ほらね、「愛知県内で犯罪が凶暴化し多発化するたったひとつの理由」で書いた通りになっただろ。ひとつ訂正させてもらえば、「凶暴化し変態化する」ということ。
「自殺の地域特性で考えたこと」で書いたように、被雇用者での自殺件数は豊田警察署管内が一番多くて、20代から50代までで年間100人近くが自殺すると言う異常な地域です。「絶望工場」や「非正規製造工場」などと揶揄されますが、「ストレス製造工場」でもあるのでしょう。
そしてそのストレスから自らの命を絶つこともあるでしょうし、他人に対しての犯罪に走ることもあるのでしょう。時には信じられない行動もする。例えば数キロ単位のマリファナを栽培する人が出たり、今回のように下半身を露出する管理職がいたり、少女買春あたりまえなんてことをする。それが狭い地域でそして対人口比において高比率で起こっている。「自殺の地域特性」だけではなくて「犯罪の地域特性」も異常な地域なのです。
ストレスのはけ口が居なくなったのですから、今後益々そういった特異さは際立つのだろうと思っています。いえ、原因は前回書いた理由だけではないのは分かっています。経済状況の悪化ということに関連付けるのも、簡単にできるし、そうしたいのでしょう。いろいろなことを含めて、なにか分からない空気がトヨタの街を覆っている、と、ボクは思っています。
「祟り」とか「呪い」だとかいうような。期間工の呪い、派遣切りの祟り、下請け叩きの怨念…。そういうオカルティックなことを信じる人は少ないのでしょうが、ボクは、なにかそういうものがあの街の上空に蠢いているように感じていました。例えば田中和風寮のあの黴臭さのような…。
これからは、犯罪も格差と同じように二極化するでしょう。貧乏人の犯罪は短絡化し凶暴化する、富裕層の犯罪は変態化する。

asahi.com（朝日新聞社）：餓死するより…強盗増加　リーマン・ショック後高止まり – 関西ニュース一般
昨年９月のリーマン・ショックに端を発した金融危機の後、増加に転じた。「経済状況の悪化で、わずかな金でも奪おうとする短絡的な犯行が目立つ」と専門家は指摘する。

コンビニ強盗はハイリスクでローリターン、よくて20万円、ほとんどが3万円までです。そんな割の合わない犯行をすることに対して多くの人は疑問を感じるのでしょう。たかが3万円ですから。
ところが、人は空腹になると正常な思考が出来なくなります。幻覚を見る場合もあるでしょう。神が降臨する場合もあるでしょう。「包丁をレジに突き出せば、金をもらえる」というお告げがあるのかもしれません。
貧困は精神的な欠乏を生じます。空腹は食べれば満たされますが、貧困は癒されることがありません。最初は「気持ちがささくれる」なんて優しい表現で自分の状態を客観的に観察できているのですが、貧困が長引くとそういった「ささくれる」という他人に対しての嫉妬や恨みを否定できなくなる。そうなると精神的に病んでいるという状態になります。栄養不足、例えばビタミン欠乏症などが原因としての精神疾患ということもあるのでしょうから、食料の貧困が精神の貧困を加速させます。
そして考えられないようなことをする。
気持ちも、満たされなければ、考えられないことをするのでしょう。それが内に向かうか外に向かうかという差だけなのです。そして自殺も犯罪も多い地域には、心もお腹も満たされることがない何か理由があるのです。それを解決するために非人・派遣人システムを構築し、ストレスの吐け口として大量に製造したのですが、数万人規模でいなくなった現状においては、犯罪が凶暴化し多様化し、そして多発化するのは、必然なことなのです。それは前回書いた通りです。
凶暴化し変態化した犯罪の犯人、そして自殺する人のほとんどは男性でした。ところが今後は、ストレスが家庭に向かいます。残業も少なくなり、田原工場のように連続2直制が常昼だけになったときに、今まで隔週で旦那のいない夜を過ごしていた奥様たちのストレスがどんどん膨らんでくる。
そうストレスという病が内部で発酵しはじめているのです。生活の変化は大きなストレスとして人々の上に圧し掛かります。これ以上のことは書きませんが、今からが本番、なのだろうと思っています。