期間工の質(大麻栽培事件で考えたこと)

どうも今回の大麻栽培事件に関しても「想像力の欠如」が背景にあるように感じる。というのも「ベランダで栽培」という点において、普通はベランダに置けば「バレる」と思うのだろうけれど、そういったことも想像できない、あるいはまさかとは思うけれど「誰も分かるヤツはいない」なんて考えるところが、あまりにも幼稚すぎるのではないかと思っているのだけれど。押入れで栽培、というのはまだマシな想像力の持主であるようにも、思っている。
でも、しかし、そんなことよりも、やはり「期間工の死」によるものだろうと考えている。
一昔、あるいは二昔、あるいはもっと昔においても、大麻については、合法化とか解禁なんて言葉とセットで語られる場合が多かった。「マリファナNOW」なんて本や、その他栽培本まで発行されていて、どちらかとうと危険性のないドラッグのように語られる場合も多かったし、今も多いのだろう。
しかし、そういう人たちは、ちょっと離れた場所、間違ってもトヨタの寮に住んでライン作業に従事して、なんて人たちではなくて、もう少し違った感じの、ヒッピーとか、ま、ニューエイジなんて人々が、労働という生産システムの枠外という立ち位置にいて、そして芸術とかの創造システムの枠内での精神的営みとしての、解禁、という声だったように思うのだけれど。もうすこしアンダーグラウンドでの、それはほとんどの場合精神世界の基底ということなんだけれど、そんな場所でのことだったと思う。
それが、1990年あたり、上野公園あたりでイラン人が販売を始める頃(この場合はハッシッシとかのほうが多かったようだけれど)から(そして偽テレホンカードも一緒に売っていたのだけれど)一般化あるいは大衆化が進んで行って、ドラッグのファッフョン化に繋がっていったように、ボクは感じている。一般化は、今では各界という神聖な場所にまで及んでいて、もう明るい場所、オーバーグラウンド、表面的な、あるいは、欲望的なところでの行為にシフトしたということだと思っている。
そういったドラッグの一般化も今回の事件のひとつの要因でもあるのだけれど、期間従業員の質の変化がやはり大きいと思う。想像力の欠如を含めた幼稚さ、ドラッグも一般化したのだけれど、期間工の一般化あるいは大衆化したということなのだ。
季節工、あるいは出稼ぎ労働者としての期間工の時代、今はその出稼ぎ労働者も雇用法の改正で国が「なくす」方向にあるのだけれど、その時代には、一家の大黒柱、あるいは、地方の一次産業従事者、という人が多かった。労働自体が、まだ潔癖性を残してた時代、夜行列車でお土産を抱えて、帰省する、上野駅界隈も、まだそういった汚染されていない神聖な場所だった頃…。
現在は(なによりも国が否定してしまうのだから)アルバイトぐらいの感覚の人たちが多くなって、あるいは寮付きの割りのいい仕事、ぐらいの感覚の人が多くなっては、お金に対する対峙の仕方、要するに、なめこそばさんが書いているように「そんなにお金持ちならば、期間従業員なんかやってないのでは?」という人たちの増加というのが、昨今の不祥事の増加ということに関わっていると感じている。実家にいる父や母、子どもたちのことを考えては忍び泣く、その音が聞こえてくる、ということも皆無になってきたのだろう。
期間工の一般化、あるいは大衆化。「期間工の死」(前に書いたのですが)が「期間工の一般化」に繋がるのだけれど、そういった時期(「期間工の死」をもたらした2年11か月問題や雇用保険法改正という期間工、出稼ぎ労働者の不遇時代の到来)での事件は、起こるようにして起こった事件だと、ボクは感じているのですが…。

ひと昔に比べ、期間従業員の質もだいぶ下がったような気がしますね。
最近、目に付くんだよな期間工の不祥事が…
いいかげんにしてほしい。

所詮期間工ですからね。
単純作業しつつラリッテいたのでしょうか?
人間として終わってます。

ま、「所詮期間工」ですからね…。

期間工、「所謂」と補説される人たちは、やはり1990年あたりからその質が変わってきたのだろうと感じています。ちょうどマリファナが一般化する時代、ま、強引に結合させるのならばバブルの頃に、日本の労働環境や労働市場が著しく変遷していった時期に。例の氷河期なんてのも訪れたりもして。
それまでは、例えば杜氏のような人たちであった自動車工場での期間工、それはほとんどの場合、地方の出稼ぎ労働者という、貧しさを知っている集団だったのでしょうが、今はもうほとんどそういう意味での期間工という人たちはいなくなって、職業としての期間工の時代が到来したということです。
期間工という人たちの質は、昔は非常に高くて、そして何よりもこの国の生産現場を支えてきたと思うのです。酒造りを杜氏が支えてきたように。今は、もうかなり違ってきて、「所謂」期間工という人たちは、何かのために働く(それは家族のためということが多かったのですが)という関わり合いの中での労働ではなくて、自己の欲求のためだけに働くという、労働の潔癖性の欠如という時代になってきたのだろうと思います。
そういう時代になってしまっては、自己欲求のためだけの労働という、ある意味諦観した、それはまるでライン作業のような死生観ともいうような労働の質に変わったのだろうと思っています。
そして今後は、起こるべく起こる事件なんてことではない、も少しボクたちの想像できないような、驚くような事件がこれからも起こるかもしれないということなのかもしれないと、これも強引に直結させれば、秋葉原事件を対岸に置いて考えているのです。
そしてそれをイマジネーションと叫んだりするのだろうと、思ってもいます。
それと、もうひとつ、寮事務所の管理責任というか、管理能力がなさ、ということも問題のひとつ、だと思うのだけれど。
トヨタすまいるライフの笑えない話

ま、そんな時代になったってことなんだけれどね。
怖いものなし、ってのは、捨てるものがない、ってことなのだから、家族も仕事も財産もない人ってのは、何をするか分からないってことなんだけれどね。そういうボクもその怖いものなしなんだけれど。だから野宿しても怖くともなんともないし、車から轢かれそうになると、こっちから車に寄って行ったりね。轢かれなかったことを残念に思うようになっては、そろそろこっちから当たってやろうかと思うぐらいでね。
なんて…。

9件のコメント

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    ぐるりんさんへ
    取り上げてもらわなくても、これぐらいのことは考えているでしょうし…。あまり話題にならなってことは、それほど大変な問題でもないのかもしれませんね。
    各界とは違うのだし。

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    今回の事件は大変問題だと思う。
    TOYOTAの闇の部分を解明していくには、
    期間従業員に同情的な評論家のblogなんかに「報告」という形でTOYOTAの事件をコメントしてみるのも、TOYOTA帝国に一石を投じることになるかもしれない(例えば思いつくところで、江川紹子氏とか、紀藤正樹弁護士とか、)。
    このblogも大いに取り上げてもらえばいいと思う。

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    返事ありがとうございます(*^o^*)

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    >名無しさんへ
    ぶつかるぶつからないということではなくて、そう思うような感覚が蔓延することが怖いということです。大麻事件もそう考えると、もうかなり怖いところに来ているということです。全体としてね。
    >もっさんさんへ
    そういう感覚というか、結局はどちらとも被害者なんだという感覚を持つことは大切なことかもしれませんね。
    憎しみ合いからは、何も生まれないのだろうし。
    んでも、絶望感みたいなものを味わうと、人は案外同じような行動をするのかもしれないですね。同じような行動というか、同じような感覚というか…。
    ヤンキー社員にしろ、ひかれた彼にしろ、ボクたちにしろ、そんな感覚をきっと共有しているのだろうと、思っているのですが…。
    >バソさんへ
    熊本市の「徳川」という焼き鳥屋ですよ。中央街だったかな、夜遅くまで開いていて、ま、ソープ街に近いから、Tちゃんの行きつけみたいなものでした。
    マスターのビール一気飲みは、一回目は良いけれど、何度も行くと「もう良いよ」ってぐらいの芸で、ちょっと、って思ったことがあります。
    熊本は、豚足もだけれど、馬肉、馬ホルモンなんてのも美味しいですよね。

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    <トヨタ販売店>男性新入社員に暴力…店長処分へ 三重

     トヨタ自動車系列の自動車販売会社「ネッツトヨタノヴェル三重」(本社・三重県四日市市)の三重県北部の店舗で、男性店長(33)が男性新入社員(23)に対し、胸や腹などを殴って肋骨(ろっこつ)を折るなどのけがを負わせていたことが5日、分かった。社員はけが

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    場違いですいません(T_T)
    以前の日記に書いてあった「いつも行く豚足屋」はどこにありますか?
    いきなりでごめんなさい(ノ△T)

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    昔々
    派遣やってた時
    派遣先の若いヤンキー社員が派遣を目の仇にしてて
    いつもおもいっきり陰口叩かれてね
    私は黙ってやり過ごしてたんですが(ハラワタは煮えくり返ってたんですが)
    ある日の昼休みに疲れて事務所で寝ていたもう1人の派遣社員の子がいて
    それを見たヤンキー社員が
    『お前なんか現場にいらんで~』とこれ見よがしに言ったんですよ
    思わず立ち上がった私をヤンキー社員が威嚇して
    事務所は騒然となって、結局人事が私を他の部署に入れ替えるとか言い出して、さすがに辞めてやると切れたんですが
    そんな騒動の最中も伏せていた
    もう1人の派遣の子はその時に何かが切れたんでしょうね
    具合が良くなった彼と駅まで徒歩で一緒に帰り際に例のヤンキー社員が猛スピードで交差点を曲がろうとしてて
    たまたま交差点を横断してた私達の前を減速せずに
    曲がろうとしやがったんですよ
    そしたら彼は避けようとせずにまるで無意識に前に進んでね
    (避けようとしたら避けれたんですが)
    案の定足の甲がタイヤの上に乗っかって
    手がバックミラーに当たり
    彼は手は内出血して足も打撲
    社員はでも気がつかなかったようでそのまま走り去って
    彼はそのまま倒れこんで救急車で搬送されたんです
    彼は介抱している最中、泣き叫んでたんですが
    どうも痛みから泣いてるのではなくて、やり場のない怒り
    と悲しみをぶつけていたような感じでね・・・・・・
    翌日に派遣先の工場に行くと、まったく違う部署に配置換えになってしまったんでその後の事は仲良くしてた社員や噂話なんかの聞きかじりなんですが、
    ヤンキー社員の車は車検が切れていて、しかも改造車だったみたいで結局逮捕されたと同時に退職(解雇か自主退職かは分かりませんが)したそうです
    でもそのヤンキー社員も実は元は派遣社員だったみたいで
    最近ようやく現場での働きぶりが認められて正社員として採用された矢先の出来事だったそうです。
    就職氷河期の当時
    現場職とはいえ組合のあるそれなりの上場企業の正社員ですから、あのヤンキーも実は同じ境遇だったんだと。
    派遣もいじめてたのも自分なりの愛社精神の表現だった?と
    何か複雑な思いを抱いた思い出があります。
    ひき逃げされた彼の消息は一度彼の母親からお礼の電話が
    あったみたいですが、親が対応してたんで詳しい事は聞いてないみたいでね。
    この記事を読んでなんとなく、思い出した昔の出来事をついつい書いてしまいました。田原さんの記事ってなんか昔の事を思い出させる力があるんですよね。プラスの表現にしろマイナスの表現にしろ、それだけ文章というか記事に何か人の情念に訴える物があるんだと思いますよ。
    お世辞ではなく一ファンとしての率直な意見として。

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    ぶつかりに行くのはやめてください。
    引いた人が罪になります。かわいそうです。
    大麻よりキツイ。あなたも心配です。

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