長浜種崎間県営渡船で急がば回れ(15日目の1)

4時起床。起床というか、駅前の朝は早い…。電停のベンチで熟睡などできるはずもなく、疲れていなければ、一睡もできなかったかもしれない。ホームレスのおじさんが、ひとり、駅前のシャッターの前に転がっていた。

JR高知駅南口の多目的トイレで洗髪、洗顔。少しスッキリする。4時30分、そのまま出発。昨日来た道を戻る。サンクス高知五台山店で買い物。おにぎりとカップヌードルの朝食を駐車場の片隅でとる。暖かい食べ物が身体も気持ちも暖かくする。優しさという概念は、きっと火を発明しなければ、生まれなかったのだろうと思う。感情も文明と共に発達してきた。例えば「愛」ということも、高度に複雑化されてしまった。

夜はまだ明けていなかった。五台山の麓を通りすぎ、禅師峰寺に向かう。散歩している人たちとすれ違う、挨拶をする。夜の緊張から解き放される。

無人市に並ぶ梨に顔が書いていた

(32番札所禅師峰寺に向かう無人市にて)

禅師峰寺

7時50分、三十二番札所禅師峰寺に到着。海が見える。久しぶりの海。浦戸大橋も見える。8時30分に出発する。少し気持ちが焦っていた。というか、高知から離れたかったのかもしれない。日曜日の札所は少しだけ賑やかだった。

禅師峰寺を下りた交差点を、一昨日西岡善根宿で同宿だったプロ遍路氏が横切っていた。雪渓寺方面からだから、逆打ち、また善根宿に向かっているのだろうか。ということは、この辺りをグルグル回っているということなのだろうか。県道14号線沿いにある遍路小屋に泊まっていたのだろうか…色々考える。色々な疑問が浮かんだけれど、きっとそれが彼のスタイルなのだから、誰も否定は出来ないのだろう…。

9時30分過ぎにローソン高知仁井田店着。トイレを借りる。スニッカーズとソーセージを買う。駐車場でスニッカーズを食べる。浦戸大橋を渡るか、種崎から船に乗るか迷っていた。大橋を渡るときっと景色は良いのだろうなあ、なんて考えていたし、気持ちも傾いていた。そして歩いていた。

長浜種崎間県営渡船で雪蹊寺へ

すると後から声がした。「お遍路さん、お遍路さん」
「はい、なんでしょうか」
「大橋を渡るのですか。それよりも船のほうが良いですよ。元々橋などないのですから。船にしたほうが良いですよ」と言われた。そして種崎の渡船場までの道を教えてくれた。

どうしてだろう、あのように強く勧めるのだろうかと、考えた。お接待、なのか、お節介なのか…。あるいは、県営のフェリーを存続させるために、乗員数を増やすこと必要があるのだろうか、なんてことを考えた。確かに橋は出来たとしても、地域住民にとっては、無料のフェリーは必要なのかもしれない。それに携わっている人もいるのだろうし…。

そしてボクは長浜種崎間県営渡船場に向かった。10時15分に着く。次の便は11時10分だった。出発したばかりだった。5分早ければ、なんて思った。

今思うと、この1時間がなければ、この先苦しまずに済んだのかもしれない、いや、どうして、この日はあんなに急いだのだろうか、と思っている。

禅師峰寺にて 一斉に咲こうとする朝顔?

(32番札所禅師峰寺にて)

長浜種崎間県営渡船のご案内 | 高知県庁ホームページ

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