ドライバーの休日

「もう夜かあ」
休日の口癖。一日中ひきこもり。少しだけ本を読んで、あとは頭も身体も使わないエコ運転。エコ運転なのだけれど腹は減る。消費カロリーと摂取カロリーがアンバランスなものだから少し体重が増えている。正月太りなんてものがあるけれど、ボクの場合は休日太りする。その増加分を次の休日までに減らす、そして休日に戻す、なんて非効率なことをしている。
ひきこもっているもんだから気分が滅してしまう。陰鬱になる。
「どうしてここにいるんだろう」なんてことばかり考えてしまう。故郷に帰ってタクシー運転手をするほうが楽じゃないかと思ったりする。地理だけではなくて歴史とか言葉とかここ豊橋よりは分かるだろうし。あるいは東京でやったほうが良いのではないかと思ったりもする。豊橋だろうが東京だろうか、あるいはニューヨークだろうがボクにとっては「知らない街」ということでほぼ同じ条件なのだし。
いや「知らない」ということが許されるのは小さな街より東京なんて大きな街だろうし、出稼ぎドライバーが多いのもそんな大きな街なんだし。
これまでよく何のトラブルもなくやってこれたと思う。というかなんだか疲れてしまった。張りつめた気持ちがこれまでボクを支えてくれたのだと思う。だけれどその緊張感は奈落の疲労感とセットになっていて、こうしている休日は抜け殻のようになってしまっている。
仕事が楽しいわけがない。毎日、毎回、緊張の連続なのだ。毎日、毎回、抜打ちテストみたいなものなのだ。「さて問題です。新栄のセレニテまで最短距離で行ってください」なんて問いに答え続けなければならない、それはかなりハードなことだと思う。経験が軽減させるとはいっても、未知の場所が多すぎる。
酔っ払いに絡まれて、若者に「運ちゃん」呼ばわりされ、毎月300時間ほど働いて、そして手取りで十数万円なんて仕事が楽しいわけがない。それぐらいの収入ならば、ほかに楽して得られる仕事があるのではないかと思う。
いやそれぐらいのために、人としての尊厳まで傷つけられるのならば、ホームレスとして生きたほうがよっぽど人間らしいのではないかと思ったりもするのだ。鳴く腹の虫のためだけにボクは生きていて、そして休日はひきこもって鬱々とした時間をノイローゼ患者のように過ごしているのだ。それが幸せということなのだろうか、そしてそれが人生というものなのだろうか…。
豊川稲荷

3件のコメント

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    じゃあ東京でやりませんか?

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    僕の場合は休日が結構長く感じられます。 
    休日でも朝早く(朝7:30)起きると1日が長く感じられます。 
    春から秋にかけては、晴れてれば公園のベンチでテキストを読んだり問題集を解いたり。 
    休日の公園には幸せそうな家族連れが多くて自己嫌悪に陥りますがね。 
    何かいいことがあると信じて生きていきましょう。

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    休日にもう夜かぁ…って思う気持ちよく分かります。仕事してると1日があんなに長いのに、何で休日は1日があんなに短いのか?きっと誰もが思ったことありますよね。
    私は長年分からなかったこの謎が最近簡単に解けました!
    それは、私の場合、単に休日は昼まで寝ているからでした…。くだらなくてごめんなさい。
    タクシー運転手って、本当に大変な仕事なんですね。勤務時間を聞いただけでも、びっくりしました。毎回緊張の連続なのですね。だけど、私が乗るタクシーの運転手さんはみなさん涼しい顔をしています。でもきっとその裏にはたくさんの苦労があるんですね。
    私も仕事は嫌なことの方が多いです。それを我慢して、時々ある楽しいことを待ち望み、それが過ぎるとまた毎日の仕事が始まる。
    日々淡々と過ごして、激しい感情もだんだんなくなっていきます。そんなことを繰り返して進んでいけばいいのでしょうか…。結局何を目指しているんだろうと分からなくなります。
    豊橋に行くときは、連絡します。田原笠山さんのタクシーに乗って、お話できる日がいつか来ることを楽しみにしています。

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