立冬。

カレンダーが10月のままだったのは、きっと、同じような日々を過ごしているからだろうと、そう思いながら今朝やっとめくって11月にした。ビリビリと、例の、紙の破れる音の大きさに、少し驚かされてしまった。10月がその破壊音とともに部屋中に散らばって、そして消えていった。

あいにくの雨と暖かい日曜日のスーパーは、家族連れで賑わっていて、なんだかボクのような独身のオジサンには居心地が悪い場所になって、こんな日に買い物に来たことを少し後悔した。それでも数人の同志を発見することができて、少し安心。平日の閉店間際のほうがボクたちには似合っている。きっと。

中年フリーターが270万人を超えたということを、少し前のテレビ番組でやっていた。中年になると、転職ということが煩わしくなってくる。それは正社員だろうが非正規社員だろうが同じで、慣れた仕事と慣れた職場の居心地の良さから離れられなくなる。特に人間関係を新たに築くなんてことに臆病になる。居心地の悪い週末のスーパーのように、ポツンと孤立するに決まっているからだ。

中高年の転職は難しい。それでも派遣社員や期間従業員、パートやアルバイトなんて仕事があるもんだから、とりあえずそこへ就職する。そこから転職はさらに難しくなって、非正規社員を延長する。もうそうなると抜け出せなくなる。不本意なんだけれど、居心地の良さには敵わない。

とりあえず年金受給までの年数をカウントダウンする労働人生を送るようになる。ボクたちのような非婚者にとっては、フリーターのほうが気楽だ。収入や年金が少なくてもそこそこの生き方をできるし、いざとなればホームフリーな生き方もできる。（前のエントリーで書いたように車で住む人たちのこと）
そ

うやって中年のフリーターは増加する。巷で言われるような不安なんてのはそれほど抱えてはいない。それでころか、年金がダメなら生活保護がある、なんて思っている人もいるだろうし、人生そのものが省エネ、エコにできている。スマホがあればなんでもできるってやつだ。

週末のスーパーは居心地が悪いけれど、平日の閉店間際はとっても居心地が良い、世の中は二極化している。格差の中で生きることはそれほど難しくもない。国家は衰退するとしても、社会福祉費は増加するにしても、新しいスラムがある。そしてボクたちは新しい時代のスーダラ族なのだ。

その番組では非正規の増加を止められなかった原因を、例えば経営者や株主、マスコミなんて人たちに求めていたけれど、一番の原因は労働組合にあると思う。職場という居場所の住人の代表、いわゆる大家が、店子を線引きして、こっちに来るなと宣言して、平気で人権を無視し差別したのだから。

なんて少し前までは熱く語っていたけれど、今はもうすっかりニュースーダラ族なので、そんなの関係ない、なんて、ただ「週末は引きこもりに限る」なんて、ボクたちの居場所を確認しているのだ。

分かっちゃいるけど　やめられねぇ
ア　ホレ　スイスイ　スーダララッタ
スラスラ　スイスイスイ

NHK「ニュース深読み」から