低賃金・正規化する労働

猫のような毎日を過ごしている。
日がな一日背中を丸めてこたつのもぐり込んでいては、テレビのお笑い番組を見ている。そうしているぶんには気持ちは救われるようでもあるのだけれど、朝は決まって「外出しなければ」という強迫観念に襲われる。気持ちは沈んでいく、そして金縛りにあったように猫になる。
そうして時間が過ぎると、お昼前になると、そういったことから解放されて気持ちは救われる。「明日はどこか行かないとなあ」なんてことを、また考え始める。昨日もそう考えていた。確かその前も…。
画面の街並を見ていると、そのほうが風景としてしっかりと存在しているようにも思える。ボクたちの知らない部分までも伝えてくれる。そんな電気製品は体温をも持っていて、死にそびれた14インチのテレビや、一日一回は落ちてしまうパソコンからは、人の体温を上回る熱が発しられていて、ボクはその温もりを感じることで、ボクの存在を確認する。ウザく言えば、他者との関係(あるいは他者の介在)こそが自己を確立する唯一の方法、なのだ。それが動物なのだろう。
昨夜食べたカレーの匂いがまだ部屋に残っていて、そしてキッチンには洗い物があって、過去を現実のものにしている。それがなければ、昨日食べたものも忘れるほどの、変化のない毎日を過ごしていて、「明日は」という呪文を、それは懺悔でもあり謝罪でもあるのだけれど、ボクは口に出すことで、ボク自身から救済されようとしているのだけれど…。

失業者を、介護やタクシー、あるいは農業と言った人手不足の業界へ就労させようとする意見が盛んに行われている。どれも離職率の高い職場であって、職場環境も悪い職場でもある。
そこに語られるのは「ビジネスチャンス」とか「輸出産業になる」とかいう経営者側の理論と、失業ということからの解放だけのようでもある。「仕事があるだけでも」ということを言い出すと、また同じことの繰り返しで、それどころか低賃金化してゆき格差は拡大していく。
経営者には夢のようなビジネスモデルが頭を駆け巡っているのだろうけれど(例えばワタミの社長とかね)、仕事とはお金なのだろうか、なんて考えたりする。彼の頭の中には収容所があるのではないかと思ったりする。
正月という行事も忘れ去られてしまうのだろう。介護施設や、あるいは農業、外食産業での労働者は、もうそういう位置にあるのではないのか。タクシー運転手もそうだろう。その分野でどこかの会社は肥え太ってきた。そしてまた失業者ビジネスをしようとニタニタ笑っている。
きっと「仕事さえあれば」「住むところさえあれば」なんて安易な考えで、失業者対策を行うとしたら、この国はラストシーンに突入するだろう。国内の農地で外国人が働く、それは輸入と同じことで、その運搬コストを大幅に削減しただけだということぐらいで、国民の幸せにはほとんど直結しないことになる。それはもう介護というケースで学んだのではないのか。それを農業で繰り返さないことを念じているのだけれど。
猫のような毎日なのだけれど、お腹は空く。
なんと身体の不便なことか……。
もうこのまま動けなくなるのではないかと思ったりもする。最低限の消費活動を行い、それは肉体的なものも含めてなのだけれど、猫のように生きていくのが良いのかもしれないと思ったりもする。
そんな新年。そんなボクだったり……。

4件のコメント

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    >入社試験10連敗さんへ
    おめでとうございます。
    えっと、漫才をみてたかなあ。正月はお笑いばかり見ています。明日は出かけますけれど。
    えっと、ま、所得格差問題も、年金問題も、そうなる可能性はありますよね。「仕事があるだけでも」となること、まことさんがご指摘ですが、思うつぼになりかけつつあるようにも感じています。
    >名無しさんへ
    そうですね、長く続く訳がないと思っています。良い方向に変換できると良いのですが、どうも方向が短絡的すぎるようにも感じています。幸福ということがベースにないと、収容所国家になりはしないかと…。
    >まことさんへ
    そうですね。便乗賃下げみたいなもんで、なんでお前んとこの給料が下がるのか、と感じることもありますよね。
    ボクもそのことを危惧しています。
    ワタミ社長の話を聞いていると、労働者が幸福を実感できる環境作りを考えているのか疑問で、まず仕事ありき、という感じですからね。
    そのうち「辞めてもらっても良いんだぞ、いくらでも人はいるんだからなあ」なんて経営者も出てきそうですね。てか、派遣社員の人たちはそういう環境なのでしょうが…。

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    最近のチラシやフリーペパーを見ても
    時給700円台が増えて来てます。
    そして当然のごとく労働条件も悪化する一方です
    「仕事があるだけありがたい」
    と刷り込まれる
    まさしく思う壺なのですが
    藁をも掴む人たちをさらに地獄に落とそうとする感じで
    離職率の高い職場に送り込もうとしてます。
    見えない圧力なかで自分も今こうしていられるのは
    ある意味運としか言えず
    いつ転げ落ちるかわからない毎日です
    いや、すでに転げ落ち始めてるのでしょうが。。。

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    明けましておめでとうございます。
    期間従業員として愛知にやってきて、満了後も愛知に残って
    別の仕事をしている俺は12月30日愛知のホームレス支援をているNPO法人を訪れて小額ですがカンパをしてきました。
    それは寒い思いをしている仲間のため、いつそういう立場になるか知れない将来の自分の為です。
    ひどい現状ですが、こんな時代が長く続く訳がありません。
    いつかきっと報われる日が来ます。
    あきらめずに働く意欲を失わないで頑張りましょう。

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    あけましておめでとうございます。
    昨日のNHKスペシャル「激論2009世界はどこへ、そして日本は…」に竹中平蔵売国奴が出演してました。
    竹中は詐欺師の如く、言葉巧みに操り、「サッチャー(元英首相)が言ってたでしょ、金持ちが貧乏人にならないが、貧乏人が金持ちになることはない」「年金はあきらめて下さい」「法人税を下げないと、企業は海外へ逃げてしまうんですよ」と、まさに虚言かつ、売国発言のオンパレード。新年早々、公共の電波を使って竹中売国奴のオナニーショーといった感じです。
    竹中売国奴のやり方は次の通りです。
    (1) 相手のいうことを聞くな。
    (2) 自分の主張に確信を持て。
    (3) 逆らうものは悪魔である(レッテルを利用せよ)。  
    (4) 自分のいいたいことを繰り返せ。
    (5) 内容でおどし、そしてしゃべっているふりをせよ。
    まるで時代劇の悪徳商人というか、電通のマニュアルみたいです。
    本来なら相棒を見るはずでしたが、録画しました。
    ここ数年かくし芸は見てません。単につまらないだけですが。
    奇しくもこの日は、竹中の教え子でもあろうか、慶大生が大麻所持で逮捕されました。
    新年早々、不謹慎なこと書いてすいません。余りにも腹がたったので。
    今年も宜しくお願いします。

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