ONE DAY

桜散る
なつかしい人からメールが来る。なつかしい時間やなつかしい風景が一瞬の間に思い出される。もう戻ることもない時間だったり場所だったり。あの頃のボクはと言えば、満開の桜やその妖艶な香りに心を動かされていた。今は地面に這いつくばって汚れてしまった花弁に哀しみを感じる。そうしてそんな一日を過ごしている。
朝目ざめると、かなりの時間天井をじっと見つめている。そこになにがあるとか、なにかのサインがあるとかではなくて、そこがボクの居場所のように感じている。たっぷりとあるはずの時間もいつの間にか夕暮れが迫っていたりする。なにもしなくても春は来てしまった。そうして春はゆく。こうしている間にもだけれど。
定額給付金でカメラのレンズを買おうと思って昨日の夜はいろいろ考えていた。定額給付金と言う貨幣があるのではなくて、それは実は家賃だったり食費だったりするものと同じ質量なのだから、家賃でカメラを買う、と同じことになるのだから、やっぱり諦めた。いろいろな欲はなくなってしまっている。欲望が労働への動機付けなのだけれど、草を食んで野に寝る、真性草食系おじさんになってしまっているのかもしれないね。
なつかしい人からのメールが、そのなつかしい想い出にしっかりと形と色をつけて居場所に収まる。そうした想い出たちに占領されてしまったボクとか部屋とか一日とか…。
また一日が始まったよ。

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