最適経路とは最短距離で最小経費ではない
タクシーに王道あり
「早く安く到着」することを自慢するタクシードライバー、多いですよね?中には知られざる秘密の経路を通って「運転手さん、今日が一番安かったよ」と言われることに史上の喜びを感じる人もいます。
最適経路について考えてみました。
経路五原則
ボクが新人時代、目的地までの最適経路は次のことを基本にするように指導されました。
- お客様の指示
- 目印になる建物、交差点、信号を経由
- 大きな道(狭路は避ける)
- 指定経路(会社がしているもの)
- タクシー道
5のタクシー道とは、けもの道のようなもので、必ずと言っていいほどタクシーが通る道です。後になって気づいたのですが、それは信号の少ない道です。
信号待ちはお客様にとっても、運転手にとってもストレスになります。速度よりも流れを優先したいと考えるのは、職業運転手だけではなく、一般の方も同じではないのでしょうか。要するに、近い<ストレスフリーです。
安全経路
たしかに利用者にとっては運賃が安いことは良いことです。早く到着するということも喜ばしいことでしょう。
ただ、その安くて早いということと安全はトレードオフの関係にあります。例えば、早く到着するために速度超過、安全確認不履行、生活道路、狭路を使ってのショートカット、それら先急ぎ行動が事故につながります。
タクシーの目的
「安全、確実かつ迅速に運輸を遂行する」1ことがボクたちタクシー運転手の責務です。つまり、「安くて早い」ことよりも「安全、確実」が優先されるということです。
そこを取り違えて「安く、早く」となるから、上述の通り速度超過が起こります。一時停止違反、信号無視、歩行者妨害などの違反を犯してしまいます。そして行きつくところが事故です。
タクシーに王道あり
「安全はすべてに優先される」という標語があります。これこそ利用者と運転手、事業者に共有されることなのです。
「急げ」というひと言が、どれだけの危険なことなのか。「稼げ」という賃金制度がどれほど事故を誘発するシステムなのか。ということなのです。
- 「わたしの選択する道こそが安心安全な経路です」
- 「どんなナビよりボクの頭の中のナビのほうが安心安全なのです」
- 「わたしに任せてください」
と言えるような・・・、あ~、まあ、そんなプロもいなくなったか、と思っているんです。
ボクですか?あ、その前にお客様がいらっしゃいました。
「あ、ありがとうございます、どちらまでですか?」
「市民病院まで、運転手さん急いで」
「はいっ。ナビ入れますね」
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