そして海の家へ(20日目の2)

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大方の遍路小屋にいた。
ベンチに寝転がっていた。もう動かないいようと思ったし、動かない方がいいと思った。

遍路小屋に泊まる準備をしなければならなかった。11時、荷物を遍路小屋の柱にワーヤーロックして、道の駅ビオスおおがたに空荷で買い出しに行く。その日と次の日の分の食糧を確保しなければと思っていた。11時35分、道の駅着。

日替わり弁当、おにぎり弁当、餅、芋天を買う。ピーナッツなど非常食もあるからそれぐらいにしておいた。気温も上がっていたので傷みも早いだろうということも考えた。もう少し買っておけば良かったと、あとで思うのだけれど。

大方へんろ小屋の下の海岸で砂に書いた「空」

(大方へんろ小屋下の浜辺に書いた「空」)

12時に遍路小屋に戻って、それから、荷物を持って海岸に降りた。国道沿いの遍路小屋、そして工事中という状況は居心地が良くなかった。ボクは海岸、そしてその先に見えたキャンプ施設の方へ行こうと、道の駅からの帰り道に考えていた。

 

12時20分、浮津海水浴場のキャンプ場着。海の家はシーズンオフでひっそりとしていた。その前のベンチに座った。少しして工事現場の人たちも弁当を持ってやって来た。そのグループとは別の夫婦、いや男女ペアの内装屋さん、あるいは、大工、左官、とにかく建築関係だろうと思ったふたりがやってきて、弁当を食べ始めた。

そしてボクも古代米おにぎりセットと搗き餅を食べた。金曜日のお昼、海の家はシーズン中のように賑やかになった。

食事が終わると、それぞれ煙草を吸ったり寝転がったりで、短いお昼休みに積極的に身体を休めていた。そして13時前になると、工事現場の人たちは仕事に戻って行った。

内装屋さんだと思った女の人がボクのほうにやって来た。そしてチョコレートとみかんを「お遍路さん、どうぞお食べ下さい」と渡してくれた。「あ、ありがとうございます」とボクは慌てて言った。忘れていた。自分が遍路だということを。

そういうとそのふたりも仕事に戻って行った。

海の家にはまたシーズンオフの寂しさが戻った。

ボクは寝袋やマットなんかを干した。それからただぼんやりと海を見ていた。

シュラフ、カバー、マットを干す

(浮津海水浴場にて)

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