個人タクシーになります

個人タクシーになりますか?

実はボクもそう思った時期もあったのです。例えば、介護タクシーとか、車椅子専用タクシーとか、法人運転手としてはできないことをやってみたいなあとか。

あるいは、故郷で地元の人たちを相手にタクシー運転手をやってみたいと。いえ地元ではなくても公共交通空白地での移動に関わってみたい、そう思っていた時期もあったんです。

全く毒の無いリベラリストさんのツイート

ありがとう仲村1さん

でもね、そもそも個人タクシーになるのが難しい。それに地域を限定されては、さらに難しい。結局、法人タクシーの居心地のよさに慣れてしまって、楽に座ってしまったのだろうと思っています。

ボクはそれでもいいのですが、本当になりたい人、法人タクシーではできないことをやってみたい人、タクシー業界を改革したい人、そんな個人タクシーという夢を持っている人の願いや思いが、どこかで挫折することなく叶えられれば良いのになあ、そう思っています。

そんな個人タクシーについて考えてみました。

個人タクシー誕生

個人タクシー制度が始まったのは昭和34年だったそうです。その年の12月に東京で173人の個人タクシー運転手が誕生しました。「永年の無事故・無違反の優良運転者に夢を与え、業界に新風を送る」という理念のもとに営業が許可されたようです。2

世の中は高度成長期の輸送需要の拡大とともに、「神風タクシー」や「白タク」が「輸送秩序を混乱させ」ていた時期でもあります。

60年後と新しい白タクの登場

それから60年を過ぎた現在は、運転手不足による供給不足になっています。その供給不足、タクシーが足りない状況で、ライドシェアという「白タク」の必要性を説く人たちも増えています。

そのような中、「業界に新風を送る」ためなのか、ライドシェア対策として第二種免許取得要件が緩和され20歳のタクシー運転手が登場しました。30歳の個人タクシー運転手の登場の可能性が出てきました。

しかし、どんなに早くても30歳です。

そして、10年間無事故無違反という高い壁もあります。「永年の無事故・無違反の優良運転者に夢を与え」られる前に、夢半ばで業界を去る優良な運転手もいることも確かです。

60年前とは大きく変容した道路事情・交通事情、それに車両の進化などを考えると、10年間という期間の妥当性や基準の適正性に懐疑的になります。逆に10年無事故無違反なら誰でもいいのでしょうか?

タクシーめいめいさんは登場しません

例えば、法人タクシーではできないことを個人タクシーを開業してやりたい、タクシー業界に新風をもたらしたい、という人は?

例えば、9年間無事故無違反だった人は?

「新い風」は吹くのでしょうか?高い理念、情熱を持っている人が登場(参入)できない、このような仕組みに問題があるのではないのでしょうか?

さらに現行法で開業できる地域が限定されていることも、地方のタクシー運転手の夢を奪っています。地方の優良運転手には夢もありません。

平均年齢60歳のタクシー業界。そして10年縛りの個人タクシーでは、あのトラックめいめいさん3のような「優勝」できる人の登場は難しいのです。

都市集中型の労働力

これからタクシー業界は二極化が加速します。タクシー運転手の地域間格差が拡大します。賃金が高い都市部へと労働力が移動します。そうなったとしても都市部の需給が均衡するとは思えません。相変わらず供給不足は続くでしょう。

そのうえで地方の運転手不足も加速されます。

都市も地方もどちらも供給不足を生じます。供給不足とは利用者の利益損失です。そして公共交通というサービスの劣化を含意しています。(停電がある、断水がある、その状態がタクシー業界です)

どうします?

世論は、劣化するタクシー業界に見切りをつけて、ライドシェアやむなし、という流れになります。

業界大手の日本交通、川鍋社長はそれでもいいんです。なぜならば、自社アプリ「GO」を使ったライドシェアをやればいいからです。例えば「GO RIDE」とか。

その「GO R IDE」でライドシェアの配車を行い、「危険だから」という理由で、その自家用有償で使用する車両と運転手の運行管理もタクシー会社が行うようにします。そうすると、さらに日本交通に利益が集中します。さすがです。

結局、従来のタクシーはGOで、自家用有償はGORIDEで、そして運行管理はGO Checkで、というように準備はできているはずです。

自動運転とライドシェアとタクシー

そのうち自動運転が始まります。いえ完全無人化ということではなりません。自動運転化されたタクシーに人が乗るのです。その自動運転タクシーを操作する「自動運転従事者」を新設するという話が国交省から出ています。

自動運転従事者 東京交通新聞
2022年10月31日付 東京交通新聞

タクシー会社は存続するでしょうが、タクシー運転手という業態は激しく変容するでしょう。そうしてライドシェアが始まると個人タクシーも厳しくなります。個人タクシーを開業するよりもライドシェアをしたほうが「自由だ」ということになるのではないですか?

個人タクシーは残りますか?

残るのは残るでしょう。それこそ「エンタメ性」のある人たちは生き残ってゆくことでしょう。ただし、旅客輸送(A地点からB地点へ利用者を移動させるだけ)ということだけでは、生き残れません。

このコロナ禍がタクシー業界は加速的に変容しました。10年後、いえ5年後のことを考えたことがありますか?

そして、個人タクシーに未来はありますか?夢を与えてくれますか?

未来も夢もあるんです。それには、開業要件を緩和して、例えば3年の経験と無事故無違反程度にすればどうでしょう。

供給不足によるサービスの劣化により人々がタクシーに見切りをつける前に、タクシーを増やす、そのためにもっと個人タクシーを、ではないでしょうか?

それに60年前とは違うんだしさ…。

ということで、個人タクシーを開業するための要件についてまとめてみました。

個人タクシー開業要件について

図は個人タクシー許可を受けるために必要となる主な資格(一般社団法人 全国個人タクシー協会)をもとに作成しました。地域によっては要件が微妙に違うようです。

経営者になるためには 一般社団法人 全国個人タクシー協会

個人タクシー開業要件 概略図

 

年齢

  1. 65歳未満

運転免許証

  1. 第二種運転免許

運転経歴

  • 35歳未満
    1. 10年雇用10年無事故無違反
    2. 申請する営業区域において10年以上同一のタクシー又はハイヤー事業者に運転者として雇用されていること。
    3. 10年間無事故無違反
  • 35歳以上40歳未満
    1. 10年のうち5年タクシー、継続して3年以上営業区域でタクシー 3年間無違反
    2. 自動車運転を専ら職業とした期間が10年以上
    3. そのうち5年がタクシー・ハイヤーの運転

申請する営業区域においてタクシー・ハイヤーの運転を職業として継続3年以上おこなっている

申請日以前3年間に道路交通法違反による処分を受けていないこと。下へ移動して記載(ただし申請日の1年以前において、反則点1点を付された場合または反則金の納付のみを命ぜられた場合のいずれか1回に限っては、処分を受けていないものとみなす)

10年間無事故無違反である者は40歳以上65歳未満の要件によることができる

  • 40歳以上65歳未満
    1. 自動車運転専業期間10年 3年以内に2年以上のハイタク運転手 3年無違反
    2. 申請日以前25年間のうち自動車運転を専ら職業とした期間が10年以上
    3. 申請する営業区域において申請日以前3年以内に2年以上タクシー・ハイヤーの運転を職業としていたもの

最後に

2002年に規制緩和されたタクシー業界ですが、緩和により供給過剰になりました。そして2009年に再規制を行いました。需給バランスが保たれていたようにも感じていましたが、コロナ禍により倒産、廃業する事業者も出てきました。それに加え離職する人も増えました。

そうした状況下で都市部でも地方でも供給不足が生じています。参入や台数規制を緩和したとしても解決はできないと思います。

ではどうするのか?

タクシー業界、タクシー会社が生き残るためには、業界による自家用有償運行という方法もあります。公共交通というのならば、停電や断水のない仕組みを作るないと、結局は60年前と同じように「白タク」「神風タクシー」が出てきます。

結局は、社会の公器としてのタクシーと利用者のことを考えた施策、ということになるのでしょうか?その施策を実行するタクシー運転手が足りない。とすると、個人のタクシー運転手を増やせ、ということなのでしょう。

と、個人タクシーについて考えたのです。「個人タクシーになります」と言えばなれる日がくるかもしれません。いえ、ライドシェアってのは、個人タクシーみたいなもんだしなあ…。さてと、寝るか。

個人タクシーどうでしょう? – 道中の点検

タクシー車両数推移グラフ 全国 東京

  1. 全く毒の無いリベラリスト(@BZvxMIaxb0AFAEI)さん / Twitter
  2. 個タ誕生
  3. トラックめいめい🤰🏼(@truckmeimei)さん / Twitter

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