別府大分マラソン

休日、別府大分マラソンを見ている。

マラソンが好きというわけではなくて、懐かしい風景、そして想い出なんてものが溢れている。ああ、もうすぐ観光港で、いつも行ったきりん亭なんてのが映らないものかと目を凝らす。

別大国道もボクが住んでいた頃なんかよりもずいぶんと変わってしまっている。でも、背景に見える高崎山は相変わらず別府湾の中へ遠慮しがちに、その綺麗な足を、差し込んでいる。

1986年。ずいぶんとむかし。それでもボクの中ではかなり鮮明にあの頃の風景とか想い出が存在していて、Sさんとのもうどうしようもない恋愛に引きずられて、彼女の着ていたスカートの色なんてのもまでまだハッキリと想い出せるほど、ボクにとってはそれは圧倒的な時間なのだ。

別府の思い出…

国道10号線を富士見通りで左折する、坂を登りアパートの前で車は停まった。Sさんは「ありがとう」と言った。ボクは、あの時何を言ったのだろうか思い出せないでいる。何も言わなかったのかもしれない。ボクはドアを閉めて、Sさんがアパートの交差点を右折するのを見送った。きりん亭の前だった。相変わらずおじさんは麺打ち機を廻していた。

なんてボクがノートに書きつけている場所が、今テレビの中にあって、まるで愛おしい人の遺影をみるようで、ボクを切なくさせる。

ああ、また別府に住んでみたいなあ、なんて思っている。どんなに貧しくてもいいから、あの頃のように明日のことを考えられるような毎日、たとえそれがなにひとつ根拠のないものであってもボクの中に何か熱い気持ちみたいなものがある毎日を過ごしてみたいなあ、なんて思っている。

いや、何もなくても、いまのような煩わしい日々を送るのではなくて、明日というものに担保をかけられるような日々を過ごしてみたいなあ、なんて思う。

いや、もうホームレスでもいいから、この画面に映っている街に移り住みたいなあ、なんて思っている。

あれから、ボクはいったい何をしてきたのだろうか。

もう街はずいぶんと変わってしまっているのに…。あの頃のスタートラインよりはずっと後方のところにいて、そしてまたあの頃のような日々に憬れている。出会った人びとはもう違うところへ行ってしまっていて、ボクはこの街(テレビに映っている)を出てからは、旅人の日々を過ごしている。

在りし日のビーチ 横枕義郎作 別府大分マラソンのある風景
その頃、ボクたちが見ていた高崎山下。そして海たまごあたりのビーチ。ああ、あの道路脇のパーム椰子はまだ在るのだろうか。別府大分マラソンに映し出される風景を見ながら、そんなことを考えている。

別府大分毎日マラソン別府大分毎日マラソンの日だった。今年のレースはずいぶんと白熱したね。ボクは中本選手を応援していたのだけれど…。 でも、そんなレースのことよりも、懐かしい風景やそれに連なる想い…
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別府大分毎日マラソン

別府大分毎日マラソン大会

2件のコメント

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    そうですねえ、小さい市営温泉なんてところを毎日めぐりながらの湯治の日々なんてのをやってみたいですね。

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    こんにちは。 私も懐しく思いながら見てました。 地獄めぐりは どこに居ても毎日が地獄ですから ゆったり温泉に入りたいなぁ~ (笑)

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