須の川、アヒルの宿(27日目の3)

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トンネルを抜けると…夕陽は豊後水道にすっかり沈んでしまっていた。残光は雲を照らす、というかその雲の中に逃げ込んでいてそこで燃えているような風景だった。秋の夕暮れは朱が強く滲む。それも湿度が高い日には特に色を深くする。

愛南町 須ノ川公園にて 十六夜の月が向こうの山から出た
(そして夕日は燃え、十六夜の月が生まれた 須ノ川公園にて)

17時、須の川着、そのままゆらり内海へ向かう。入湯料400円、シャンプー、ボディーソープ付き、そして塩風呂だった。塩風呂は身体を引締めるように感じた。4日前に津呂の善根宿で入って以来の風呂。湯船に浸かっていると眠くなる。30分ほどで切り上げてそのまま施設内のレストランへ行った。
ゆらりレストランのカウンターに座って「鯛のみぞれ揚げ定食」を注文した。「ビールもください」と言いそうになった。別にかまわないだろうけれど、四国にいる間は一滴も飲まなかった。禁酒していたということではなくて、飲まなくても良かった、あるいは飲めなかったのだけれど。野宿していると緊張を解くのが怖くなる。朝のようにムカデの這う気配で起きるぐらいがちょうどいいのかもしれない。

ゆらり内海を出たボクは、道路を挟んで向かい側に広がる須の川公園に向かった。ヘッドライトの灯りでねぐらを物色した。結局淡水池のそばにテントを張った。東屋に野宿とも考えたのだけれど、広すぎる小屋はなんだか怖さを感じていた。そのときはそう感じた。15デニールというとても薄い生地のテント(シェルターなんだけれど)でも、囲まれているということはそれだけで安心だった。

池のそばに白いものがいっぱい並んでいた。アヒルだった。そこはアヒルのねぐらでもあった。動物たちのねぐらということは、ボクにも安全だということだと思った。いや、彼らは有事には池に逃げ込むことが出来るから水辺ならどこでも安全なのかもしれない。ボクもその時は池に飛び込むか、なんて考えながら、マットに空気を入れ、寝袋を拡げ、そしてもぐり込んだ。そしてアヒルたちを見ていた。熟睡は出来ないけれど、すぐに眠りには入ることができた。何度も起こされたとしても。

ゆらり内海|四国・愛南町|お風呂のあるお食事処

テントの上に十六夜の月がある
(須ノ川公園にて 十六夜)

この日の行程:宿毛珊瑚センター(宿毛市野地)~須ノ川公園(南宇和郡愛南町須ノ川)

この日の札所:40番 観自在寺

この日の宿泊:須ノ川公園テント泊

この日の出費:3,417円(納経代、お賽銭別)

・フレッシュ
(小計 562円)

・スパー御荘店
パン 120円
カロリーメイト 208円
チーズ入りかまぼこ4本入り 108円
(小計 436円)

・Joyfull愛媛御荘店
ミックスグリルランチ 499円
ドリンクバー 200円
(小計 699円)

・ゆらり内海
入湯料 400円
鯛のみぞれ揚定食 830円
(小計 1,230円)

・自動販売機
缶コーヒー×2 240円
スポーツドリンク 100円
お茶 150円
(小計 490円)

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