キッチンにおける妄想ということについての一考察(2)
すこしずつだけれど、その妄想は計画となってゆく。
妄想という平面図が立体化してゆく瞬間なのだけれど、その立体化、3Dの図面を、中村一平(仮名)は、何も道具を使って描き出さなくても、すぐにでもロールプレイできるほどの知識や年齢は兼ね備えていた。というか、いきなり、なところまで、話は飛躍するのが、妄想の楽しいところでもあるのだけれど…。
中村一平(仮名)の場合は、その計画の第一歩が、それまで住んでいた寮を出て、アパートなりマンションなりを借りることから始まった。それも、ごく普通のこと、というか、多くの男性がその正しいマニュアル通りに行動する、と思う。本屋に行けば、インテリアの本やらそのまんな「男の部屋」なんて雑誌もあるくらいなのだから。
中村一平(仮名)も、それらの本を何冊か買って読んでいった。なによりも重要なことは「正しさ」ということなのだから。システム自体にバグがあっても、デフォルトで不具合があっても、それは許されるのだけれど、間違った操作でのシステムクラッシュは、人としての存在価値までも喪失してしまう、という思想が流行している、というのが、30代あたりの人たちのようでもある、と思う。
不動産屋に行く前に、ネットで住んでいる町のマンション事情を一通り調べた。それも正しい消費行動としてマニュアル化していることだから。
もう借りるという状況に至っては、ブラウザ上の間取りや写真を見るというところまでに至っては、中村一平(仮名)にはもう妄想という段階から、いつものような快感的視覚エフェクトになって、そこ(画面なのだけれど)に実像として妄想が重なり合っていた。そこに在るのだ。
中村一平(仮名)は妄想する。
その時にはすでにアパートを借りて、彼女がいる、という状況までも作り上げているのだけれど、そのような状況が意図も簡単に中村一平(仮名)の頭の中には浮かんできていた。
(つづく)
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そうですねえ。ま、でも、中村一平の場合は、準備だけはしっかしりている、というか、もうその世界の住人だったりで。
そういう人が多いようにも思うし、料理も作らないのに、立派なキッチンは必要ないだろう、なんて考えると、きっと、そういうことなのかなあ、なんて考えたのですよ。
ま、逆に、備えあれば憂いなし、とも言うし…。
リアルのオンナが居ないとでも、どうしようもないですけどね。