らかにしたことだと思います。
それが死ぬほど働いた労働者に対するトヨタやトヨタ労組の態度だと思うと、なるほど「トヨタは利益以外のことで世界に認められる会社になってほしい」というのはもっともだと思います。
<参考および引用>
全トヨタ労働組合(ATU) トヨタ(内野)過労死裁判判決でる
トヨタ社員の過労死認定 名古屋地裁「サークル活動も業務」:社会(CHUNICHI Web)
トヨタ社員は過労死/名古屋地裁 「時間外に無償労働」

14件のコメント

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    >さといもさんへ
    恩義も、やはり会社がどう扱ってくれるかによって変わると思います。それは、どの時代でも同じでしょうし。
    内部告発がなければ、最近の偽装問題も明るみに出なかっただろうし、企業利益のためには消費者は犠牲になるってことにも繋がるでしょうしね。
    要するに、最近の企業の姿勢が少し歪んできたのが原因で、利益最優先、従業員は二の次、なんてことを平気で行なうからでしょうし。
    ましてトヨタのような大企業だと企業に対する恩義なんてのは、一般社員には希薄でしょう。職域があがれば、話は別でしょうが。
    密室で何もかも行なわれるよりも、間違っていることを問いただすという正義感とか倫理感は従業員にあって当然だと思います。
    >ゆうちゃんさんへ
    ああ、そうですね、精神論。
    おっしゃる通り、後ろから衝突されたり、回避できそうでない事故なんかも、どう注意すりゃいいのか分かりませんよね。
    被害まで報告書は、事故後の健康面への影響とかもあるかも?ないかなあ。統計は取っているでしょうが。
    やっぱり、慢性的な疲労ってのが原因で、道交法の「過労運転」ってので罰せられるぐらいに疲れ果てての退勤だったりするのではないかと思っています。
    勤務状態を警察はちゃんと調べているのかということも疑問です。
    飛び出してきた事故にも前方不注意、どう注意したところで不可避なものは不可避のことだってあると思うし、その根本的な要因は「残業」だったりすると思うし。
    ま、歩さんがお書きになった「作るな、乗るな」が完全でしょね。

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    交安MTですか。デンソーでも懇談会の一部としてやってます。安い菓子ひとつで懇談会だから定時時にして当然無償です。精神論ばかりの再発防止しかやらない(出来ない?)阿野専務のお頭ではQCしている会社がするものではない。交通事故ニュースも飲酒運転事故や死亡加害事故で「従業員(期間)」とつけている。事故した奴は悪いが別に「期間」をつける必要ない。平気でこんなことがニュースが全社で貼られている自動車部品会社はなんなのだろう。旗も持って公道の交差点で如何にも「事故防止活動してますよ」という企業の嫌なパフォーマンスに思えます。朝1時間も早く自宅を出て寒い風の中やっさているが事故件数なんて減っていない。それになんで被害まで報告書を書いているのか不明。信号待ちで停車中に追突されたのに「事故を避けるにはどうしたらいいか」なんて出来るわけない。被害でも統計を取って天候や時間と交差点なのか分類しているが事故防止が最終的に精神論では統計とる意味ない。業務扱いでなく研修扱いで助成金が1時間で500円でるだけ。ノルマとして毎年何度も実施している。それで事故が減ればいいが逆に増加している。被害事故で相手は無職、主婦、学生で自動車産業に無縁です。

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    私の考えが古いのかもしれませんが、会社に対する恩義というのは決してなくしてはならないと思うのです。
    内部告発なども同様であります。
    それにトヨタよりひどい会社も多数あり私は過去に給料や社会保険関係で揉めた事があるのですがその会社はこう言ってきました。
    「営業妨害で訴えてやるからな!」と。
    結局それで尻込みしてしまった私も情けないのかもしれませんけどね。
    ちなみにその会社には残業という概念さえなかったです。
    「従業員は24時間365日会社の管理にあるから全て勤務時間だと思え」
    という考えでしたので。

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    おはようございあます。
    >トウチュウさんへ
    下のさといもさんへの返事にもなるのですが、誠意を見るから死んでくれと言われてもね。何の恩があるのか分からないしね。
    豊田家にしたいのは、そういった恩とか仇とかいう日本人の持つ感情を揺さぶりたいだけということなのかもしれませんね。いや、なんか、そっちの方が強いように思えてきた。
    >高岡在住さんへ
    交通安全MTは強制ではありませんが、出なければいけない雰囲気みたいなものがありますね。そこをハッキリしないとね。
    一体感なんていうけれど、そんなもん都合に良いときだけ使うな、って感じです。
    >さといもさんへ
    それはお書きになっているように、会社の誠意しだいでしょうね。
    44時間しか残業してない、という今回の裁判の争点、その44時間って数字はどこが出したのでしょうか?トヨタでしょ。労基が勝手に想像して「はい44時間ね」って決めるわけないですからね。
    現在の企業は、労働者とそういった相互関係を築いていないと思います。企業の利益をどれほど労働者に還元しているかということです。
    特にボクたち期間工にしてみれば、何の恩もない、という感じですよ。トヨタに対してはね。あるとしたら、現場の人たちですよ。世話になった職制の人や社員の人、それがボクたちにとってのトヨタですよ。
    恩とかは、会社が社員にまず感じることで、それで食べてきたのは、労働としての対価なので当たり前のことです。
    日本人のそういった感覚は美徳だと思いますが、そいうった感覚が労災隠しなんてのを作りだす温床になっていると思います。
    ま、企業側の誠意という前提でのお話なんですが。

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    すみません、安全ではなく交安でしたorz

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    私なら仮に家族や身内が業務で亡くなったり災害を負ったりしても会社を訴える事は多分しません。
    (勿論それなりの誠意を見せてもらうのが前提ではありますが)
    なぜならそれは今までの恩を仇で返す事になるしそれで食べてきたことを否定する事にもなりかねないから。
    そんな訳で私は業務上の災害等における会社を相手取った訴訟には否定的な考えであります。

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    安全MTに一度も出た事ないんですが、
    他所の組では強制なんですか?
    うちの組では社員と車通勤の期間のみです。

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    金さえ有ればなんでも出来る。
    資本主義の前には人の命なぞ賠償金を払えば済む話しですな。
    トヨタの沙汰も金次第。
    こうなると豊田家も可哀相ですな。昭和天皇並の傀儡にされようとしている。なんだ求心力って。

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    >nadianさんへ
    トヨタ自動車での派遣の方は、ボクたち期間工よりも、そうですね扱いがキツイかもしれないですね。疎外感もあるかと思います。
    期間工は、おっしゃられる(ブログにお書きになっている)「行き場の無い人の受入れ先」にもなるだろうし、そこから脱出する場所にもなると思います。
    収入というよりもまとまったお金(満了金など)があるので、そこが派遣社員と期間工の大きな違いでしょうか。トヨタの場合ですけれど。
    >歩さんへ
    そうですよね、利益を上げるために行なっていることで、賞金制度で煽るようなことをしていて、出世という競争心を煽るようなことをしていて。おっしゃるように詭弁ですよね。
    それとバスの問題はその通りで、ま、臨時出勤の定時割れ事件の時のように、1時間半も待たせるということを平気でするから…。
    交通安全は、パンとジュース付きってのが、ま、お遊戯会並でという感じかなあ。そうそう、それを言わなきゃいけない社員の方の精神的なものこそが問題だし、それこそ過労ってことに繋がりますよね。参加してゴロゴロしている分には、ま、それほどの疲れはないのですが…。
    寿命は、ま、自分は違うってことも考えるのだろうし、短いと言っても平均70は越えているのでしょうから、そんな短いって感じもしてないかも。
    てか、疲れたから早いほうが、なんてのが現場の叫びなのかもしれませんね。
    >佐藤さんへ
    「We are the World」20年前ですね。アフリカの飢餓、あれほどマスコミも取り上げていたのに、もう飢餓はなくなったのだろうかと、ボクはそのことを思い出しました。
    Band Aid だったかなあ。世界的なムーブメントだったのだけれど、今はアフリカよりも日本国内でも餓死者がでそうな、そんな格差とか難民問題ですもんね。
    >もっさんさんへ
    ええ、ま、ブログのほうで拝見しましたので、忙しい時期だろうなあって思っていました。
    そうですよね、職業病って、なんか美徳のように思われたり、それを自慢したりしたりする風潮もあったりして。
    日本中の企業の問題と言っても良いのでしょうね。泣き寝入りとか、その美徳化によって無視されたりとか、自分で納得したりとか…。
    利益優先になると、やっぱり金儲けは一流、会社は三流トヨタ方式になる企業が増えるのでしょうね。御用連合加入の組合全てがトヨタ一流方式にしたいのかなあ。
    作業負荷なんてのも、人によってかなり違ってくるのだろうから、過労死や労災の問題は時間外労働の量だけではないのでしょうし、判断が難しいのだろうし、それを組合がバックアップしないと、国とグルになってると思われてもしかたないと思っています。
    てか、豊田市労基はトヨタの天下り先なのかな?

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    どうもお久しぶりです
    身辺がばたばたしてまして
    コメントのお返しも遅れて申し訳ないです
    過労死・・・・ですか
    工場のライン作業は30代を過ぎると
    体にガタがきて、皆一度は入院して
    その後もヘルニアなんかを抱えて
    それでも家族の為に1日3時間以上の残業を働いてる
    福祉現場でも似たようなもんで
    介護職の現場で40代で無傷な人は稀です(真面目に)
    というか日本中の職場でこんな状況が無数にあるんですよね。トヨタ方式を取り入れた某中京資本の食品会社は毎日3時間残業が勤務に組み込まれていて、そこの労働組合が『連合』に加入していると聞いた日には・・・・・

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    We Are The World
    今こそあの声に耳を傾けるんだ
    今こそ世界が一丸となる時だ
    人々が死んでゆく
    いのちのために手を貸す時がきたんだ
    それはあらゆるものの中で最大の贈り物
    これ以上知らん振りを続ける訳にはいかない
    誰かが、どこかで変化を起こさなければ
    僕らはすべて神のもと、大きな家族の一員なんだ
    本当さ
    すべての人に必要なのは愛なんだ
    僕らは仲間、僕らは神の子供たち
    明るい明日を作るのは僕らの仕事
    さあ今こそ始めよう
    選ぶのは君だ
    それは自らのいのちを救うことなんだ
    本当さ、住みよい世界を作るのさ
    君と僕で・・・・
    心が届けば支えになってあげられる
    そうすれば彼らも力強さと自由を手に入れるだろう
    神が石をパンに変えて示してくれたよううに
    僕らもみんなで救いの手をさしのべるべきなんだ
    僕らは仲間、僕らは神の子供たち
    明るい明日を作るのは僕らの仕事
    さあ今こそ始めよう
    選ぶのは君だ
    それは自らのいのちを救うことなんだ
    本当さ、住みよい世界を作るのさ
    君と僕で・・・・
    見放されてしまったら、何の希望もなくなるものさ
    負けたりしないと信ずることが大切なんだ
    変化は必ず起こると確信しよう
    僕らがひとつになって立ち上がればいいんだ
    僕らは仲間、僕らは神の子供たち
    明るい明日を作るのは僕らの仕事
    さあ今こそ始めよう
    選ぶのは君だ
    それは自らのいのちを救うことなんだ
    本当さ、住みよい世界を作るのさ
    きみとぼくで・・・・

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    もう一言
    社員の寿命が短いのは、社員自身が一番理解してたりしちゃいますよね。いいのかよ…とは思うものの、変に割り切って覚悟しちゃってるんで何も言えないわけですが…
    諦めなのか、割り切ってるのか…なんだかなぁ、と思う今日この頃です

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    記事がダブっちゃってるんで、どっちにコメントしようか迷いましたが、先にコメントがあったこちらに書き込みします
    トヨタ(側の弁護団)は、QCと創意工夫を労働と見なしてない、というか、詭弁を使ってたわけですよね
    組によっては、若い子らなんかは年に数十枚のノルマを課されるわけで、それを労働と見なさないってのは子供の屁理屈みたいなもんですよね。そりゃ負けますよ(笑)
    俺ら期間工なんかの拘束時間なんかはたかが知れてますけど、にしても不満は多々ありますね
    例えば、1直時の退勤バスの始発時間。定時が3:15なのに、始発時間が3:50ってなかなかにふざけてますよ
    トヨタ(スマイルライフ)側の言い分としては2直の出勤バスとの兼ね合いがあるから…なんて言うんでしょうが、そんな勝手な都合で拘束時間を長くされてもねぇ、みたいな
    それと交安MT。あれ、どうにかして欲しいですよね。俺は一番理不尽極まりない拘束時間だと思ってます
    社員と車通勤してる期間工だけでやってくれよ、と。茶なんて要らないから
    交安担当の社員なんかもそれを十分過ぎる程わかってて、交安MTをやる時は期間工に気を使って聞いてくるんですよ。「本当にすいません。今日交安やりたいんですけど…いいですか?」ってね。社員にそこまで気を使わせるようなことやんなよ、と(笑)
    うちの交安担当社員なんかは少しでも早く終わらせてやりたいからって、家で半分以上やってくるんですよ。可哀想だろ、と
    古株の期間工なんかはたま~にその社員に気を使って、数ヶ月分を作るのを協力したりしてますけどね。一応自分も仲良いんで協力してます。文句も言いますけどね。でも可哀想なんで手伝ってます
    ちなみに、うちの交安MTはどんな題材でも
    「車に乗るな」
    「車を作るな」
    から話が始まります(笑)
    長文&思いっきり話が逸れまして申し訳ないです

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    車関係は 社外の人間の使い方がきついような気がします。
    出稼ぎはある程度しょうがないにしても 派遣はなくなれば
    いいのに。出稼ぎももう少しは給料が欲しいですね。

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