希望は聞きいれません

2度目の赴任の時には、あのトヨタ健康会館での健康診断時に「なにか希望は?」なんてひとりひとり呼ばれて聞かれていたのですが、最近はそれがなくなったそうですね。2度目、3度目と再赴任した人の特権みたいなもので、それがあるために「じゃ、もう1回行くか」なんて思った人も多いでしょう。
あの数百人いるなかで「○○さん」なんて呼ばれて「また同じ所で良い」とか「なにか希望は?」なんて聞かれて優越感を抱く人が多いと思し、初めての人にとってはその先輩たちが前に行きそして戻ってくる姿に、ちょっとだけ羨望するのだろうと思います。
赤紙で面接がないとか500円/300円の昇給よりも、その希望を聞き入れてくれるという優遇、それが「もう一度トヨタ」という気持ちへさせていると考えていたのだけれど?希望が聞き入れられないということになれば、田中和風寮や富士見寮、あるいは仮設寮に再入居したり、「あんな組には」なんて思っていた職場に再配属されたりするのだろうから、赤紙の効用というのは、これまでの半減、いや無効となるのでしょう。
希望が聞き入れられなくなった背景には、応募者の減少とリピーターの増加によって、経験者比率が上がっているからでしょう。希望を聞き入れたら、きっと本社地区の工場に、そして綺麗な寮、楽(と言われている)な職場に、その経験者が集中してしまうからでしょうね。
期間従業員の組合員化の時に発表されたシニアの数も「4000人」ということで、約4割が1年以上勤務していて、2年11ヶ月もの長期間雇用されています。そして今後もそのシニア比率は上昇するのだろうし、リピーターの比率も上がるとなると、時間的な期間工という本来の意味はもうなくなってきています。
常に経験者によって、そしてその4000人から5000人という長期工によって、自動車が作られてゆく。質の良い労働力の囲い込みは、企業にとっては好都合なのでしょうが、労働者にとっては機会の喪失だと思います。「期間的な雇用」ではなくて、利益追求のための「常用代替」ということにほかならないのです。
期間工という常用工の登場、期間工の死なのです。
企業の利益、そして存続は重要なことでしょう。大企業は雇用も創出していますからね。それも数十万人の規模で。しかし、その利益だけが何事ににも優先されて、一時的な雇用体系であるはずの派遣社員や有期雇用者が、本来の意味を大きく逸脱してしまっている。「常用(的)」社員なのに「期間」社員として、長期間拘束されるにいたっては、希望のない「絶望工場」というよりも、「非人道工場」という感じもするのです。
そんなこと言うのなら行かなきゃ良いじゃないか、という人が必ずいますが、それを言ったら何も始まらないしね。ま、それにトヨタはマシなほうなのだろうけれど。てか、先が見えないし、トヨタでの日々って結局、身体を売っていたようなもんだしね。そういった、なんというか空虚な喪失感みたいなものが、いつもつきまとっているのだけれど。
若い時は、それでも、夢も希望もあったのだけれど。それは根拠なんてものはなかったにしても。今は、自分自身に自分の希望を聞き入れる場所がなくなってしまっているような、そんな感じがする。
あ、「ごくせん」が始まる…。

2件のコメント

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    さといもさん、こんにちは。
    そうですねえ、ただ必要かどうかって判断も、GL次第だったりするのだろうし、好き嫌いもあったりねえ。それにその組が空いているかどうかも分からないでしょうし。「すぐ赴任する」ってことなら別ですが。
    寮はカイゼンできないのなら、延長したら転寮できるなんてことにしないと、と思っています。本当は差をなくすのが一番なのですが。
    逆に、経験者は田中和風寮や仮設、富士見なんてことの方が増えているようなことも聞いています。未経験者の離職率を下げるためなのでしょうが。

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    職場の事情もありますが、本当に必要な人物であれば
    (私は人材という言葉が嫌いです)
    再度赴任の際にはきちんと手配をしてくれると思います。
    ただ寮がねぇ。
    期間従業員の頃から思ってるんだけど長年居る人や年長の方は新しい豪華な寮に優先的に入れるようにするべきですよ。
    全くの未経験者がアリビオで長年居る人が田中和風だと納得はできませんよね。

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