製造業14万人はどこに行った

有効求人倍率が2倍近くあった愛知県でさえ直近1月から3月で1倍を割り込み0.74倍という状況で、それが改善されるとも思えないような経済状況です。完全失業率も3.9%、全国平均の4.6%より低いといっても高い数字には違いないでしょう。そして低いのですが、伸び率は高く、昨年の7月~9月、10月~12月における2.8%、2.9%から1%も上昇していて(全国平均だと0.6%)、そういった危機感からコスト削減を強化するといった企業も増えてきて、さらに雇用が悪化してゆくのだろうと思っています
完全失業率の若年層での増加が顕著で15~24歳が7.9%と高いものになっている(25~34歳が4.6%ですから突出していると言えます)というのも不幸なことで、失業が長期かすればニートという人たちも増えてくるだろうし、非婚率が高くなり少子化が進む、という悪循環になりますから、ただならぬ事態なのですが、いまいちそれが伝わってこないのは、新型インフルエンザも同じで…。そんな税収入も激減するなか、河村名古屋市長は減税案を出していますが、効果があるのだろうかと疑問に思っています。
「毎月勤労統計調査」では事業所規模5人以上で毎月決まって支給する給与が5.6%、所定外労働時間が43.2%、事業所規模30人以上で8.0%、46.4%と減少しているという結果が出ている状況でもありますから、ワークシェアリングどころの話ではなくて、さらに悪化する可能性のほうが高く、雇用回復もかなり複雑になってくるのだろうし、ましてこの金融危機以前に言われていた派遣労働問題や非正規雇用者の正規化なんてことも、さらに最低賃金時給1000円なんて議論されていたことも忘れられて、改善どころか景気対策の前に沈黙/黙殺されてしまうのだろうかと思っています。
「貸し渋り」と似たような「雇い渋り」なんてこともおきて、企業も設備投資や雇用に消極的になるでしょうし、労働者の需要として偽装、日雇い、手配師なんてことが、黙認されるのかもしれないと考えています。グレーゾーンは必ずありますからね。(売春のように)
そのような状況の愛知県において、製造業の就業者数が前年同期に比べ、14万6千人(△12.6%)減少しました。製造業の就業者数が101万人ですから14%もの人が減ったというわけです。正規社員のリストラがほとんどない状態ですから、いかに非正規社員が多かったかということですが、それよりもその14万人はいったいどこに行ったのでしょうか。

前年同期に比べ、建設業は1万8千人(6.0%)、運輸、郵便業は1万4千人(7.5%)、卸売、小売業は6千人(1.1%)、宿泊、飲食サービス業は1万9千人(9.7%)、医療、福祉は1万8千人(6.3%)、サービス業(他に分類されないもの)は6千人(2.1%)それぞれ増加しましたが、製造業は14万6千人(△12.6%)、情報通信業は2千人(△2.8%)それぞれ減少しました。

他業種に雇用増加が見られるといっても合わせても8万人です。残りの7万人はそのまま失業者となってハローワークに通っているのでしょう。愛知県全体の完全失業者が15万2千人、それとほぼ同じだけの労働者が製造業からいなくなったということ、それがそのまま失業率高さ、求人倍率の低さに繋がっているのは、ここで言うまでもないのですが、あらためて数字を見ると、愛知の景気もトヨタ頼みなのだなあ、なんて神様仏様トヨタ様、そしてプリウス様になるのかなあ、なんて考えています。
新型プリウスもですが、新型インフルエンザも景気に影響を与えるでしょうね。そういうと、それをビジネスチャンスなんて人も出てきて、インフル詐欺なんてのも出てくるのでしょうね。そこまでならなくても、派遣でも偽装請負でもなんでもいいから職をくれ/職があるぞ、ということにでもなれば、また労使共々モラルハザードが起こるのだろうと考えています。犯罪の凶暴化、あるいは多様化ということにも繋がるのですが…。多様化することは良いことなのだろうか、なんてテーマで考えていたりします。
そうそう、裁判員制度を雇用対策にしてくれ、なんて昨日考えていました。ハロワに「裁判員募集、日給12000円」なんて出ないかなあ、なんて。代理人が可能になればそれもあるでしょうし。失業者対策にどうでしょうか?裁判員プロなんてちょっとカッコいいし、偽装だって派遣だってなんだってありなんだから、裁判員にも良いのではないかと思ったり。もう考えているか、派遣会社なんてのが…。派遣裁判員、これまたちょっとカッコいいかも。
唇から胸元の写真
データはあいちの統計 | 愛知県を元にしています。

8件のコメント

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    ゆかさん、こんにちは。
    この先、ほんとうにどうなるんでしょうね。それは自動車メーカーだけではなくて、この国にも言えることなのですが。

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    こんにちは。
    検索エンジンから来ました。
    私の友達も自動車部品製造会社で派遣社員として働いています。
    仕事は毎日有るようです。でもいつも「この先どうなるんだろう」と心配しています。

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    プラドフルモデルチェンジマダー(´Д`)

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    Kさん、こんにちは。
    そうですね。そこが在庫調整が終わったから、増える、ということをほとんどの人が言ってますね。
    それは相対的に増えるということで、受注が増えるのとは違うのですけれどね。やっと生産在庫というバランスが取れただけで。
    その「大きなランクルは」の大きさと顕著さの関係は分かりませんが。在庫スパースで生産するわけではないでしょうし。

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    自動車関連産業の場合、3月、4月までは在庫調整のため生産量を大幅に減らしました。5月以降は増える傾向にあります。
    モデル末期のプラドでさえ増えています。大きなランクルは顕著です。

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    葛田さん、こんばんは。
    自動車を初めとする製造業での減少が愛知の雇用にそのまま現れていますよね。他の業種では伸びているのですから。
    年度末にかけては、例の臨時採用での失業者も増えましたしね。派遣切りのときは「臨時になぜ応募しないんだ」なんて言っていましたが、結局はあすこで1ヶ月2ヶ月の臨時職員になったところで、失業者を一気に出すってことが分かっていましたからね。
    4月~6月度は少し良くなるのかもしれませんね。日銀名古屋支店の予想も良くなるようなことを言ってるようですし。
    そうですね、市長の給料なんてものよりも、その何倍もの議員年金に手を付けてほしいもんですね。

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    プリウス 価格

    製造業14万人はどこに行った | トヨタ期間従業員に行こう
    … こと、それがそのまま失業率高さ、求人倍率の低さに繋がっているのは、ここで言うまでもないのですが、あらためて数字を見ると、愛知の景気もトヨタ頼みなのだなあ、なんて神様仏様トヨタ様、そしてプリ

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    たびたびお邪魔させていただいております。おっしゃるように、連日、雇用情勢が深刻で、最悪水準であることを伝えています。有効求人倍率も、県内の平均が0.74、しかし、三河地域となると、もっと下がり、だいたい0.39ぐらいと出てましたね。もともと雇用の流動が少ないだけでなく、製造業の契約・派遣などを辞める人ばかりに皺寄せされているのが目立ちます。しかも、同業種はだいたい波を被っていて、再就職となるとさらに困難で長期化し、手持の資金が底をついてしまうケースも少なくないといいます。その一方で、税金で飯食っているせいかウハウハな人たちも・・・窓口に行ってみたら分かりますよ。失業した納税者はたくさんいます。かれらでさえ、街に嫌気が差すといいますか、失望しかねません。名古屋の河村さん曰く、ワシは年収800万でいいと公言していますが、一方で、議員年金のことを、庶民は知らないはずがないですから。かれは、このラインの所得階層(はむしろ公務員に代表されるものであり)を底辺のように受けとっているところがあります。少なくとも、路頭に追いやられた人たちを放っておくようなことはしないだろうという期待の向きはありますが・・・。風頼みは当てにならない場合が多いです。それよりも、有効求人倍率にあらわれている違いのほうが大きいと思います。

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