寒さに目覚めるとあたりは白い世界だった。ボクは何が起きたのかと思った。低体温が思考を鈍らせていて、その事実に気づくのが遅くなった。寒さは地の底に漂っているようで、その気配をボクは感じていた。久万高原のバス停で野宿した時のこと。今ぐらいの師走の頃だった。

今日、たった今も、寒さに目がさめた。その時の夢を見ていた。

昼間に期日前投票に行った。豊橋市役所の地下。投票もネットでできたり、あるいは郵送できたり、そうすると投票率も上がるのに、なんて考えていた。投票率が上がると都合が悪いのか、そういったシステムにするための費用がかかりすぎるのか、そんな理由で当分の間は本人が出向いての直接投票という現行の方法なのだろうね。

たぶん、投票に行かない人たちというのは、「誰に入れたって同じ」とか「投票する人がいない」なんてことよりも、「面倒くさい」ということが最大の理由なんだろうと思う。もう少し正確に言うと、「（各地区の公民館なり市民館なりに）行くことが面倒くさい」のだろうと思う。

分かるような気がする。だって近所の人たちがいたり、同級生がいたりして、投票することよりも、そういった人たちとのコミュニケーションが面倒だと思うし。そういった「セケン」から遠ざかって生きているのに、そして、そういった「シガラミ」を避けて生きているのに、選挙になると投票所というムラが出現する。

選挙の時以外に、盆踊りや祭りなんてのもムラが出現する時で、そういったムラの行事に参加している人は投票にも行っているはずだ。逆に行事に参加していない人のグループと投票しない人のグループは重複している。そんな相関性がある、に決まっている。

若者の投票率が低い原因もそういったところにあるはずだ。会社行事も飲み会も忌避する人たちが、積極的にムラに参加するわけがない。そしてムラ社会で隠棲している人たちがわざわざ日中その中心地である公民館や市民館に行くわけがない。

と、思うのだ。そして、そういった気持ちも分かる。日本の現在社会は脱ムラ社会へと進んできたのだし、それはなにも生活の場だけではなくて、労働の場でも脱ムラ社会はすすめられている。非正規社員なんて村八分の住人を大量に輩出する現代の労働市場、資本主義経済は、この国の社会構造までも歪にしてしまって、わざわざ「絆」なんて宣言しなければ隣人も助けられないアンモラルな国民を大量生産するシステムでもあるのだ。

村八分社会で「無敵な人」がどんどん作りだされている。そうして犯罪は悪質化狂暴化する。社会への帰属意識なんてのもなくなって、愛国心や郷土愛なんてのも忘れられてしまっている。というか、その非正規社員なんていう差別を正々堂々と行っている大企業なんてのは愛国心の欠片もない。

いや、そういうことを書くつもりではなくて、面倒くさいと思っている、ちょっと引きこもりのおまえら、そんなことが面倒ならば、期日前投票に行け。市役所の地下（また地下ってのが脱ムラって感じでボク的には好ましいのだが。というか豊橋市役所の場合だけれど）に行って投票しろ。けっこう簡単に、たぶん、2分ぐらいで終わってしまうから。

それでも面倒くさいヤツは、明日の投票締め切りギリギリに行くという手もあるけれど…。

あの久万高原の年、リーマンショックなんてあった年、あれからボクたちはまた同じ過ちを繰り返そうとしている。そうして約束の年、あの2011年のことなんてのは、綺麗サッパリ忘れようとしている。相変わらず非正規労働者は増え続けていて、派遣社員は切られ続けている。脱原発なんておとぎ話になってしまい、経済と国民の命を天秤にかけようとする為政者の多いこと。

それでも、やっぱりボクたちは肥え太り続けなけらばならないと、洗脳されてしまっては、破壊の道を選択しているのだ。

蓮子様がお出迎えなのだ…。