遠鉄 名鉄を買収
タクシー業界はややこしい。先日も「豊鉄タクシーの謎」なんてエントリーを書いたのだけれど、今回、名古屋鉄道グループの浜松名鉄交通が遠州鉄道に合併されたのだから、遠鉄名鉄タクシーなんて鉄鉄した名称になるのだろうかと思ったり…。
名鉄タクシーの従業員342人と、187台の車両はすべて引き継ぐ。社名を変更し6月30日から遠鉄ブランドで営業を始めるが、当面は遠鉄タクシーとは合併させない方針。
やっぱり遠鉄名鉄タクシーがあるかも?
名鉄グループからの離脱ということは、これまで名鉄のタクシーチケットで浜松市や湖西市から豊橋市内に来ていたお客様がいなくなるということで、豊橋市内での「豊鉄指名」が減少するのだろうと思う。遠タクのチケットは「ナイスタクシーワイドネットワークに加入していますので県内外の出張先においても、この加盟タクシー会社であれば当社タクシーチケットでご利用いただけます」ということなので、豊橋市内だとヨシダ交通がそのネットワーク加盟店、「豊鉄指名」が「ヨシダ指名」に替わる。ということは、今回の合併、ヨシダ交通にとっては吉報、豊鉄タクシーにとっては凶報ということになるのだろう。
静岡県タクシー協会によると、浜松市内の09年度のタクシー利用者は直近のピークだった06年度に比べ2割減の約640万人。データの残る1992年度以降で最低だ。
なにも浜松市内に限ったことではなくて、きっとどの地域も史上最悪の利用者数、売上額ではないのだろうか。ピーク時の2割減というのはまだ良いほうなのかもしれない。客数よりも売上額の減少幅のほうが大きいと思っている。(根拠となるデータがないのでなんとも言えないけれど、運転手の売上は2割減どころではない、なんて話だし)
パイが拡大傾向にあるときは、客数、客単価、稼働率、なんて売上三原則に比例して売上も拡大したのだろうけれど、今は稼働率(営業時間・運転手の拘束時間)だけしか上げられないので、売上前年比マイナスなんて人が多数という状況なのだ。運転手はマイナスなのだけれど、企業としてなんとか前年比割れを防いでいられるのは、出店数を増やし売上を拡大するコンビニ戦略と同じで、運転手を増やすということを、一昨年のリーマンショック以来やっているようにも感じる。
各店舗(運転手)は青息吐息、倒産間近なのだ。ボクが知っている全ての運転手が前年度割れしている。それでも経営努力をしてなんとか倒産を免れている。タクシードライバーが贅沢をしているなんて話を聞いたことがない。自家用車を見てもらえば分かるだろうけれど、軽四所有率が高くて、驚くほど使用年数が長い人が多い。タクシーと同じように自家用車を20万キロ30万キロ乗ろうとしているのかもしれないけれど。(自家用車で30万キロ乗ろうとすると、たぶん10年では足りないと思う)
そんな経営不振のタクシー業界はこれからも合併による業界再編が起こるかもしれない。豊橋だと東海豊鉄交通なんてあるかもしれないし、ヨシダキングタクシーなんてあるかもしれない。三菱東京UFJ銀行のように、東海豊鉄YKタクシーなんてことがあるかもしれない。(「YK」はヨシダキングタクシー)
利用者数は今後、人口の減少に反比例して一時的に増加するだろう。それは高齢化により自家用車を乗れない人たち(免許証を返納する人たち)の増加に比例するのだけれど、そしてそれは団塊の世代の人たちなんだけれど、その人たちが利用しなくなる頃、人口減少の影響がもろに直撃する。
20年後、タクシー利用者なんて今の半分になっているかもしれない。そうなった時に、いったいどれほどのタクシー会社が生存しているのだろうか。これまで増車、人手不足の業界であったのだけれど、今後は一気にタクシー業界の氷河期がやってくる。
ま、それでも、運転手も高齢化が進んでいるので、今後雇用を調整すれば、というか、20年後なんて今の運転手のほとんどは年金生活者だろうし、そのまた半分ぐらいは生きているかどうか…。というか、この国があるかどうかも不安なんだけれど…。まさか中国に合併されていなければ良いけれど…。ね?
遠鉄、名鉄タクシーを買収 需要減、営業圏拡大で補う :日本経済新聞
雨、ヨシダタクシー