鳩山首相辞任で分かったこと

民主党が政権をとればすぐにでも明るい日本がやってくると思っていたのだろうか。そして鳩山首相が辞任すればバラ色の未来が約束されるのだろうか。

Twitter / Yukihiro Matsumoto: 公約を守ろうとすると考えが浅いと言い、守れないと公約 …
公約を守ろうとすると考えが浅いと言い、守れないと公約違反と言い、辞めないと批判し、辞めようとすると投げ出すのかと言う。こんな民衆のために政治家になる人は今後ほとんど出ないだろうな。

キレやすいのは若者だけではなくて、鳩山首相の言った「国民」すべてなのだろう。「聞く耳」についていろいろ議論されているのだけれど、キレた人が聞く耳なんて持つはずがない。モンスター化した国民とも言える。
普天間問題が直接の原因だとしても、「最低でも県外」と言ったその真意は「米軍なんていらないんだよ」ということであるだろうし、脱軍事属国、主権国家を目指したということで、本当は、国民やマスコミが首相の意見と同調して反米運動を行い、「出て行けアメリカ」なんてことになるシナリオがあったのかもしれない。
それほど去年の選挙では圧倒的な勝利だった。鳩山首相もその支持率も高さによって、シナリオが実行されると思ったとしても不思議ではないと思う。
ところがその国民は自分たちが選んだリーダーの意見に従うどころか、聞く耳さえもたなかったのである。
「アメリカに逆らったら大変な目にあうよ」ということを、ボクたちはトヨタ、レクサスのリコールあたりから考え始めた。最高のタイミングでアメリカは日本国民に経済でも属国であることを宣告した。敗戦国の卑屈さ、軍事属国の哀しさ、経済のトップが米議会の公聴会で涙を流すことになった。多くの人が、あの東京裁判を想起した。
アメリカなくして日本なし…。
基地問題の本質、なぜ米軍がこの国にあるのか、なんてことは置き去りにされて、その場所だけが論点になってしまった。そしてその場所を変えられなかったことに対して一国の首相が「公約を守ろうとすると考えが浅いと言い、守れないと公約違反と言い、辞めないと批判し、辞めようとすると投げ出すのか」と言われてしまう。
ボクたちが本当に基地問題に対して意見があり、そしてそれがこの国にとって深重な問題だと認識しているのなら、行動を起こすべきではないのかと思う。鳩山首相ひとりに丸投げして、高みの見物をしてる状態なのだ。
「公約を守ろうとすると考えが浅いと言い、守れないと公約違反と言い、辞めないと批判し、辞めようとすると投げ出すのかと言う」のだけれど、ほとんどの人は基地問題も口蹄疫も事業仕分けも、それほど関心が無くて、いかに自分に利益があるかということだけが政治との接点なのだ。
いや他人のことを考える余裕さえない。考える余裕がないものだから、そのまま鵜呑みにしてしまう。そういう意味では「反米キャンペーン」も出来なかったテレビにも責任はあると思うのだけれど。

首相辞任について (内田樹の研究室)
政治史が教えるように、アメリカの政略に抵抗する政治家は日本では長期政権を保つことができない。
日中共同声明によってアメリカの「頭越し」に東アジア外交構想を展開した田中角栄に対するアメリカの徹底的な攻撃はまだ私たちの記憶に新しい。
中曽根康弘・小泉純一郎という際立って「親米的」な政治家が例外的な長期政権を保ったことと対比的である。

ということだと思う。きっと。
六条潟大橋の夕暮れ
六条潟大橋、夕暮れ

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