たぶんね、こういうことだと思うんだ。ボクとあなたが、ある日突然出逢うとすると、ボクとあなたの間にはかなり知っていることの違いがあるんだけれど、たぶんあなたはボクが思っている以上にボクのことを知っていて、というかボクが忘れたボクのことなんかを知っていて、出会いってのは、実はボクとボクの出会いってことになると…思ったんだ。（長いな）

（自己認識というのが出会いの概念とすると）ボクたちの会話ってのは、昔話みたいなもんで、「あ、そういえば」なんて言葉は、実は「こんなこともありましたぜ、旦那」みたいになってしまっていて、「あ、そうそう」なんて、もう過去の自分との出会いみたいな「バック・トゥ・ザ・フューチャー」状態になってしまっていると思うんだけれど。
そういう意味では、出会いってのは、ボクにとってかなり心地良いものだし、たぶん、それはあなたもそう思うのだろうけれど（てか、そう祈ってるんだけど）、ボクたちのいた時間や空間ってのは、どこを抽出しても、その心地良さは同じだろうし、例えば「沈黙」さえも、「あ、そうそう」なんてことになって、その時はきっと、周りの風景なんてのを、かなり強烈に記憶の中に留めているってことなので、ボクたちにとっては、その「沈黙」さへも必要なものになって、それが思い出というものに対して奥行きを持たせているとおもうんだ。
ちょうど、小西真奈美の「鹿児島スイッチ」のポスターのことを憶えているように、その沈黙がなければ、記憶の隅に追いやられてしまうだろう風景を大事にすることもないのだろうと、思っている。
そして、ボクたちの心地良さってのは、ミスドは閉店してしまった最終便にはまだ早い、列車の時間待ちをしている深夜の駅みたいなもので、そしてあのトヨタの休憩所の少し薄暗い場所の孤独にも似ていて、それを「あ、そうそう」なんて懐かしく思う感じなのかもしれないと、思っているんだけれどね。