本当の人間

「だからお前らはいつまでたっても発展途上国なんだよ」

何かある度に、ボクは心の中で、その呪いの言葉をささやいた。そしていかにボクが生まれ育った日本が素晴らしいかを考えたし、時として彼らに説いた。

それは、今思えば、とても傲慢だったように思う。彼らには彼らなりの文化や風土なんてものがあって、それはそれでとても素晴らしいものなのだ、そう思う。一秒単位、一ミリ単位で作業を繰り返すこの国のシステムが、確かにこの国を発展させたかもしれないけれど、経済とか文明の発展だけが幸福なのかというと、あるいは人間らしいのかというと、また別の話なのだろう。

この国と同じことをすれば幸せになれるのだろうか?

国や地域と同じように、企業にもその文化や風土がある。「だからこの会社はいつまでたってもダメなんだよ」なんて言う人がいる。でも本当にダメじゃない人たちのやり方が正しいのだろうか。すべて同じ型にすれば「ダメ」から脱け出せるのだろうか。

脱け出せる場合が多いかもしれない。例えば郵便局のようにトヨタ式を導入して期間従業員で配達作業を行えば「儲かる」かもしれない。でも、結果として不幸な人が増えたのではないのだろうか。

なんてことを考えながら、ボクは「酢タマネギ」を作っていた。少し前までは、酢と蜂蜜と醤油・酒、なんて調合していたのだけれど、「かんたん酢」なんても便利なものがあって、安田成美さんがCMをやっているもんだから、使ってみるとかなり良いので、最近は「かんたん」に作っている。

けっこう健康を考えていたりする。ああ、なんだか嫌だなあ、なんて思ったりもする。別に長生きしたいわけではないのだけれど、高血圧による脳溢血や脳梗塞での突然死で腐乱死体で発見されるなんてことは、まっぴらごめんなのだ。

血圧もだけれど、糖尿病やメタボなんてのにも注意している。ついでに尿結石や痛風なんてものも…。ああ、やだやだ。なんだかキチンとし過ぎで、もう少しだらしなく生きたいんだけれど。

そしてメタボな人を見ると「だからあなたはいつまでたっても…」なんて思って……、いや、結局そのメタボの人のほうが、我慢せずに好きなものを食べて、いつ死んでもいいや、なんて思っているほうが、幸せなのだ。

世の中、あまりキチンキチンとし過ぎると、かえって不幸になるに決まっている。そのバランスが難しいのは難しいのだけれど、いい加減なほうが「幸せ」になれるように思う。

「だからオレは…ダメなんだよなあ……」

酢タマネギ

1件のコメント

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    こんばんは。
    以前貧困の話題がありましたが貧しい=不幸と決め付けるのは少し違うような気がします。
    貧困から抜け出せて生活の質は向上したとしても心の部分では向上とはいえない場合もあると思うからです。
    派遣や非正規に関しても一概に不幸と決め付けて議論するのは違和感を覚えます。
    決して現状がいいとは思っていませんが「好きでやってるのだから関知しないで」などと言われたらそれ以上は踏み込めません。
    正規雇用を望まない理由があるのならその問題点をつぶしていかないといけない、その一つがサービス残業ではないかと最近は思ったりしています。
    他にも一部にありがちな貧乏が正義で金持ちが悪と説くのは違うと思います。
    なら金持ちは何をすればいいのか?と考え真っ先に思いついたのは相応の税金を納めることでしょうか。
    経営も1円でも多くの売上や利益を出すのが正しいといえば必ずしもそうではないような。
    上場企業ならいい加減な経営だと株主から叩かれるのは当然ですが非上場なら売上や利益にとらわれずに事業の継続と雇用の維持さえ出来ていれば別にいいのではないかと。
    健康もそれにより仕事休んだりなど迷惑かけたりしなければ必要以上に干渉するのも違うと思います。
    極端なデブやガリでもそれ自体迷惑かけてるわけではないですからね。

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