雨の日に


雨の日に生まれた子供は泣き虫になる
いつも母さんが言っていた
ボクが生まれた日は朝から雨が降っていた
かあさんのおまんこからやっとこさ抜け出して
かあさんの顔を見たら哀しそうだった
あたりはなにやら賑やかで
みんなはなにやら嬉しそうで
ボクの顔をのぞき込んでいた
ボクは泣いていてかあさんは哀しい顔していた
窓の外は雨
その雨音を聞いていた
少し前までは雨の中にいた
かあさんの中にいた
雨の日は好きだった
家にいることが出来たから
かあさんも家にいて
あの時のようにふたりで雨音を聞いているのが好きだった
羊水や胎盤や血液や体液やらの記憶が蘇るようでもあった
ボクがまだかあさんの中にいるときの記憶
それが言葉によって辿ることができるようになってからは
ボクは雨の日には決まって
あの日のことを思い出していた
大人になるとかあさんのほうが泣き虫になる
雨の日のことを思い出す
ボクがいたころのことを思い出す
もう戻れない場所やら
もう感じることのない痛みやら
もうひつつになれない哀しみやら
そんなことがかあさんの涙にかわる
かあさんの記憶は感覚によって辿ることができる
そんな記憶が雨の風景と重なって泣き虫になる
雨の日には決まって泣くようになる
雨に日に生まれた子供は泣き虫になる
雨の日に子を産んだかあさんも泣き虫になる

4件のコメント

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    MUKUさん、こんにちは。
    えっと、ありがとうございます。
    どうなんですかねえ。
    実は、まだ続くのですけれど…。
    この写真の日は朝から雨で、ま、その想い出とともにってことで……。

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    失礼ながら、名文ではないでしょうか?
    僕もいつの頃からか、雨の日が好きになりました。
    特に休日の…

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    新海さん、こんばんは。
    新海さんって、けっこう有名な新海さんだよね?

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    新海和明です…。
    陰部がやばいです。

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