期間従業員について

期間工物語(10)

期間工物語(10)

2009年8月15日
時はゆっくり流れた、あるいは慌しく流れた、というのは小説や唄のなかでの描写手法でしかないように感じる。時間はなんとなく流れた。時間の速度は自分の行動の速度によって決まる。エンドレスの内省を繰り返すTさんにとって、時間もま[…]
期間工物語(9)

期間工物語(9)

2009年8月13日
春の陽気が部屋に引きこもることを心地よいものにした。 「よくあんな退屈な場所へ毎日通っていたものだ」とTさんはつぶやいた。「いったい何が楽しくて毎日通っていたのだろう」と続けた。 相変わらず家の外には出ない日々を送ってい[…]
期間工物語(8)

期間工物語(8)

2009年8月13日
「どうしてオレはここにいるんだろう」と、Tさんは独り言ちた。 墓地公園から家まで歩いて帰った。1時間ほど歩いた。家に帰ると母親が食事の準備をして待っていた。Tさんはその食事を摂ってそのまま部屋に行った。「お風呂は」と母親[…]
期間工物語(7)

期間工物語(7)

2009年8月12日
そんな週末の4度目はゴールデンウィークの長期連休だった。TさんもMさんも帰省した。そして部屋にはボクひとりになった。期間工の3割ほどは帰省しないで寮にいた。11階建て2棟の巨大な寮は廃墟のように感じられた。 GWの最終日[…]
期間工物語(6)

期間工物語(6)

2009年8月12日
次の週、月曜日には部ごとに分かれて簡単な訓練をした。スポット溶接機の使い方とか、チップ交換のやり方なんてことを習った。そして火曜日に配属される組に分かれた。それからGL(グループリーダー)の安全教育があり、標準作業書を見[…]
期間工物語(5)

期間工物語(5)

2009年8月12日
金曜日の夜だったのだけれど、ボクが住むことになった10階の部屋には、週末であるという浮かれた空気はなくて、ふすまから漏れるテレビの音が床を這って入り口の鉄扉へ向かっていた。 Mさんと少ししてから共同部分で会った。その時、[…]
期間工物語(4)

期間工物語(4)

2009年8月12日
月曜日の「裸踊り」、そして火曜日の「肩叩き」を無事に過ごすと火曜日の夜には田原工場への配属者が決まる。掲示板に貼りだされる。(最近では水曜日発表、木曜日移動になったみたいだけれど)田原工場配属が嫌がられる理由のひとつはそ[…]