溟濛、冥界(40日目の2)

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10寺35分に道隆寺を出発して、11時前には丸亀市街地に入った。丸亀城見える商店街の近くにうどん屋があったので入る。11時10分。そのうどん屋「つつみ」でぶっかけうどんを食べた。大盛りで310円。安い。香川のうどん屋にはおでんを置いているところが多い。そして味噌をつけて食べる。名古屋だけではないのだと、その時に始めて知った。

飯野山(讃岐富士)
(飯野山・讃岐富士)

11時30分出発。県道33号線、蓬莱橋を渡る。その頃になると、少しずつ雲が増えてきた。天気予報では午後から雨。少し後悔していた。ホテルに泊まるのが1日早かったと考えていたのだ。野宿に雨、場所が限定される。

宇多津町に入ったのが12時少し過ぎたところだった。瀬戸大橋四国健康村という健康ランドに行って泊まるには早すぎる時間だった。そのまま歩き12時20分七十八番札所郷照寺に着いた。

12時45分、郷照寺を出発。宇多津町から坂出市内に入る。坂出の商店街は今にも降り出しそうな天気のせいか、どことなく寂しく感じた。入り口にあるベンチで少し休憩。商店街を抜けて14時30分、七十九番札所高照院に到着。

正式には金華山高照院天皇寺。天王寺ではなく天皇寺だ。昔、保元元年(1156)、保元の乱にやぶれた崇徳上皇は讃岐のこの地に流された。その讃岐での隠棲の日々をこの寺でよく過ごしたという。そして、長寛2年(1164)8月、崩御された折に都からの指示があるまで遺体は八十場の泉に浸けて保存され、棺はこの寺に安置されたことから、天皇寺と改号されたということだ。

冬支度、防寒着で着膨れした大師像
(冬支度、防寒着で着膨れした大師像:郷照寺にて)

14時55分、出発しようとしたら雨がパラパラと降り始めた。小降だったのでそのまま歩く。と、少し行くと激しくなった。国道11号線の高架下でレインジャケットを着た。そこから左折して八十一番札所白峯寺、八十二番札所根来寺を打ち、国分寺へ下りるルートが歩きやすいと聞いていた。次の日に会った数組の遍路もそのルートを選んでいた。雨なのだからなお更だったのだろう。国分寺からの急登は地図でもその厳しさがうかがえた。

そして坂出簡易保険保養センターで風呂に入って、白峰パークセンターの屋上でテント、夜景を見ながらの夜は素晴らしいとも聞いていた。15時、登り6キロから7キロ。迷ったのだけれど、そのまま順路国分寺へと向かった。地図にコンビニと休憩所加茂駅が記されていた。そこで考えようと思った。雨は降り続けていたのだけれど、歩き始めた。

15時30分前、その休憩所に着く。よくある遍路小屋ではなくて、民家の休憩所だった。泊まれないと思って、そこから遍路道を外れて11号線沿いにあるローソン坂出加茂店に寄った。雨に濡れた上着とザックを玄関前に置いて入店した。買い物が終わると国分寺を目指して歩き始めた。風も吹き始めていた。ボクは少し急いだ。札所まで3キロ。溟濛、その暗さが心にも染みていた。

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