死場

国道沿いの家ではないので、目覚めた時に天気が分からない。
天気が気になる。
自転車で通ってるからね。
朝、雨の日は歩いて行く。朝降っていなければ自転車なのだ。
ずい分と日焼けした。
お昼休みに近くの公園で自転車の手入れをする。
鉄製の自転車だから、錆が浮き出てくる。
自転車に乗っていると、なんと車たちの傲慢なことかと、感じる。
歩いていると、自転車乗りに、そのことを感じる。
虫となっては、きっと、なんと人の傲慢なことかと、嘆いているのだろう。
夢なんてものは、もうとっくに捨て去ってしまっていて、好きなことを仕事に求めることよりも、出来ることを好きになろうと考えている。というよりも、出来ることも少なくなっているように思う。
10年ぶりに笛を吹いた。
少しだけ。
音が出るまで十数分かかった。それが10年ということだった。
あの頃は夢中に吹いていた。
生きることも、夢中だったように思う。
少しずつ少しずつ、何かを失くしていった。自信なんてものもその中にはあって、それまでも希薄だったボクの自信というボクの嫌いな人の性質は、失くすということのほうに優性遺伝をしようとしていたように思う。
そうなると人と逢うのがとても億劫になる。人と話すことが苦手となっては、俯きがちに話すことがボクの型となってしまった。そして山を歩くのが好きになった。ただ黙って、ただ下を向いて、歩くことがボクの型のように思った。一日に10時間歩く日もあった。
歩いて歩いて、そしてベンチに眠ることもあった。人と話さないことはそれほど苦にはならない。歩いて歩いて、そして雨の日はガード下に寝たこともあった。それがボクには似合っているように思ったり。
歩いて歩いて、そして気がついたら…、そんな少し間抜けなボクのほうが、ボクには似合っているように思うのだよ。
それでも今は、ボクが死んだら、たまに墓に花を供えてくれる人がいる場所で、こっそりと生きていたいと思うのだ。それがボクの夢だったりする。それぐらいのことは、叶いそうに思う。あとは、雨に打たれようと、地面に眠ろうと、かまわないと思っていたりする。

国道沿いの2階の部屋では
目覚めたときに天気がわかる
今日は雨 アスファルトに流れる雨を
大きな車が轢いて走る
一人のベッドで眠り目覚めた
僕の淋しさも轢いて走る 今日は雨
喜多条忠「今日は雨」


12件のコメント

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    佐藤さん、こんにちは。
    そうですね。
    父親がいつも言ってました。「今はここ(故郷)を離れたいと思っているかもしれないけれど、歳とったら帰りたくなるから」なんて。
    今のボクは、そうは思えないのですが、もう少し歳をとれば、生まれ育ったところで死にたいと思うのかもしれないですね。
    仕事、となると、やっぱり故郷は離れないといけなくなりますもんね。

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    死場=生まれ育った故郷でありたい。ただそれだけです。田舎の家の畳の上で一生を終えたい。ただそれだけです。いつか、そう思う人が人生の最後をそういうふうに、終われる国になります様にと、願います。

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    liveintaharaさん、こんばんは。
    田舎ですから…。
    で、ほとんど知り合いみたいなもんですからね。家族というか…。
    それでも、今は少しは変わってきていると思います。ま、高齢化は進んでいますが。その他に、青年団とか消防団とか…。選挙とかも…。面倒臭いですよね。
    でも、その準備資金って、2千万円あったら、都会に住んで農地を借りて、なんて方法が良いかもしれないですね。でも住もセットですもんね。
    漁業も、船とかに資金がいるし…。
    でも、ハローワークに、就農者募集、なんてのがあったような。そういう募集形態だと、資金も少なくていいのかもしれませんね。
    ボクは、田舎には住むところもあるのですが、それでも…。他の場所ってのも話にはあるのですが…。
    知人が何人か農業をしていまして、陶芸をしている人もいますけれど、みんな10年は我慢なんて言いますもんね。そのための1000万円かもしれませんね。
    ま、それでも、貯金はなさっているのだろうから、それは夢への第一歩なんだろうし、それ以上の努力も少ないように思うけれど…。
    資金があれば、なにかやれるでしょうしね。そういう夢も持てるってことでしょうし。ねえ。

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    すごいですね^^;
    田舎に住みたいのだから、そんな伝統の残る地域であれば、それに従うのは当然なのでしょうが・・・考えてしまいますね正直。
    そんながんじがらめさが嫌で、ムラの危機なわけでしょうから、どこまで相互扶助のよさを残しつつ、新しい村落共同体のあり方を探すのか、ということですかね。
    できないところは廃村まっしぐらということで、それもまた一つの道でしょうね。
    田舎暮らしの本とか読むと、現金は1千万以上用意したほうがいいとか。
    新規就農の、就農準備金の平均が1千万円。
    両方あわせて2千万ですか・・・
    言われるとおり、僕も家も土地もいらないんですけどね。所有する必要はないので、無期限で使わせてもらえたらそれでいい。
    家だって、10年もてばいいような簡易なものを自分で建てたいので。
    ネット環境も、なければないでいいもんねー
    定年まで勤めて年金生活で田舎に暮らせば?とは母も言ってますけれど、そしてそれが一番安全で安定しているのでしょうが・・・
    いろいろ考えていると、何もかもどうでもよくなってくるなげやりな自分がいるなぁ
    このまま期間工スパイラルでも、いいんじゃねーの?とか。でもって、作業が始まればこんな仕事いやだー・・・の繰り返し。
    ほんと、えらいですよ。仕事しつつ、何かの資格をとるため勉強している人や、別の道を志し努力を惜しまない人は。
    思うだけで日々の積み重ねをしない、できないから今こうして期間工なのかな?とも自虐してしまう。
    いや、ま、お互い頑張りましょうね。
    安直さでいえば、熱帯果樹を育てたいから沖縄という、いたって安直な自分です^^

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    liveintaharaさん、こんばんは。
    そうですねえ、ボクの地元だと、地域すべてが親戚みたいなもんですからね。お通夜には必ず行くし、近所だと棟上げとか、ま、冠婚葬祭はすべて参加しないと、なんてことでした。それも、会場が家だったりすると、女の人は料理の手伝いから、なんてことですもんね。
    葬式も独特なので、葬儀屋だけではできないし…。山に竹刈りにいったりしますから……。なんちゅう田舎だ、って思うでしょ?^^;
    今は、仕出しとかを使っているようですし、少し変わって来ているようにも思いますが…。
    それが良いところだという人もいますしね。
    ボクの家には風呂に入りに来ていた人もいましたし、離れに足の不自由な人を住ませていました。旧家は無料で人に貸してたし…。
    そういう仕組みは、今は逆に必要なときなのかもしれないですね。
    離島ではなくても、山に家を建てて暮らしていた人を知っていますが、畑と家が離れていれば、ま、近所付き合いもそれほど、ってことになるのかもしれませんね。
    そういう考えはボクも同じですが、ボクはどっちかというと、家も土地もなく、持ち物も少なく、って暮らし方、なんて思っています。
    海あり山ありのところが、自給には良いですよね。実家はそんなところなんですよ。
    ボクは、う~ん、60過ぎたら…なんて思っていますが…。
    ま、そんなこと考えると、ちょっと明るい未来ってことになるかなあ。ワクワク感もありますよね。
    木工とか竹工芸とか?
    そしたらなんとか現金収入も?
    なんて安直かなあ…。

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    3連休です。どうもです。たびたびすいません。しつこいですか?
    なんか、自分のブログの更新が面倒になってきたし・・・
    農業、林業・・・
    夢というわけではないんですよね。
    自給的な農耕を主体とした生活以外、自分をいかす道がないような感じだということで・・・
    ただ、閉鎖的なのは僕もだめですね。
    村が閉鎖的なのは、よそ者を排除するということなんでしょうけど、戦中の隣組とかの影響なのか、村がもともと持っていた伝統なのか、どうにも疑問です。
    その閉鎖性ゆえに農村が危機を迎えていることはほとんどの人の共通認識ではあるとは思いますし、時代は徐々に変わってきているのかな、とも思いますし。
    いかんせん、新たに始めるには難しいですよ。
    耕作放棄地なんて、もはや所有権うんぬんの問題じゃないと思いますから、どんどん使いたい人に貸すなりしていかないと。
    山の荒廃も、いくとこまでいってるんじゃないですかね。
    早く農業林業軽視蔑視のつけが現れないものかと思います。
    東京でも、飲料水の確保に困難となり、洪水に悩まされ、夏の渇水が大問題となり、それらに巨大な費用が必要になって初めて、これまで農民や山に住む人の無償の作業によって維持されてきた日本の環境の意味を知ればいいんですよ。
    地方におんぶに抱っこされているのは東京その他大都市であることをその時知って、もはや取り返しのつかないことを悔やめばいいんですよ。
    その時僕は離島で、そんなことには関係なく暮らしていたい。
    僕の夢は日本国の破壊です^^
    今の日本なんて潰れちまえばいいということで、トヨタ・キャノンも倒産万歳です。

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    liveintaharaさん、こんばんは。
    3連休ですね。
    いえ、ボクは田舎の出なもんで、農業とか漁業は好きでも、あの閉鎖的な空間がどうも…。
    スローライフなんかの雑誌を読んでいると、たまに実家の近くの民家が売りに出されていて、そういう商品になると、田舎も違って見えますが、見えるだけなのだろうと…。
    地方では土地を貸してくれる制度もありますよね。
    地元じゃなくて、違う場所だと、ボクも一からやり直せそうにも思ったりもします。
    夢があるということは良いことだと思います。それは羨ましく思います。
    ありがとうございました。

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    つまらんことを言ってすいません・・・自分なんかよりよっぽど知っている管理人さんに、あほなことを言ったもんだと恥ずかしさでいっぱいです。
    自分でいっておいてなんですが、離島の方が、人付き合いはきつそうな気もしますね・・・
    いっそ誰もいない無人島とか、廃村とかの方がいいかも。
    ただ単に、この日本という社会から放っておいて欲しいという感情も大きいです。
    それでは・・・

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    >まことさんへ
    たぶん、これを読む人の中には「プラス思考」をモットーにしている人も多いのだろうと思います。
    年齢とともに、そういった思考法も変わってくるように思います。ボクが20代だったら、きっと、もう少し違った考えだったかもしれませんしね。
    年齢だけではないのですが、そういうことを含めて、考えられる、ということが大切なことかもしれないと思っています。
    ま、プラス思考なんてのは、余裕がある人の言うことなのかもしれませんしね。余裕があれば、何とでも言えるのだろうし…。時間の余裕、金の余裕、いろいろな余裕ですけれど。
    >liveintaharaさんへ
    ありがとうございます。
    そうですねえ、実家は自給に近い生活をしていたのですが、子供の頃は、どうも狭い世間なんかが嫌いでした。
    近所付き合いっていうことなんかも含めて。
    良い子でいなければならなかったということもあったし…。
    ミカン畑もあって、豚なんかも飼っていました。
    それで選挙なんてなると、選挙カーなんかに乗ってね。そんな村社会じゃないでしょうけれど、それをパスすることも出来ないのだろうし、なんて考えると、農業も難しいかなあ、なんて思っているんです。
    ま、でも、離島だと、のんびりなのかもしれませんね。海もあるし…。
    >考え中さんへ
    呉の大和記念館でしたっけ、そう言えばそんな映画が昨年ありましたね。長淵剛がテーマソング歌ってたかな。そのCDを送ってもらったことがありました。映画に感動したってことで。
    ボクは見ていませんが…。
    ボクも18きっぷの時期なので、どこかに行こうかなあ、なんて考えています。貧乏金なしで、最近では18きっぷでしか旅行もしなかったりで。ま、それでも、その時期に時間がとれるということは、幸せなのかもしれませんね。

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    同一ブランドでしたね、アルミとカーボンに換装されたボディは錆びる事
    もできませんが、しまったままで埃まみれです。
    のほほんと生きている自分は、今頃になって戦争歓迎な方について勉強
    してきました。
    と言う訳ででは無いのですが、呉へ行って大和を見てくる予定です。
    そんなかなり間抜けな自分は、東本昌平の「キリン」になりたい。(^u^)

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    ご健闘をお祈りしています。
    そのうち、沖縄の離島に移住して、自給的な農業をしたいと思っています。
    その時は是非遊びに来てくださいね。
    農業というか、土と共に暮らす農耕生活はいいですよ。
    自給的な暮らしほど、創造力を必要とするものはありません。
    太陽の下、ひがな体と頭を使って作業していると、夜つまらぬことを考え込んで眠れないとかありませんから。
    最期はクワをふるって大往生の生涯現役。
    僕の理想です。
    税金とか、収入がなければ払いようがありませんから。
    所帯を持てば、そんなこと言っていられないでしょうが、まあそれはその時。
    大抵の日本人は、数代前まで百姓をしていたのですから、土と暮らしていた遺伝子の記憶があるんじゃないかと思っています。
    今の社会に合わない人は、とりあえず土と暮らす道を考えてみることをお勧めします。
    管理人さんには、あってそうな気がするんですけどね。
    他人のいらぬおせっかいですいません。
    それでは。

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    なんだかすごく切なくなってきます。
    夢なんてものは、もうとっくに捨て去ってしまっていて、好きなことを仕事に求めることよりも、出来ることを好きになろうと考えている。というよりも、出来ることも少なくなっているように思う。
    という部分は自分に当てはまりすぎなくらいです
    このブログ全体のイメージがとても好きです。。。

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