タクシーバブル

タクシーバブルは起きているのでしょうか。

コロナ禍で大量離職した運転手は戻ってきません1。 しかし、利用者は増加し需要と供給の不均衡が起きています。

その不均衡、需給ギャップは問題化していますが、運転手にとっては「ありがたい」ことなのです。なぜならば、忙しいからです。そして、忙しいほど儲かっている、つまり、タクシーバブルが起きているのです。2

バブル期の売上


図1 1989年から2022年度までの東京特別区・武三地区タクシー輸送実績2001年度比3

東京のタクシー 2023年 東京ハイヤー・タクシー協会 タクシーバブル
図2 2022年度東京特別区・武三地区タクシー輸送実績 2001年度比
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バブル景気は、1986年(昭和61年)11月から1991年(平成3年)5月までと言われています。5

その後の1997年まで、タクシー事業の全運送収入と運転者収入はバブル期並みにありました。1995年、1996年、1997年がバブル後期からコロナ期までの33年間で営収の最も高い時期でした。

そのバブル期の実績はおおよそ、実車率で48%、日車営収(1日1台当たりの売上)で、57000円でした。(図3)

バブル期後半からのタクシー実車率、日車営収表 タクシーバブルは起きているのか

図3 バブル期から規制緩和までの東京都内タクシー運送実績2001年度比較表

タクシーバブルは起きています

バブル期のタクシー日車営収表
図4 バブル期後半から規制緩和までのタクシー運送実績2001年度比較表

その時期の日車営収は、2001年と比較して、1989年105.8%、最も高かったのは1995年の112.9%です。(図4)

 

東京地区 タクシー運送実績2003年から現在 規制緩和後
図5 規制緩和後からコロナ後までのタクシー運送実績2001年度比較表

 

規制緩和で台数が増えたのですが、東京都内での日車営収は緩和前10%減程度でした。それよりはリーマンショックでは20%もの下落率になりました。

リーマン後、コロナ禍、そして2022年には108.5%という高い数値となりました。それでも、実車率47.0%、日車営収55692円です。

 

東京地区タクシー運送実績 日車営収2022年度 タクシーバブル
図6 東京地区タクシーのコロナ後2022年度各月運送実績2001年度比較表
(全運送収入は2001年度1年分との比率です)

33年間で最も高い営収

運賃改定でタクシー運賃の値上げがあった2022年11月には113.7%、12月は128%です。実車率では48.0%、49.3%、日車営収が、58378円、65718円です。

これはタクシー史上最も高い日車営収になっています。平均60000万円を超えて65000円です。(例えば、12日出勤するとして、780000円、歩率60%として、468000円が賃金になります)

タクシーバブルが起きているのです。確かに、Twitter上にも支払額50万円という明細がアップされています。年収1000万円なんて人もいます。バブルです。というよりも、ピーキーな売上になっています。天井を突き抜けた、そんな感じです。

これまでは都会の話です

しかし、地方では、そこまでは、です。ちなみにボクの手取りは20万円行く行かないという金額です。コロナでもバブルでも、あまり変わらない、というのが地方のリアルなのです。

ということで、タクシーバブルは起きてるんです。理由はただ1点、実車率の爆上がりです。つまり、需給ギャップ拡大からのタクシー不足で忙しいからです。

参考資料、脚注

一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会「東京タクシー2023

国土交通省「令和4年度 交通の動向 令和5年度 交通施策

 

令和5年版交通政策白書 タクシーバブル
タクシーの輸送人員、運送収入、車両数、日車営収

  1. タクシー運転手 4年で2割減 コロナや高齢化による離職が背景に
  2. 今なぜ 「タクシーバブル」が起きているのか?「インバウンド復活」だけではない「稼げる意外な理由」
  3. 東京のタクシー2023 東京ハイヤー・タクシー協会
  4. 2001年度は、小泉内閣の「聖域なき構造改革」による、規制緩和前年です。タクシー事業の規制、特定・準特定の指定、適正台数算定時にもこの年度の数字が用いられます
  5. バブル景気 – Wikipedia

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