東京モーターショーで考えたこと

確かに車は変化しているようだけれど、購入できない人たちも劇的に増加していて、産業と経済、というかマーケティングのミスマッチが続いて結局この国の製造業は途方に暮れるのだろうと思ったりしている。

動力源のハイブリッド化からEV(電気自動車)化、そしてFCV(燃料電池)化は、車というモノを考えるうえではそれほどの変化でもなくて、ただ単に「動力源が変わった」というだけのことなのだ。エンジンでピストンを動かし、駆動軸にその力を…なんて基本的なことはなにひとつ変わっていない。車としてのカタチは相変わらずのもので、ボクにはとても退屈なのだ。

IoTや自動化なんてことについても、「車を動かさないで道路を動かせば良いんじゃね?」とか「車に乗っていていろいろ管理されるよ」なんて、いよいよ「FAN to Drive」から遠ざかってしまうように感じる。

というかボク自身、交通ということに従事している車社会の住人なんだけれど、スーパーカーに興奮した少年時代の過ごし、大型から二輪まで乗れる免許を持っていたとしても(それに二種もね)その自動車自体にはほとんど興味をなくしてしまっている。

だって、車を運転することが「FAN」なんて感じないんだもん…。

できれば移動はすべて電車とかタクシーにしたい…。真の自動運転だしね。

ただ、今後は車を買う予定がある。

乗る車ではなくて、住む車だ。あるいは泊まれる車。

この国が抱えている貧困や格差、非正規という問題は、車というモノの利用方法を変える。マーケットはメーカーが「どんなもんだ」と変えるのではなくて、市場のニーズが変えるに決まっている。ということを考えると、そしてボクの予定も考えると、動力源や自動化なんてものよりは、「住む」ということが車に求められるのではないだろうか。住居空間としての車だ。

今後は車を移動手段や「FAN」のために買うのではなくて、生活のために買うようになる人が増加する。アパートに住むよりは車に住んだほうが格安だ。非正規の増加はそのまま下流老人の増加なのだ。少ない年金で暮らすためには生活費に占める割合の高い住居費をいかに抑えるかということを思いつくはずだ。そして車に住む。

車に住みながら、夏は涼しいところで、冬は温泉地の暖かいところで、老人たちの移動が渡り鳥のように見られるようになる。もちろんボクもそのひとりだ。

アパート代もなければ、煩わしい近所付き合いもない。町内会費もいらなければ、管理費もいらない。フリーだ。車中ホームレスなんて人もいるらしいけれど、ホームフリーなのだ。国はエコカー減税のようにホームフリー減税をして購入費や維持費に対して補助をし、駐車場の整備をするようになる。

車が売れる時代の到来だ。三種の神器どころか生活になくてはならないものになる。自動車バブルの到来だ。不動産業者も賃貸住宅を建設するよりも、充電施設やトイレバス付きの賃貸駐車場の建設をしたほうが良い。カーマンションなんて一台分のスペースの高層駐車場のほうが今後は売れる。

東京モーターショーのニュースを見ながらそんなことを考えた。

そうして厚労省が発表した「平成26年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況」を見ながら、国も企業も非正規や貧困について真面目に考えていない、というよりも、国家ぐるみの貧困ビジネスを行っているのではないのかと、思ったのだ…。

正社員以外の労働者グラフ
「平成26年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況」の正社員以外の労働者をグラフにしてみた。
青の実線が男性、赤の点線が女性。
35歳から55歳の山、いわゆる中高年の非正規社員の増加がこの国にとって良いはずがないと、みんな分かっていても、結局は経済のためには黙認してしまうのだ。
平成26年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況|厚生労働省

2件のコメント

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    テルさん、どうも。
    ボクはどちらかというと、2直のほうが好きでした。
    確かにあの頃は何もできないぐらい疲れていて、休日はボンヤリしていましたよ。ボンヤリしているところは今も同じですが。
    まあ、ワークライフバランスなんてこともあって、仕事が忙しいと心の貧困にもなるし、過労死やうつなんて問題もありますもんね。
    車中泊で旅をするのが、最近の夢です。

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    田原笠山さん、こんにちは。苦手な2直も後半に差し掛かり少しほっとしています。
    ライン作業、きついですね。まだ若い世代である私からしてもきついので恐縮ながら田原笠山さんは相当厳しかったのだろうなあと思いながら作業に従事しております。私もちなみに車体部のボデー課です。昔の日記を読むと「同じだなあ」なんて思ったりします。
    昔は物質的な豊かさを求めていたのが今は精神的な豊かさを求めている時代に変わっているかもしれないですね。
    やはり国を動かしている人間が「貧困」のひの字も知らず自分の懐を暖める仕事ばかりやっているのも問題ですよね。
    車中泊、いいですね。昔は憧れましたね。

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