派遣(法)はなぜ、廃止できないのか

だって需要があるからね。
前回のエントリーにも書いたけれど、多くの人が派遣でも期間工でも偽装請負でも手配師経由の土木作業でもなんでもいいから「仕事をくれ」とハローワークに並んでいるのだから、それはまるで「風俗(法)はなぜ、廃止できないのか」とか「買春、売春は犯罪です」なんて言いながら、ソープランドは「合法です」なんて言っているようなもんだろうし…。
早朝7時、ハローワークが開く1時間前から駐車場には車が並び始める。玄関にはいつもの男たちが座り込んで、なにかを待っている。景気が良いときはその時間には手配師が来ていたそうだ。ハロワの職員の中にもその事実を知っている人もいるのだろうけれど、必要悪、労働者もその条件を納得したうえでのアルバイトなのだから、問題にならない。
派遣切りなんてことでまるで派遣労働がなくなったように思っている人もいるのだけれど、たしかに製造業では激減したのだけれど、他の業種では相変わらず多い。そしてその労働条件をお互いに納得して働いている。正規社員の2倍、3倍の非正規労働者という職場も多い。
例えば、派遣法がなくなって、今の非正規労働者がすべて正規になったとして、果たしてそれまでの賃金が確保されるかということは疑問で、ワークシェアリングという同一のパイの再配分を行うのだから、結局は同じ、あるいは低下すると思う。
というよりも、あの薄暗い地下室のような休憩室しか生きることが出来ない人も多いのだ。黙々と一日中同じことを繰り返すライン作業中毒の人も多いのだ。人と人の関係を遮断できる場所が自動車製造ラインなのだ。
その楽園を追われたから、秋葉原のような事件も起きたのだろう。ボクが書いてきた哀しみの風景は、多くの人たちにとってはばら色の景色だったのだ。そしてそこにしか棲息できない人たちがいる。そこでしか存在を確かめられない人がいる。
50秒とか60秒とかのタクトタイムでリセットできる時間、その空間でしか呼吸できないのだろうと思う。哀しみを食べて生きている人が多いということなのかもしれない、と思った。フラッシュライトのような時間の中でしか呼吸が出来ないのだよ。そしてその50秒とか60秒の延長に契約期間2ヶ月とか半年とか1年があって、せいぜい3年ぐらいしか自分の人生をイメージできないのだよ。
もうね、どうしようもないんだよ。
夢を喰うのを獏と言うのだけれど、きっと哀しみを食って生きているのを非正規労働者と言うんだろうなあ…。

つゆのあとさき
よほどのことがない限り、喜びや悲しみといった個人的な感情を共有することなど、期間工として暮らしていく上で必要の無いことであって、その微妙な間隔をいかに保ち続けることが出来るかが、そしてその間隔の中に敢えて自ら進んで暮らせるかが、大切なことだなんんて、知る必要もないのだろう。その微妙な距離こそが、底の無い孤独というやつで、手の届きそうな距離だからこそ、孤独淋漓として悲しみの心に滴り落ちるのである。

フェンスの向こう紫の花

8件のコメント

  • blank

    >かなさんへ
    ま、変わらないと言うか、変えることができないと言うか。
    >@200さんへ
    よく分からないのですが、調べてください。
    それと、天が誰なのか分かりませんが、どうなんですかね。天とは政府かもしれませんけれど?
    >おっとこどっこいしょさんへ
    どうも。
    >茄子さんへ
    何をどういいたいのかも分からないのでコメントのしようも…。

  • blank

    まずは景気が少しでも回復して製造業が動かないと何とも言いようがありません…

  • blank

    明瞭簡単正解

  • blank

    こんにちはー。
    国会延長55日だって。
    なぜ、延長したかわかります?
    自民党議員は、おそらく80人は落選して失業しますから、ギリギリまで議員をやりたいわけです。(9月の任期満了)
    延長する意味は、補正予算がどうのこうの言っていますがウソ!とりあえず、民主党代表について調べていきます。
    ・・・GMじゃ、トヨタやホンダのようなハイブリッド車は作れないと思う。GMつぶれた理由は、大きな車を作ったせいもあるけど、車を買えない層にまで、ローンで車を買わせたことです。車版サブプライム(毒)ローンです。ローンを証券化し、世界中にばら撒けば、そりゃ、経済おかしくなりますよ。
    トヨタ&ホンダには車が好きな人が多いからね。天は見捨てないと思います。日本の製造業は、世界一だと思う。
    それじゃ。

  • blank

    今の社会は救いようがないよ
    民主が政権取ってもかわんねーよな

  • blank

    >通風さんへ
    適材適所、というよりも、大量生産大量消費というシステムは、もう取り返しのつかないところにあるということです。そういう人たちを造りすぎましたから。
    労働契約の内容(正規とか非正規なんてことじゃなくて)やはり労働の有無のほうが優先されるべきなのでしょうしね。
    労働単価の安い労働者を使って、企業の利益が上がらないことには仕事もないし。需給で言えば、賃下げしてでも仕事を、ってことだろうし。もうそのレベル、フェイズ6に来ていると思います。
    >元フレームさんへ
    同じことをするというのは楽ですからね。考えなくていいですから。ま、創意工夫なんて考えることをしないと、脳も退化するので、あれはそういう意味合いが強いのですよ。猿じゃないということの確認というか。
    ま、ロボットのような作業を続けてロボットのような思考になってしまった、と思ったり。

  • blank

    なかなか深いですね、無意識に起動ボタンを押す自分が
    あの忌まわしい事故を再現してしまうのではないか
    という不安とは別に、54秒タクトの繰り返しの中で
    いつかこの作業も三昧の境地に達するのかなぁと
    漠然と考えていました、

  • blank

    適材適所を実現できるシステムがあればいいってことですよね。
    私はもう肉体労働は出来ないので、行き場が無くて困っている訳ですが。
    もういい加減に自宅警備員とコンビニパトロールは卒業したいんですけどね。
    誰か俺に内定くれ。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA