東京なう

旅に出た。ふらりと出た。行くあてなどない。目的なんてものもない。もちろん連れもなく、たいした荷物も持たず、ひとり列車に乗った。
#ほんとうは目的があるのだけれど…。
東京、1995年、あの地下鉄サリン事件の起きた春以来、18年ぶりの東京。普通電車を乗り継いで、スルリとやってきたもんだから、人も風景もドラマティックな変化でボクの目の前に現れたのではなくて、グラデーションのように気が付けば、東京だった。というか、電車の中からだと、その巨大さや喧騒なんてものが伝わってこないということかもしれないのだけれど、あの頃ボクが感じた、例えば中学生の時の興奮みたいなものは、ほとんどない。
渋谷、赤い靴。
砂漠のダウジング。
飢えという希望。
オアシスの平穏。
欲望という自由。
東京の赤い靴
とまるべき道にかぎりなく、立べき朝に時なし。只一日のねがひ、二つのみ。こよひ能宿からん、草鞋のわが足によろしきを求んと斗は、いさゝかのおもひなり。芭蕉「笈の小文」

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