有給休暇の買取について

有給休暇(年次有給休暇)とは「一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことで、「有給」で休むことができる、すなわち取得しても賃金が減額されない休暇のこと」です。
休んでも賃金が出るのだから、有給を取得しないと損になります。逸失利益なんて言うそうですが、厚労省の調査では平成23年の調査では(調査対象数6145、有効回答数4296、有効回答率69.9%)取得率が48.1%になっていて、労働者全体での損失は莫大な金額になっていると思います。
年休を取得することが悪いことという風潮も一部にはあって「取りにくい」というのがその取得率の低さの原因だろうと思います。それと人手不足のため毎日サービス残業で休日も取れない企業も多くて、業務に影響が出るという理由もそれに次ぐ理由なのだろうと思います。サビ残での労働者の損失も莫大な金額になると思います。
労働者の遺失損益だけではなくて、その莫大な金額を新規労働者の雇用にまわすというワークシェアリングを行えばこの国の雇用問題は少しは改善されるはずだと思うと、年休やサービス残業の問題は国家の問題、国の損失になっています。
厚労省の調査では取得率48.1%なんて「まあまあ」な結果になっているのですが、連合の正社員調査では「全く取っていない」が約23%、「10%(2日程度)消化した」が約24%(週刊ポスト11月1日号のデータより抜粋)なんて、半数近くの労働者がほとんど取っていない状況なのです。
恐らく企業の規模が小さくなるにしたがって取得率も低くなっているのでしょうし、中小企業の多いこの国の状況においては完全取得なんてことは夢のまた夢なのだろうと思います。
タクシー業界ではどうかというと、例えばボクの場合は連合の調査並みの取得状況になっていますし、周りの人たちのことを見ても「30%」なんて数字ではないかと思います。産業別に最も低い宿泊業・飲食サービス業の32.5%よりも更に低いように感じます。
歩合制のタクシー業界では、年休取得による収入の減少ということもありますので、「取りにくい」「取れない」という理由よりも、「収入が減るから」という理由により取得を敬遠することが多いのがその理由だと考えています。企業規模が小さくなればなるほど、あるいは組合の力が小さくなればなるほど、取得率が低くなるのは他の企業と同じで、タクシー業界も中小が多いのでさらにその率も低下するのだろうと思います。
どうせ取れないのならば、それにこれほど低い取得率ならば「有給買い取り」を復活してもらえば良いのではないでしょうか。週刊ポストの11月1日の記事に「有給買い取りで月1万5000円増」なんて所得増大案が掲載されていました。
年休の買い上げは1955年の労働基準局長通達で禁止されたそうです。労働強化につながり、労働基準法違反に当たるというのが理由だそうですが、どうも企業からの圧力によって通達が出されたのではないかと勘繰ってしまいます。年休を取れないことがさらなる労働強化になっているということならば、取得を義務付けることも必要でしょうし、それができないのならば買い上げるように通達を撤回するべきだと思います。
以下週刊ポストの記事です。

そこで、この際、長く賃下げに苦しめられているサラリーマンの実情にあわせて有休買い取りを解禁し、これを基本給(大卒45歳で日当換算約1万8500円)という正当な対価で買い取らせるようにすれば、サラリーマンは有休休暇を捨てさせられて泣き寝入りしなくて済み、有休未消化が年間10日あれば18万5000円(月額約1万5400円)、有給休暇を1日も取っていない人は37万円(月額約3万800円)もの収入アップになる。

有給休暇買い取り解禁すれば取得日ゼロの人は年収37万円増も (NEWS ポストセブン) – Yahoo!ニュース
基本給、収入の低いタクシー業界にあっては、この記事のような金額のアップにはならないにしても、月5000円でも10000円でも収入が上がれば生活に余裕も出来てくると思いますし、その分逆に休息時間も増えてきて、事故のリスクも軽減できると思うのです。
収入が少ないから長時間勤務になる、長時間勤務が事故リスクを上げる、という悪循環の業界ですから、営業収入以外での増収が見込まれれば安全を担保できるのですから。
それが出来ないのならば現在でも認められている「時効消滅分」の有給休暇を買い取ってもらいたいと思っています。毎年毎年消滅する年休があるのだから、そこはキチンと権利として使えるような仕組みを考えてくれないと、労働者は、特に弱い立場の労働者は泣き寝入りばかししているのですから。もちろん年休完全消化と雇用の拡大こそが国家としてやらなければならないことなのは、上に書いた通りなのですが。
結果の概要|平成23年就労条件総合調査結果の概況|厚生労働省
年次有給休暇の制度について

年次有給休暇が付与される要件は2つあります。(1)雇い入れの日から6か月経過していること、(2)その期間の全労働日の8割以上出勤したこと、の2つです。この要件を満たした労働者は、10労働日の年次有給休暇が付与されます。また、最初に年次有給休暇が付与された日から1年を経過した日に、(2)と同様要件(最初の年次有給休暇が付与されてから1年間の全労働日の8割以上出したこと)を満たせば、11労働日の年次有給休暇が付与されます。その後様に要件を満たすことにより、次の表1に示す日数が付与されます。

年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。|厚生労働省

2件のコメント

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    埼玉のたまちゃん、こんばんは。
    パートに有給が付くってことを知らない人も多いようで、それは本人の無知というよりも、知らせない会社やその組合が悪いってことのように思います。
    まあ、それでも期間従業員で半年経ったからすぎにくれなんて言えないですが。言う人もいるだろうけれど。
    年休取って旅行でも行きたいなあ。

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    こんにちは。2005年7月から約1年4ヶ月間、花王のセンターで「ビーズ」のダンボールを数千個トラックに積むのバイト(時給千円)をしました。有給ありました。社員に次回有給で休むと言ったら、4500円ぐらいついたような・・・。
    2005年7月から花王でバイト。9月から1日おきのタクシー正社員でした。花王バイトはタクシーの正社員決まったと言っても「1日おきに来れるのならば来て」と言われて続けました。
    一生で一番がんばった時期です(笑)
    そのあと、別の自分の仕事が成功し、自分の仕事で余裕で生活できたが、今不調です(笑)
    世の中自分の思う通りには行きません(笑)
    タクシー時代はリーマンの直前で辞め(偶然です)て、1ヶ月50万円売上で、半分バック。手取り21万円ぐらい。

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