プレミアム商品券狂騒曲

今日までだね、プレミアム。

使い切ったと思ったプレミアム商品券(「ええじゃないか豊橋プレミアム商品券2015」が正式名称なんだけれど)が、6千円分見つかった。というのもなにか変な言い方なんだけれど、とにかく見つかった。

「ラッキー」と、冬服を引っ張り出したついでに部屋の掃除をしていたボクは、ちょっとだけ声が大きくなった…のだけれど、「何買う?」なんてこれまたちょっとだけ考えた。洗濯物の向こうで晩秋の空が哀しいほど青かった。

「じゃあ、お昼はこれでちょっと贅沢を」なんて、ボクに家族がいたとしたらそういう話になっていたに違いない。とか、「じゃあ、ハロウィーンだから、お菓子でも買うか」なんて話に発展したかもしれないのだけれど、あいにくボクは哀しい空の色とその下の乾いた空気と同じぐらいにさっぱりと独りなので、「まいったなあ…」なんて声に出してみた。

昼食にキノコご飯となめ茸の味噌汁を食べた。そしてシャワーを浴びて(そういえば昨日は風呂にも入ったなかった)部屋の鍵をして階段を下りた。そうして近くの薬局に行った。洗剤とか歯磨き粉とか防虫剤なんてものを買った。5800円少しで、レジで「あっ!」なんてはしたなく声を出した。6000円オーバーを目指して買い物をしていたし、例えそれが8000円でも9000円でも良くて、キチンと商品券を使い切りたかったのだ。

「う~ん」なんて少し唸って商品券5000円と千円札を出した。

「はあ~、またどこかで1000円分使わないと…」。一度アパートに戻ってから、スーパーに行った。結局3000円ほど買い物をして、めでたく商品券を使い切ることができた。ボクのような駈け込み消費で豊橋市の小売は賑やかだったに違いない…。

何かプレミアムな買い物をしようと目論んだのがいけなかった。

前から欲しかったレンズとか、靴とか、冬用のジャケットとか…。でも、そんなプレミアム買はすることなく、食料品とか生活用品で終わってしまった。普通の、庶民の、市井の、一般人にとっては、それが、これまた普通なのだろう。いつもの買い物に2割増しの贅沢ができた、ということではなくて、「2個増量」なんて感じの満腹感を味わっただけなのかもいしれないと、思った。

スーパーで柿を買った。きっとプレミアム商品券を持ってなければ買わなかったかもしれない、そう思った。

アパートに帰って、サラダにして食べた。秋の味がした。すっかり外は暗くなってしまっている。海のにおいがした。昔、子供の頃のことが思い出された。青い空が目の前に現れた。ちょっとだけプレミアムだなあ、なんて口に出した。そうして来年もプレミアム商品券を発行しますように、なんてこれまたちょっとだけ祈った。

プレミアム商品券で買った柿

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