清瀧寺通夜堂にて(15日目の4)
走った。
もう限界だった。息が上がっていた。というよりも、吐きそうになっていた。痛みはなかった。
(35番札所清瀧寺にて)
16時40分に着いた。山門からの石段は「地獄」だった。
お寺の檀家さんだろう、みかんを売っていた。そのあたりで衣装を整える。その時になって膝が震えはじめる。そこを震源地として体中が震えた。座り込みたかった。
清瀧寺にて
「宿は決まってるのか」と、みかんを売っていたおじさんが聞いてきた。
「いいえ。まだ決まっていません」と答えた。
「ないのなら、通夜堂に泊まりなさい。畳を替えたばかりだから気持ち良いよ。それに二部屋あるから」とすすめてくれた。ありがたかった。
「はい、ありがとうございます。納経してきます」と、本堂へ向かった。本堂、大師堂と納経をして、おじさんのところへ戻ってきた。そして「今夜はお世話になろうと思います。ありがとうございます」と言った。
「食べるものはあるのかい」
「はい、もっています」
「じゃあ、納経所に行って、そう言うといいよ」と教えてくれた。
清瀧寺通夜堂にて
納経所に行って通夜堂に泊めていただくようにお願いした。住職に快諾していただき、通夜堂に向かった。おじさんが待っていて、部屋まで案内してくれた。そして少し話して帰って行った。
ボクは部屋に上がって身体を横たえた。筋肉や関節が弛緩すると、痛みが襲ってきた。足、豆の部分もだけれど、膝がとても痛かった。それでも、その痛みは今走ってきたからだろうと考えていた。ザックからインドメタシン軟膏を出して塗った。
しばらくして若いお坊さんが掃除にやってきた。きっと住職の息子さんだろうと思うのだけれど。室戸までのことや、高知市内から竹林寺、そこから清瀧寺までの道や、この先のことなどを話した。
なんだか久しぶりに会話したという感じがした。すっかり外は暗くなっていた。お坊さんは「それでは、おやすみなさい」と言って、通夜堂を後にした。ボクはローソンで買った夕食を食べた。白大福、その甘さが哀しかった。心の琴線は、状況によっては、ありふれたもので、かき鳴らされる。
少し離れたトイレに行った。土佐市の夜景が綺麗だった。足腰が異常に痛んだ。それでも一晩たてば、と思っていた。通夜堂は静かだった。身体を拭いた。少し冷えてきていた。寝袋にもぐり込んだ。布団があったのでその上に寝袋を広げた。電灯を消した。
自分のものではない身体が横たわっている、そんな感じがしていた。あっという間に、眠りに落ちていた。
(清瀧寺から土佐市内の夜景)
この日の行程と費用
- 行程:土佐電鉄高知駅前~35番札所清瀧寺
- 札所:32番 禅師峰寺、33番 雪渓寺、34番 種間寺、35番 清瀧寺
- 宿泊:清瀧寺通夜堂
- 費用:2,044円(納経代、お賽銭別)
- サンクス高知五台山店
- 手巻きおにぎりカツオ 115円
- 日清シーフードヌードル 158円
- ニッスイジャンボソーセージ 113円
- ゲンコツむすび 250円
- (小計 636円)
- ローソン高知仁井田店
- マルハビックソーセージ 113円
- スニッカーズ 120円
- (小計 233円)
- ローソン土佐高岡バイパス店
- 白大福 84円
- 直巻きツナマヨネーズ 110円
- 直巻き赤飯 120円
- おにぎり辛子高菜 110円
- まるごとソーセージ 121円
- カロリーメイト 210円
- (小計 755円)
- 自販機
- 缶コーヒー 120円
- スポーツドリンク2 300円
- サンクス高知五台山店