さよならTさん

期間従業員の満了日は週末が多いです。金曜日、みんなが「休みだ休みだ」と浮かれている時に、満了で帰る人も「終わりだ、終わりだ」と喜んでいるように見えても、どこか淋しそうな感じもしますし、実際そんな気持を抱えて最後のバスに乗り込む人のほうが、圧倒的に多いように思います。

トヨタ自動車滝頭寮と衣笠山、小衣笠
滝頭寮と衣笠山、小衣笠

Tさん(実際の名前のイニシアルは違いますが)は東北のある町からやってきていました。朝礼の時に少し話しをするぐらいでした。5月の連休前にお互い帰省のことで話したのが始まりでした。休憩所では静かに時間をやり過ごしていましたが、眼鏡越しに見える眼が彼の優しさを物語っているようでした。

最終日、ロッカールームから出てバス停に向っていると、後ろからTさんが肩を叩いて「頑張ってくださいね」と言いました。ボクは突然だったので「お疲れ様でした」しか言えませんでした。(今となっては、そのことが非常に悔やまれます。)

Tさんはバスの時間数分前だったので、走ってバス停に行きました。ボクはそのまま駆け足のTさんを追うようにバス停まで行きました。ボクは走りませんでした。追いかけることが、何か悪いことのように感じました。

最終日の満了日。どんな気持で最後のバスに乗り込むのでしょうか?GLや社員の人たちの「また来るんだろう」や「また来てください」という言葉は、決まりきった手向けの言葉のようで、どこか虚しく響くのは、ボクだけでしょうか。それとも、その言葉が「別れ」を儀式化するためのものなのでしょうか。いくつもの出逢いと別れの度に、感情を動かしていては疲れますもんね。
期間従業員にとっては、満了日は唯一の日なのですが、GLや社員の人たちにとっては、百分の一や千分の一の出来事なのでしょうね。それが分かっているだけに「やっと終わった」ということよりも、自分の存在と言うものに対しての虚無感というもののほうが、大きいのではないかと、思ったりしているのです。

Tさんは駆け足でバスの乗って、恐らく今日中には田原の町を後にしたことだろうと思います。一直の満了日、早い人はその日のうちに寮を後にすると言います。三河田原駅から電車に乗り、遠ざかる田原の町を見ながら、何を思うのでしょう。

さよならTさん。もう二度と会うこともないのでしょうね。

4件のコメント

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    今日のお昼は冷やし中華でしたよ。ボクも好きです。これにサラダとかおにぎりを食べます。ボクはマヨネーズもからしもつけません。焼きそばに付いているマヨネーズも使わないことが多いです。でも、ご飯にマヨネーズ醤油は好きです(^^;
    コンビニ用とかの冷やし中華でしょうね。そういえば最近はマヨネーズが付いてますね。380円ぐらいだったかあ。それに比べれば280円ほどのトヨタのは安いですよね。
    自分が幸せになりたいか、相手を幸せにしたいか、ということで恋愛は、かなり違ってくると思うんです。仕事もそうかもしれないですね。ま、ボクなどが言うようなことでもないのですが。
    きっと期間従業員としてきている人の中には、いつも書きますが、好きな女のため(奥さんだったり彼女だったり)に、食うものも食わずに頑張っている人が、かなりいると思っています。コメントしてくれるkakyoさんの彼や、なりさんの旦那さんもそうだと思います。
    それは、言葉なんかよりももっともっとスゴイ愛情表現だろうと思ったりします。
    あ、そうか、コンビニ用なんかだと、一日3便あったりするから、工場も24時間営業なんですよね。冷やし中華だと、これからが本番なんでしょうね。ボクはローソンのが好きです。

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    最終日おつかれさまです。
    私は無事初日を終えて、いま帰宅したところです。
    …もっのすごく単純で単調で、苦痛な作業でした(まぁ、始めたからには続けます)。
    延々と冷やし中華に卵を乗せながら、トヨタの食堂の冷やし中華のことを思い出しました。
    田原ではどうか分かりませんが、堤の冷し中華はすごく美味しいんです! 夏限定の人気メニューで、私もちゃんと愛知県人に習って、マヨネーズを入れて食べてました。
    って、そんな話ではなく、「別れたほうが綺麗」だと考えてしまうのは、自分のよくないところだなぁと最近思ってるんです。。。仕事にしろ恋愛にしろ、ある程度幸せな状態になると、株価の下落を恐れるような感じで、手放してしまう。 だから、長続きができない。……ボロが出て嫌われるのが恐いんだと思います。
    なんかいきなり不思議な人生相談みたいな話してすいません(笑)
    もっといろいろ書きたいけど、とりあえず寝ます。ではまた(*u_u)

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    いえいえ迷惑なんてことはありませんよ。ありがとうございます。
    ボクが来て、もう何人も満了で帰って行きましたし、途中で辞めた人もいます。その度に「どんな気持なんだろう」と思うんです。本人は晴れの一日なのでしょうが、他の人たちにとっては、それほどたいした意味がないのも確かですよね。
    確かに、次の月曜日からはブルースさんの座っていた休憩所の場所は空いていて、その横に座っている人は、きっとその時になって「いないんだ」と思うことなのでしょうが、それでも仕事が始まれば、ブルースさんの有無を問わずラインは流れています。同じことを繰り返し、繰り返し。
    ボクはボクが来てから満了になった人や辞めた人のことを皆覚えています。ただそれは景色みたいなもんで、「そういえば春には桜が咲いていたな」感じなのです。少し淋しいでしょうが、本人たちはまた違ったことで懐かしいのでしょうが。
    それで、満了した人、辞めた人と同じだけの新しい人がやってきます。その度に、思い出は希釈されてしまうのだろうと思います。たぶん、ボクたちが考えている以上に、忘れ去られるのも早いのではないかと。
    「別れ」、「別れるために出会うふたりの」とはサザンでしたか、「花に嵐のたとえもあるさ、さよならだけが人生だ」ってのは井伏鱒二でしたか。などなど、別れることで過去をどう感じるか、きっとブルースさんの過去への囚われは、醜いものではなくて美しいものだと思います。それは悪いことでもないように考えます。
    ボクは思うんです。どれだけ別れを経験したかで、優しくなれるのではないかと…。思い出の量が人生の量かもしれないとも…。
    ま、ボク自信も分からないので、長々と書きましたし、話もばらけましたが、う~ん、上手く言えませんが…。ま、また、コメントしてやってください。

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    こんなふーに ちょこちょことコメントして、しかも個人的な感情ばかり書いて迷惑じゃないといーんですが…
    いろんなページを読んで、管理人さんの観察力、分析力、感情を文章にする力にただただ感心しています。頭いーですよね、尊敬するなぁ。。。
    自分の感情を、表現するどころか理解するのも下手な私には、自分が満了したときの感傷がなんだったのか よくわかってなかったんですけど、この記事を読んでいて、達成感とそれより強い虚無感だったんだと思い至りました。Tさんの背中に自分を重ねて泣いてしまいました。
    「二度とあわない」ことって、悲しいが故に美しく感じてしまいます。
    私は、考え方は前向きだけど、過去に囚われやすいタイプみたいです。(…矛盾していますか?)
    満了とはいえ自分で辞めたトヨタを、恋しいと思っているなんて…誰にも言えなくて管理人さんに吐かせていただきました。
    ごめんなさい。聞き流してもらって結構です。
    梅雨らしい天気になってきましたね。風邪に気を付けて、明日もお仕事頑張ってください☆(^-^)/

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